1999年のアルバム。前作「slang」が1996年なので、彼らにしてみれば比較的な順調な期間だったかもしれません。前作がオリエンタルムードが前面に出たり、キラーとなるメロディが不足しているといった評価の中で、本作においては見事にリベンジを果たしているのではないか、と思います。それは、1曲目のDemolition Manから明らかで、全ての不安要素を吹き飛ばしてくれる会心の一撃でした。イキの良い破壊力のあるギターとデフ・レパードらしいコーラス、メロディーの良さ、そして、ここにきてヴィヴィアン・キャンベルとフィル・コリンの両ギターのコンビネーションもピタっとハマってきているようです。Promisesは、これまたデフ・レパードらしい曲でなんとなく包み込むような大らかな雰囲気を持った曲です。これがシングル曲でした。そして、構成に一捻りあるBack in Your Faceと良い曲が連続していきます。これはジョー・エリオットのヴォーカルの個性が光ります。Goodbyeは感動的なバラード曲。ここまで聴くだけでも、完全にあの時のデフ・レパードが戻ってきているのを感じます。曲数も多いですが、後半もダレることなく、一気に聴けます。Paper Sunはこのアルバム最長の曲、他にもIt's Only Love、Guilty、Kings of Obivionなど佳曲がズラりと並びます。Disintegrateはちょっと彼らでは珍しいインストの曲です。迷いを吹っ切る充実の一枚、そんな感じです。
【曲目リスト】 1. Demolition Man 2. Promises 3. Back in Your Face 4. Goodbye 5. All Night 6. Paper Sun 7. It's Only Love
9. To Be Alive 10. Disintegrate 11. Guilty 12. Day After Day 13. Kings of Obivion
そう言えば、「slang」の中にPearl of Euphoriaっていう曲がありました。この「Euphoria」はデフ・レパードらしい王道アルバムですが、決して「slang」の流れから切り離されているのでは無く、「slang」における試行錯誤を消化しきった結果だというメッセージを感じます。