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カテゴリ: 金曜…国井咲也
金曜日…国井咲也の満巻全席 第147席

こんな実写ドラマはどうか? 『美観しんぼ ~第1話のつづき~』

○アイキャッチ

      止め絵受けてから

○料亭中庭

      ししおどしがかこん、と鳴る

○同/宴会場

      ざわつく会場

 社主 「どういうことだね?」



     並ぶ3体のフィギア、パンして3番に
     3番、バストアップになり、さくやの手。

 さくや「(フィギアをもちつつ説明)
      …この3番のフィギアは、
      稼働であるという、
      本来の魅力の部分を一切殺さずに、
      非常に繊細な改造がなされている」

 久里子「え? 改造?! 
     とてもそうは…(気づき)…! じゃぁ?!」

 さくや「そう、塗装です。

     できなりの塗料をはがしたうえで
     再度塗装がなされています。
     それも自分好みの色に
     塗り替えるといったレベルではない。
     (深呼吸して)…大量生産される


      ×××
      工場で人形が生産されるイメージインサート
      ×××

     ガレ-ジキットにくらべるとどうしても
     表面処理が甘い部分があります。
     現在の低価格を維持する為に、
     人件費の安い海外で大量生産されているからです。
     …しかし、これは仕方がない。

      ×××
      餃子をたべる中国工場の1コマ
      ×××
      餃子を長い箸で鼻のでかいサスペンダーの
      ジャッキー的な人と赤鼻の師匠的な人が
      取り合っている。
      ×××

     しかしこの3番には、
     そういった細部の甘さが
     どこにも見当たりません。

      ×××
      ジャッキー的な人、椅子の上で逆立ち
      ×××

     これは明らかに塗装を落としたのち、
     完璧な表面処理をしているという証拠です。
     …同時に前髪のエッジを出す
     工作もしていますね」

 久里子(オフ)「だから、お店で見たものより、
         もっさりした感じがなくて、
         しゃきしゃきした
         夏野菜のような印象なんだわ」

 さくや「(久里子をさして)さらに、
     彼女が言ったような自然さは、
     通り一遍の塗装法では
     出せません」

 社主「そうなのか?
    ただ塗ればいいんじゃないのかね?」

 さくや「いいえ。
     すぐれたモデラーは
     常に『発色』を考えるのです」

 社主「はっしょく?」

 さくや「たとえば、黒い色を塗っただけでは、
     観た時に人は『黒い』とは感じません。
     だから、フィギアなどの人肌の表現には
     より色彩をはっきりと出す為に
     下地処理の段階で発色が良くなるように
     全体を白で塗る事などをします」

        どよめく会場の一同。

 声「…し、白で全体を……」

 さくや「(それを聞いて)そうです。
     全体を豆腐のように
     白で塗ってしまうのです。
     それがあるからこそ、こんどは絹のような
     美しいおみ足やいわゆる、
     『絶対領域』の再現が可能となるのです」

 富野「(こっそりと久里子に耳打ちする)豆腐だけに…」

 久里子「……。(白ヌキなポンチ絵/脱力している)」

 社主「しかし、
    それはいささか面倒なのではないかね?」

 さくや「(ふ、と笑い)良くいいませんか?
     …手のかかるコほど、可愛いものです」

       笑いが起こる会場

 社主「(後頭部を軽く叩きつつ)これは一本とられたな」

       しかし神妙な面持ちのままの久里子。
       フィギアをみつめ―

 久里子(オフ)「じゃぁ、何度も塗るって事なのかしら?
         …それにしては」

       考えていることがわかるように
       久里子をみつつ、さくや

 さくや「ですが、
     何度も塗り重ねると、
     当然、塗装のぶんだけ、
     厚みが出てしまいます。
     そうなるといくら工作で
     シャープさをだしても意味はない。
     シャープなまま、
     何度も塗装できる技術が必要なのです。

       ×××
       エアブラシで吹き付ける原型師のイメージインサート
       ×××

     これは大変な熟練度がいります。
     それこそ会得するのに
     何年もかかる職人芸といっていい。
     なので、
     神や仙人といった
     愛称で呼ばれ、
     憧れの的になるモデラーも少なくない。

       ×××
       エアブラシ片手に
       女の子フィギアのすらりとした足を
       真顔で見つめる仙人ふうのモデラ
       ×××

     ……みてください」

       3番のフィギアを示すさくや

 さくや「このフィギアは他の2つに比べて、
     明らかに発色がいい」

       そういわれてみれば、などとざわめく会場

 さくや「(久里子をさして)
     彼女が『顔色がいい』と感じたのはその
     発色の鮮やかさゆえなのです」

 社主「あながち間違いではなかった、という事か」

 さくや「そうです」

○同料亭/中庭

      ししおどしが鳴る


                つづく





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最終更新日  2008.10.17 13:22:30


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