ひーちゃんのゼミナール 名古屋産業大学(現代ビジネス学科)・大学院環境マネジメント研究科)現代の社会・経済・環境・芸能・スポーツ・宇宙

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2019.08.07
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カテゴリ: 推理小説
お断り この推理小説はフィクションであり、登場人物と団体等は実在のものとは一切関係がありません。

 山梨玲子はスタッフ数人と探偵事務所を営んでいた。最初は自分と学生アルバイトの二人でやっていたが、信用を得ながら依頼件数を増やしていった。浮気、素行調査は極力減らしている。山梨は今この時点では、昨晩の事件の関係で、仕事の依頼が来るなど考えてもみなかった。
「警部、その節はお世話になりました」
と、山梨は挨拶した。
「こちらこそ」
と、娘の蜜柑が挨拶した。山梨と蜜柑は初対面なのだが、そつがない。
「被害者は、東京のユニバーサルプロダクションの社員で沢田研一といいます。反社会的勢力との付き合いについては、厳しく対処しており、沢田研一についても、そのような事実は会社としては承知していないということでした」
と、夏警部が切り出した。
 藤堂麻里矢は、警部が食事会に誘った意味を解して言った。

「防犯カメラのリレー捜査を始めたのですが、原場付近のカメラ1台に、確かに傘をさした人物が写っているのですが、そのあとの追跡がまだできていません。傘を持った人物は、巧妙に防犯カメラをかいくぐったのかもしれません。周到な準備を感じます。引き続き映像の分析はしますが」
 夏警部は、運ばれてきたワインを手にとって乾杯の仕草をした。蜜柑も、お気に入りのワイングラスを持っている。警察の捜査情報をどこまで一般人に話題にできるかは難しいところだが、藤堂麻里矢は芸能関係者だ。夏警部は、何かヒントが得られないか期待している。

「沢田研一というかたですが、芸能雑誌で一度読んだことがあります」
 藤堂麻里矢は、微かな記憶を辿りながら言った。
「確か、芸人さんの育て方の上手なかたで、雑誌に顔写真入りで紹介されていました。その点は、うちのスタッフも話題にしていたことがあります、ただ噂では反社会的勢力とのつきあいもあるみたいです。詳しいことは知りません」
「ユニバーサルプロダクションへは行ってきたのですが、沢田は昨日は休暇をとっていて、トラブルや殺人に繋がることは何も知らないということでした」
と、蜜柑が言った。
「赤い傘の女性と芸能プロダクションの社員、この二つの情報しかないのが現状です」
と、夏は言った。
「ネットではよほど注意しているらしく、悪い情報はとくに見られません」
「麻里矢さんが見た赤い傘の女性は、果たして女性なのでしょうか」


ホールの隅ににおいてあるテレビが、お笑い芸人のトークショーを映している。昨晩の事件のことで何か話しているようだ。4人は耳を済ました。
(つづく)

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最終更新日  2021.07.01 13:18:39


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