Scribbling~落書き~

Scribbling~落書き~

PR

2024.10.08
XML
カテゴリ: 落書き(Essay)
 前々回の落書きに書いた、「○ラえもんガールズ」たちであるが。
 彼女たちの悲劇、もとい武勇伝が、もうひとつある。
 なにしろまだ年若く、好奇心旺盛、悪戯心も満載だった乙女たち。
 件の修学旅行よりも前にも、やらかしていた。

 当時の私たちの高校の教室には、ロッカーの代わりに、いわゆるウオークインクローゼットがあった。荷物を置いたりコートをかけたりするわけだが、人が入るにも十分な大きさである。
 とあるクラスで、先生を驚かそうと悪戯心を起こした乙女たちが、授業開始のチャイムが鳴ると同時に、そのウオークインクローゼットの中に隠れたことがあった。
 総勢、約20名。クラスの半数近い。ある意味、素晴らしい団結力と行動力ではあった。

 授業が始まり、数学担当のM先生(男性)が入ってきた。が、人数が半数に満たないのを見て、一瞬驚いたように固まられた。
 しかし先生は瞬時に方向を変え。迷うことなく、つかつかとウオークインクローゼットに近づいていったのである。
 そして、気合い一閃とばかりに。
 がらっと、ウオークインクローゼットの引き扉を開け放った。
​「はーい、お疲れ様です!」​
「「!!!?びっくり」」
 乙女達の目の前に、驚かせるはずだった先生の、 ​満面の笑み​ が​ あった。
 まさか秒でバレるとは思わなかった乙女達が、硬直していると。
 先生は笑顔で続けた。

「いくら人が入れる場所とはいえ、20人近くもいっぺんに隠れるのは、大変だったでしょう。
​  ​君たち、頑張りましたね!!​ 」​
 まさかこの状況で、労いとお褒めの言葉を戴けるとは。
 しかも、小さな拍手つきである。
 大物先生は、ここにもおられた。

「愉しかったようで何よりですが、かくれんぼの時間は、そろそろ終わりにしてくださいね。
 授業の時間ですよ~♪」
​  ​​ にっこり 大笑い大笑い
 全く悪意の欠片もなく、動揺など気配すらない、
​​  輝くような、無敵の善意溢れる笑顔 大笑い
であった。
 なお、一番前列にいた生徒が、真っ正面から先生の顔のどアップと「こんにちは」する羽目になり。
 あと数センチで、危うくファーストキッスを体験するところだったーーというのは。
 後日、脱力しきった本人からの告白であった。


 修学旅行時であれ、普段の授業時であれ。
​  ​偉大なる恩師たちは、色々人生経験豊富であられた。​
 たかだか16,7歳の小娘たちごときの浅知恵で、敵う相手ではなかったのだと、しみじみ思う今日このごろである。
​​ ​​ ​​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.10.08 14:12:19
コメント(0) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: