SF拡張の原理

SF拡張の原理

2009.07.08
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カテゴリ: 文学
集英社世界の文学より

ナチスのホロコーストで処刑されたポーランドのユダヤ人作家の連作短編集。
世界の幻想文学総解説に載っていて読みたいと思っていたので読んでみたのだが、正直すごくつまらなかった。
マジックリアリズム的なやたらと綿密で比喩多用の情景描写がみっしりと畳鰯のように続き、ストーリーらしいストーリーがなく、父親を中心とする親戚の生活の様子がだらだらと綴られる。それに対する「私」の心情や解説が綴られるなら多少は面白く読めるはずだが、ただ淡々と描写されるだけなのでどう面白がればいいのか分からない。後半で突然父親がアブラムシになったり蟹になったりするのだが、あまりにも唐突だし、そういう風に変身したことで新たな物語的な展開が発生するわけでもない。最後に入っている「父の最後の逃亡」では蟹に変わった父親が母親に料理されるという衝撃の展開なのに、やたらもってまわった晦渋な文体と語り手の心理描写の欠如のためにたいした盛り上がりもなく終わってしまう。
執拗な淡々とした情景描写や理屈っぽさはトーマス・マン、父親への固執や変身ネタ、被害妄想的な陰鬱なイメージの連鎖はカフカの影響のようだが、残念ながら「物語構築意欲・能力の欠如」という致命的な欠陥ゆえに、マンやカフカの作品には及びもつかない単なる出来の良くない散文詩に終わってしまっていると思う。なお作者は版画家でもあるので、おそらく物語を作る意図すらなく、文章で絵を書いているような感覚なのだろうと思われる。そういうのが好きな人には結構評価が高いようだ。
だが、私にとっては、一言で評するなら「根暗ファザコンユダヤ人の妄想鬱日記」。読むだけ時間の無駄であった。

この作家の全作品は平凡社ライブラリーの

シュルツ全小説
で読めます。↓





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Last updated  2009.07.09 01:59:08


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