せんだって日記

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2008.04.05
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 せんだってからちょっと思うところあって、しばらく思いつきを書き散らすことにした。


 コンテンツを、頭じゃなくカラダで読む(聴く、観る)ってことは、ある。
 カラダで読んだ(見た、聴いた)もんは、交換不能だ。
 強く訴えるものはまずカラダに「来る」。
 ほんとにいいもんは、深い解釈に絶えうる強度を保ちつつ、下世話な部分でも強い。
 もっとこう、カラダに「来る」批評があってもいい。
 批評や評論が語れば語るほど作品への間口を狭めることになっちゃうことがある。




 こないだ観たポツドールの舞台『顔よ!』と、それにまつわる絶賛の蔓延への違和感がある。
 違和感の根っこはたぶん、頭とカラダの関係。



 僕も先入観(美人、ブサイク、イケメン、自意識、他者からの視線、モテと性欲、うひょーゾクゾクする期待できるぅ)を持って本多劇場に行ったんだから、こういう態度は決して誉められたもんじゃないよね。


 まあこういうポツドールが「顔」でやるって時点で、勝ってるんだけど。
 頭で「解釈」したり「想像で埋め」たりする余地がでっかい脚本なので、頭で解釈するほど面白い。
 だって、自分や他人や好きな人の顔が気にならない人っていないでしょ。観る者すべてに、自分の問題として突きつけてくるよ、そりゃあ。
 そりゃね、そうなんです。


 本多劇場は、小劇場としては大きな小屋なんです。
 役者の顔や表情が、読みにくいんだよね。遠くて。
 僕は幸い、前めの席で見ることができたんだけど、後ろの席で観た知り合いは、役者の顔が見えなかったって言ってた。表情じゃない、顔そのものをだ。
 ということは、ラストのどんでん返しが、物理的に見えなかったんだよね。もう、台無しじゃないか。
 顔の話なのに、役者の顔が見えない。小さい小屋でやれば、もっとカラダにこたえただろうと思う。


 フジの深夜番組『演技者』という番組でやった『男の夢』ってホンがある。ポツドール三浦大輔の脚本を大根仁が演出して、生田斗真が主演。斗真、かわいいよ斗真。それはまあいい。


 ブサイクな男とブサイクな女が同調圧力でくっつけられようとして、それに反抗するんだけど。こういう話の三浦大輔のセリフはリアリティがありすぎて身につまされるのだ。見てきたようにウソを書くのだ。聴いてるだけで居心地が悪い。
 ブサイク女役の近藤春菜(ハリセンボン)の表情が凄かった。
 アップで抜かれた役者の表情を観ながら、僕もおかしな顔をしてたはずだ。
 そこにいる全員が欲望と諦めとイライラを混ぜ込んだ表情を浮かべたのがテレビで見える、性欲と自意識で濁ったカラオケボックスの中の空気ったら、笑うしかなかった。
 凄かった。



 三浦大輔の脚本は、映像でやったほうが強いんだよね。
 精神に刺さってきて、賢しげに解釈する余地が無い。
 近藤春菜の表情の、なんと雄弁なことよ。


 以前読んだナイロン100℃のケラのブログに、客席がみんな味方(イエスマン)になってるお笑いライブの寒さを憂いているのがあった。
 『顔よ!』はなんか、そういう客席だった。


 客席から湧く「俺は理解してますよ」とアピールするための笑い声にびびったよ。
 劇作家・演出家は、ああいう客席がホントは大嫌いだ。
 解釈遊びをして盛り上がってる(嫌な言葉だ)ネット界隈が薄ら寒い。
 解釈すればどんなもんだって面白く思えちゃうんだよ。

 あの脚本、さほど「顔」の問題に踏み込めてないことに自信がなさそうだったじゃないか。
 ファックシーンでも、必要なほどのボルテージは無かったじゃないか。ぬるかったよ。
 すごくキレイな演出だったけど、「うあー」ってなるまでストレスフルではなかったよ。


 批評や評論はテクニックでもあるので、解釈の作法によって、たいしたことないものでもスゲエもんに思わせることができる。
 説得力が足りない気がする。


 本や音楽のパッケージが売れないと、不景気だと、大変だ創作の危機だと。
 そういった、なんかだらけた世の中で。
 サロンの中で解釈の知的アクロバットを楽しむような、薄っぺらいサブカル消費者を動員するだけの批評サマではなく、カラダに作用(して購買に直結)するような批評やレビューはないものか。
 一次コンテンツは批評の肴にするためにあるわけじゃないだろ。


 感じるカラダはどこいった。
 そんなことを思っているうちに、感じるカラダはケータイ小説に行ってたみたいだよ。





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最終更新日  2008.05.07 11:44:50
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