エデンの南

エデンの南

March 19, 2020
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テーマ: 読書(9578)
カテゴリ: 読書
今でも美しいカトリーヌ・ドヌーヴ。
『反撥』で見せた思春期の危うさや、『昼顔』での妖しい色っぽさにKOされつつ『驢馬と王女』での輝くばかりの美しさに驚き『ロシュフォールの恋人たち』での明るい可愛さにまたビックリでした。
これらが同じ女優さんとは!
澁澤は、そんな彼女の事を、実に的確に表現しています。
ちょっと長い引用になりますが。


 もしかしたら、この私の意見には、『反撥』や『悪徳の栄え』や『昼顔』や『哀しみのトリスターナ』のヒロインのイメージが、あまりにも大きな影を落としているのかもしれない。しかし倒錯的なエロティシズムを描くことにかけては当代一流の監督たるポランスキーやブニュエルが目をつけた彼女は、少なくとも、そういう彼女だったにちがいなかろうし、ジャック・ドミーの『ロシュフォールの恋人たち』や『驢馬と王女』のドヌーヴは、監督の手腕によって引き出されたその陽気なところが、むしろ例外的ともいうべき彼女の第二の持ち味なのではなかろうか、と考えられもするのである。


そして、以下のようにも書かれています。

取り澄ました、冷たいブルジョワ女の仮面は、カリトーヌ・ドヌーヴの美貌によく似合うが、私たちがそれを魅力的に感じるのは、不動の冷たさそのもののせいではなく、この冷たい仮面が、いつかは無惨に剥がれるだろうという、危機的な予感にみずから慄えているのが感じられるからなのである。

そして、以下の文は大変おもしろく、にゃるほど! と唸らされたのでありました。

 驢馬の皮を身にまとって城を逃げ出さねばならなくなっても、村中の男女に馬鹿にされても、ちっとも悲しそうな顔を見せないドヌーヴは、隣国の王子様とめでたく結ばれるようになっても、べつだん、それほど嬉しそうな顔を見せないのである。いつも、どうでもいいような顔をしている。そこがドヌーヴの人形的な魅力である。

2011.9.30
黄櫻御殿読書部屋




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Last updated  March 19, 2020 01:02:10 PM
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SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) アラネアさんへ いつもコメントありがとう…
アラネア@ Re:破壊と再生の2024(01/01) コメントが超遅くなってしまい、すみませ…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:破壊と再生の2024(01/01) まろ0301さんへ お久しぶりです! コメン…
まろ0301 @ Re:破壊と再生の2024(01/01)  大変な年でしたね。ワタクシも交通事故…
SEAL OF CAIN @ Re[1]:あけましておめでとうございます。(02/04) アラネアさんへ あけましておめでとうござ…

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