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宇宙背景放射について
現在の宇宙は、観測によって膨張していることが分かっています。
どんどん過去にさかのぼっていくと、高温高密度の火の玉宇宙「ビッグバン」になってしまいます。
宇宙が膨張していることを、ハッブルが発見し、ロシア出身のガモフが「ビッグバン」理論を発表しました。
ビッグバンがあったかどうかは、長い間論争の的でした。


ビッグバン想像図 宇宙空間を飛ぶCOBE衛星想像図
1965年、アメリカのベル研究所のペンジャスとウィルソンは、新しく作った電磁アンテナのテストをしていました。
その途中で、彼らは、宇宙のあらゆる方向から、弱い電波が来ていることを発見したのです。
絶対温度3度の宇宙背景放射と呼ばれるその電波は、宇宙が熱い火の玉だった頃の、名残であることが、アメリカのCOBE衛星(宇宙マイクロ波観測衛星)の観測で、証明されました。
これで、ハッブルやガモフの説が裏付けられ、以後「ビッグバン」説は、最も有力な宇宙論になりました。
この発見により、ペンジャスとウィルソンはノーベル物理学賞を受賞しました。

COBE衛星の観測した宇宙背景放射・銀河の光が雑音となっている
誕生直後の宇宙は大変な高温でした。その急激に膨張している高温の状態を「ビッグバン」と表現しました。
その後、宇宙の急激な膨張で温度が次第に下がり始めました。
宇宙の温度が3000kまで下がったとき、電子と陽子が結合して水素原子を生成し、宇宙が透明になり、光が通るようになりました。
その時期は、ビッグバンの約40万年後で、「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。
この3000kの初期宇宙から放出され、137億年かけて到達した光を、私たちは現在観測しているのです。
3,000Kあった温度は、光の移動の間に徐々に下がり、2.735Kまで下がったと計算されています。
絶対温度0度は、摂氏ー273度ですから、約3kは摂氏ー270度です。
この、ペンジャスとウィルソンが発見した3kの宇宙背景放射は、アメリカのCOBE衛星の観測により、「ビッグバン宇宙」の光の揺らぎを捉え、その説の正しさを証明しました。
雑音を取り除いたCOBE衛星の観測した宇宙の温度の揺らぎ
ビッグバン後、約40万年経った宇宙の姿 (1989年)
その後、2001年に打ち上げられたWMAPは、ビッグバン名残の電波の揺らぎを100万分の1の精度まで、鮮明に観測しました。
その結果、NASAは、2003年2月に宇宙の年齢、構造、構成要素などを明らかにしました。
WMAPで捉えたビッグバン38万年後の宇宙の姿と温度の揺らぎ
(2003年)
なぜ、揺らぎがそれほど大切かというと、揺らぎの無い世界では、今の宇宙のような星や銀河などの大構造が生まれないのだそうです。
温度の少し高い部分に水素が集まり収縮し、大構造の種になったと考えられています。
前回のペンジャスとウィルソンに続き、宇宙背景放射の研究がW受賞を果たしました。
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