せんだって日記

せんだって日記

2008.04.03
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 せんだってからちょっと思うところあって、しばらく思いつきを書き散らすことにした。


 コンテンツを、頭じゃなくカラダで読む(聴く、観る)ってことは、ある。
 まずカラダが反応してしまうコンテンツがある。たいていそれはイイモンだ。
 カラダで読んだ(見た、聴いた)もんは、交換不能だ。
 強く訴えるものはまずカラダに「来る」。
 ほんとにいいもんは、深い解釈に耐えうる強度を保ちつつ、下世話な部分でも強い。


 どこのメディアも不況だっつって。本が売れない、CDが売れない、CM枠が売れないと、景気の悪い話ばっかりの状況下で、(商業的な意味で)人を動かすことができるのはカラダの感覚だけなんじゃないかと。


 これは別に、音楽をライブで楽しむとか、なんかそういうモロでダイレクトなレベルのこっちゃなくて。


 景気悪い状況でも良質のコンテンツは作られてて、そういうモンはたしかに、観ている(読んでる、聴いてる)者のカラダのどっかを引っ張ってく力を持ってる。





 いや別に、機能とか役割ってのは「責任があるんだからちゃんとしてねん」ってことじゃないんだけど。


 書き手がプロアマ問わず、ブログでも雑誌でも、レビューとか評論ってあんじゃん。

 この映画を観てすごく面白かったってことを伝えたい。自分が感動した小説のすごさを誰かと共有したい。わかって欲しい。わかって欲しい。もっともっと、こういうのを観たい読みたい聴きたい。みんなもそう思うよな? な?


 評論やレビューには、そんなピュアな動機があるわけでしょう。
(提灯記事の場合は、動機っつーか、明確に機能とか役割ですね)。


 共感を呼びたい。


 あるコンテンツに触れて、その感想や評価をしようとして文章を書く場合にはさ、共感を呼びたいのだという願いのようなものが、動機の根っこにあるはずだ。誉めようがディスろうが、そうでしょ。


 富野由悠季は、あらゆる表現は表現者の祈りなんだと看破し、「祈りとはヘルプミーだ」と言った。なにいってんのとも思うが、これは真実を生々しくエグった言葉だよな。(孤独を癒してくれ!)


 レビューや評論も表現であることからは逃れられない。
 届けたい相手にちゃんと届く文法で作られないと、届かないでしょ。
 そのためにゃ、レビューや評論にもカラダに「来る」部分は必要でしょ。





 「(僕が好きな)このトンがった表現のすごさを、なんでみんなわかってくれないのかなあ! やっぱり読者、観客、聴衆を(僕らレベルまで)啓蒙しないといけないよなあ!」


 こういう熱い気持ちのあふれるレビューや批評を読むことがあるが(たまに俺様も書くし)。いや、表に出さなくても、けっこう根っこは熱いものでね。

 そういう熱い評論に限って、アカデミックな言葉を使ってみたり、高次な教養をベースにしたもっともらしい解釈遊びをしてみたりしているのがあってさ(いや俺様もな)。


 イラッとくる。


 「頭でっかち」という日本語のデキのよさに驚く。



 でももう1フック、欲しいでしょう。
 熱い気持ちを共有するためには。共感を呼ぶためには。
 自分がイイと思ったものを誰かに観て欲しかったら。
 人様のカラダへ逆トゲのついた銛を打ち込むための下世話で「強い」コトバがいるのではないでしょうか。
 これはまあ自戒も込めてね。


 解釈のアクロバットを楽しむのは気持ちいいけど。
 でもさ。
 たとえばコニー・ウィリスの小説『ドゥームズデイ・ブック』では、我々の耳にたしかに鐘の音が聞こえる瞬間があって、安堵感とさみしさが胸の内にふくれ上がる。
 小説から鐘の音が聞こえたなんて、華麗に解釈して見せたって示せない体験じゃないか。





 批評、という作業は、こむずかしい言葉を使って作品を分析してみたり解釈して見せたり作品の歴史的業界的な位置付けをやってみたりするが、きっと根っこにゃ熱い気持ちがあったりして。
 もっとこう、自分が聞いた鐘の音を伝えるような、カラダに「来る」批評みたいなのがあってもいいのではないかと、ぼんやり思うんだ。


 ホントは「あってもいい」なんてヌルい思いなんかじゃないけどな。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.05.05 10:25:20
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

プロフィール

せんだって日記

せんだって日記

カレンダー

コメント新着

背番号のないエース0829 @ 稲垣潤一 “ September Kiss ” に、上記の内容に…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: