戦国ジジイ・りりのブログ

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2016年06月26日
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カテゴリ: 城(東北・関東)
中雀門を抜けきるところ↓。


東山御物展・江戸城・中雀門10


現在ではなだらかなスロープだけど、道路の真ん中へんにうっすらと引かれた
横のラインのあたりにはかつて石段があった。
そのすぐ先には、この建物がある↓。


東山御物展・江戸城・大番所-2


 【大番所

  「番所」とは、警備の詰所のことで、百人番所、同心番所とこの大番所の3つが
  残っています。中之門の側に設けられ、他の番所よりも位の高い与力・同心によって

  (現地解説板より)

カピタンの参府の時はいつも「番所」で時間調整させられた
「36」 以降参照)。
その番所は「百人番所」だったと書かれている場合もあるけど、
この大番所で待機したんじゃないかという可能性が個人的に捨てきれない。

登城した本人たちが「百人番所」と書いているのに、
なんでわざわざ疑うんだと思う方もおられるでしょうが、
ガイジンの書いた文章には伝聞や勘違いも含まれていて、
結構間違った記述があったりするのだ。

レフィスゾーン は待機した番所内部の配置図と思われるものを描いていて、

高官がカピタンらの近くで一緒に座っていたように描かれている。
上の解説文もあわせて考えると、そういう人達も一緒にいたのであれば、
百人番所よりは大番所の方がしっくりくる気がする。

「番所」で登城する幕閣たちを見送ったあと、本丸御殿へ向かう様子を
レフィスゾーンは次のように書いている。

9時に、上検使が、われわれを城へ連れていく命令を受けた。そこで、そのために、
  儀式用のマントを着て、降りしきる雨の中を、全く乾いていない、全く近くない道を、
  徒歩で、向こうへ行った。
  そこに着いてから、綺麗な石の階段をのぼって、その巨大な建物の門のところで、
  坊主頭すなわち城の案内役によって受けつがれ、中に導かれて、沢山の大名や高官がいた
  控えの間を通って、日本風にもっとも綺麗に飾った部屋に導かれ、まず、そこで待つように
  いわれた。


上の文章をレフィスゾーンのセリフに置き換えて意訳すると、

「も~、こんな雨の中行きたくないよ~。
えっ、なにこの道!
びしょびしょでドロドロじゃん!
え~、まだ歩くの~?
マジ勘弁して~!」


てカンジになるかと思うけど、ここには重要な情報が含まれている。

まず、「巨大な建物の門」をくぐるとすぐに「坊主頭」によって
御殿の中へ案内されるんだから、「巨大な建物の門」は中雀門のことで、
門の手前に「綺麗な石の階段」があることからもそれは確認できる。

問題は「石の階段」までの距離。
大番所を出ればすぐ目の前に「石の階段」があるんだから、
いくら雨が降ってたからってレフィスゾーンがボヤくほどの距離はない。
ので、やっぱり百人番所の方で待ってたのかなって可能性が濃厚になってくるけど、
その場合重要な情報がひとつ欠けている。

この大番所は周囲を石垣に囲まれていて、


東山御物展・江戸城・大番所2


右手前の石垣が中之門の石垣。
「これより本丸」といった位置づけの中之門は、現在では門はない。
が、


東山御物展・江戸城・中之門-2


四半敷の部分がほぼ渡櫓門である中之門の奥行で、
これだけでも門の大きさがわかろうってもんだけど、
現地解説板には中之門の古写真が載っている↓。


CIMG2909


これは明治に入ってからの写真なので、江戸期には限られた人しか
入れなかったこの場所に、パンピーが好き勝手に入って記念撮影などしまくっている。
ちなみに、左の奥に写っている多聞は「中之門多聞櫓」で、
中之門の奥にちょっとだけ写っている櫓は位置および上層が逓減されていないことから、
重箱櫓(前回参照)だと思われます。

で、縄張図。


東山御物展・江戸城・構成図-2(正ルート)番所


マル1が大番所で、マル2が百人番所。
百人番所からスタートしたなら、必ず中之門を通っていくはずなんだけど、
レフィスゾーンは大きな門をくぐって綺麗な石の階段へ行ったとは書いていない。
惜しいな、中之門のことが書かれていたら、待機場所は百人番所で確定なんだけど。

さて、中之門にも綺麗に礎石が残されている↓。


東山御物展・江戸城・中之門2


門を出たところの石垣↓。


東山御物展・江戸城・中之門3


綺麗な巨石が見事に組まれている。

これより少し先、 大手三之門 に近いところには
石垣の修復についての説明が色々と書かれていて、
この中之門は平成17年から19年にかけて修復されたらしい。
なんでも、【長い年月の間に変形し、はらみ出し、目地の開き、ひび割れ、剥離などが
発生していました】とのことで、国の特別史跡なだけに最新の測量技術である
「三次元レーザ測量」で事前調査をして、職人の技でもって慎重に修復にあたったとある。
見よ、この巨石を↓。


中之門石垣修復作業
      (現地解説板より工事の様子)

上の写真の石のことではないと思うけど、
中之門の石垣の築石に使われている石は城内でも最大級の巨石が使われているそうで、
重量なんと35トン
昔の人ってホントすごいわ~。


もうこの頃のわたくしは帰る気マンマンで、中之門のろくな写真もありませんが、
現地解説板から中之門の簡単な歴史を紹介しますと、
まず中之門の縄張が行われたのが慶長12年(1607)。
藤堂高虎によるものだという。

して、 明暦の大火 の翌年の万治元年(1658)、罹災した城内の復旧工事が始まり、
中之門は細川氏によってあらたに普請された。
元禄16年(1703)に関東を襲った大地震の時には中之門が崩落し、
翌宝永元年(1704)に池田氏によって門が修復された。

平成の修復時には鳥取藩主・池田吉明による修復の際のものと見られる
刻銘が出土したそうで、解説板には親切に写真も載っていた↓。


中之門石垣刻銘


風雪にさらされなかったためか、銘の保存状態はすこぶる良い。

それから、その前の熊本藩主・細川綱利による再構築前の門の遺構と見られるものも
出土していて、


江戸図屏風
     (現地解説板より)

↑まずこれが『江戸図屏風』に書かれた大火以前の江戸城本丸で、
赤丸が中之門。
その遺構がこちら↓。


中之門遺構
      (現地解説板より)


うおお、そそられるな~(笑)。

平成の解体修復工事ではずいぶんと色々なものが見つかったらしくて、


中之門大鎹



中之門大鎹2
     (写真は2枚とも現地解説板より)

 【石垣構造としてはたいへんめずらしい大鎹(カスガイ)が出土しました。これは、
  築石転倒防止のため築石裏側に設置された石と連結した補強材で特異な構造です。】
  (現地解説板より)

へえ、石垣にかすがいなんてそれは確かに珍しい。
地震での被害によって修復されたものだから、
地震の教訓を生かしたってところでしょうか・・・


さて、中之門を出て右に向かうと西の丸ですが、
前回の富士見櫓のところで書いたように、現在の皇居へ向かうこの道には
宮内庁エリアが立ちふさがっているので、右には行かれません。
ので左方面へ向かいますが、中之門の斜め前にあるのが百人番所↓。


東山御物展・江戸城・百人番所


中之門を出ればすぐこの光景だから、百人番所から御殿へ向かったって
ボヤくほどの距離じゃないんだけどね・・・
でもわたくしのイメージでのレフィスゾーンは
小言幸兵衛(こごとこうべえ)という訳でもないので、
降りしきる雨にうんざりしてたってところかもしれないな。

ちなみに、レフィスゾーンの図によると、彼と随行の医師が待機していたのは
上の写真では手前側の一番はじっこの部屋の奥まったところだったらしい。

百人番所の破風↓。


東山御物展・江戸城・百人番所2


妻板は銅板葺だな・・・
屋根には葵の紋が載っている。


東山御物展・江戸城・百人番所3


が、その一方で明らかに「葵」を外した形跡も見受けられる↓。


東山御物展・江戸城・百人番所5


江戸城で葵を外すことになんの意味があるんだろう・・・
まあ、ここが「皇居」になってからの出来事だろうな。

百人番所前から大手三之門方面を見たところ↓。


東山御物展・江戸城・百人番所6

左の大きな石垣の奥にあるのが中之門修復工事の説明板で、
ここには修復時に交換された石材が展示されている。
近くにいる観光客と比べて石の大きさを実感してください。
まずはこちら↓。

CIMG2922


【中之門石垣の特徴である、表面が広く奥行きが短い築石です。(鏡張り)】

その次がこれで、ベンチだと思ってガイジンが座ってやがるのも遺物です↓。


CIMG2934-2


【角石の破損部を切断した石で、母材は中之門石垣の中で最大級の花崗岩です。】

この2つは瀬戸内産花崗岩。
その次が伊豆半島産安山岩で↓


CIMG2935-2


【傷により交換した築石です。安山岩は花崗岩に比べ節理が発達しており大材の
採取が困難です。】
(ここまで、【】内はすべて現地解説板より)

これらは最後の大規模工事である池田氏の石ってことになるのかな。

最後に平成の修復の中之門石垣の断面図↓。


中之門石垣断面図


これにて内郭は終了です。



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最終更新日  2016年06月26日 23時57分08秒


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