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2011年04月15日
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カテゴリ: 北朝鮮の話し
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北朝鮮のミサイル開発の歴史は、1965年に金日成の指示で設立された「国防大学」が、ミサイル開発の専門人材を養成し始めた頃に起源を発する。1969~1970年、北朝鮮はソ連が1965年に開発した射程距離68kmの短距離戦術ミサイル(tactical missiles)の「フロッグ-7(Frog-7)」を導入して、本格的なミサイル研究開発を始めた。

当時、北朝鮮は「スカット(SCUD)ミサイル」が欲しかったが、旧ソ連が供給しなかったとされる。1970年代に北朝鮮は、旧ソ連から導入した「フロッグ-7(Frog-7)」を逆設計(Reverse enginering)して、初歩的なロケット製造技術を習得したと把握される.。

1976年頃には関連技術者を中国に送って、中国が1975年から液体燃料推進の核投発手段として開発した「ドンプン-61(東風DF-61)」弾道ミサイル(最大射距離600Km, 弾頭重量500Kg)の開発計画に共同参加した。「ドンプン-61」の開発計画は1980年に取り消しされるが、この事業を推進した責任者が文化革命の時の失脚させられて、中国政府が事業を取り消したのである。北朝鮮はこの事業を通じて、ミサイル製造の貴重な経験を積むことができた。

北朝鮮が熱望した「スカット(SCUD)ミサイル」の技術の確保には、エジプトが決定的な役割を果たした。1963年にエジプトと国交を結んだ北朝鮮は、1973年10月に第4次中東戦争(「Yom Kippur戦争」)が勃発したのを受けて、「ミグ-21」操縦士1個中隊を派遣してエジプトを援助した。第4次中東戦争(「Yom Kippur戦争」)でイスラエル空軍に苦戦を強いられたエジプトは、旧ソ連から「第3国に提供しない」という条件で、「スカット-B」(射距離280~300km、弾頭重量985kg)ミサイルを導入したが、その後、旧ソ連と関係が悪化して、導入した「スカット-B」の修理及び維持用部品の供給を受けることができない状況になる。難関に陥ったエジプトは、独自にミサイルを開発した北朝鮮に支援を要請した。北朝鮮とエジプトは1979~1980年に戦術弾道ミサイルに関する情報と技術陣を交換する関係にまで発展する。1980年1月、エジプトのホスニー・ムバラク副統領が平壌を訪問して、金日成と面談した。1984年にエジプトはソ連と交わした約束を破って、「スカット-B」ミサイル2基を北朝鮮に提供する。この時、エジプトから引き渡された2基のミサイルが、北朝鮮の弾道ミサイル開発に決定的な技術を提供する契機になった。

1981年、「イラン・イラク」戦争が勃発すると、全アラブ国家はイラクを支援した。同じアラブ圏から孤立したイランは、「弾道ミサイル」の必要性を切実に感じて北朝鮮に接近する。1983年、イランは北朝鮮と弾道ミサイル開発相互支援に関する協定を締結して、北朝鮮に弾道ミサイル開発に必要な資金と装備を供給し始める。

金正日は1981年1月、当時、中央党機械事業部(現軍需工業部)の秘書だったヨン・ヒョンムクに旧ソ連製「Scud-B」ミサイルの「Copy設計」をして量産するようにという指示を下した。この指示は、「党中央軍事委員会」の命令となり、北朝鮮の「第2自然科学院(国防科学院)」に下達される。「第2自然科学院」は傘下の「工学研究所」を中心に「Scud-BミサイルCopy設計のための科学者突撃隊」を組織して、金正日に1981年4月15日までに試験発射を保障するという「忠誠の宣誓文」を捧げてから、突撃戦を始めた。

党軍需工業部が全て動員されて、設計と試作品の製作に必要な資金と設備、技術が最優先に支援された。このようにして開発された「スカット-B」ミサイルの試験発射は、総計3回に渡って行われた。第1回目の試験発射は1981年4月末頃、第2回目の試験発射は1981年7月初め頃、第3回目の試験発射は1982年4月に行われた。第1回目の試験発射の時には、製作したミサイルが震動さえしなくて失敗した。第2回目の試験発射の時には、ミサイルが30m程度動いたがそれ以上動かなかったとのことである。ミサイルは第3回目の試験発射で成功して、「第2自然科学院」は金日成と金正日から前例のない表彰と贈り物をもらった。この時に開発された「スカット-B」ミサイルを北朝鮮は『ファソン』と名付けて、その試験発射に沿って、「ファソン-1」、「ファソン-2」、「ファソン-3」と名付けられ、「ファソン・シリーズ」と呼ばれている。しかし、この時成功したミサイルは試作品の試験発射だったので、量産のためには性能を補強しなければならなかったし、試作品の性能の修正作業のために、北朝鮮は西欧世界の部品確保が必要になる。

1984年10月、アメリカ・ニューヨークでイランのある事業家が、ミサイルの誘導装置と夜視装備に使われる電子部品を北朝鮮に送ろうとして発覚した。1987年12月、日本の大阪では朝鮮総連関係の企業人である「東明商社」所属の北朝鮮工作員と日本人たちが、COCOM(対共産圏戦略物資・技術統制委員会)の規制品目である集積回路(IC)とマイクロ波周波数カウンタなど263点を北朝鮮に不法輸出しようとして摘発された。当時、アメリカと日本の情報政府は、このような輸出が全て北朝鮮の弾道ミサイル開発と関連があると推定した。



当時、イラクも旧ソ連の「スカット-B」ミサイルをCopyした「アル・フセイン」(最大射距離600km)と、「アル・アブバス」(900km)を独自に開発して、生産していた。イラクの「アル・フセイン」がイランの領土に落ちると、イランはその残骸を拾って北朝鮮に送ったと言う。イラクの「アル・フセイン」ミサイルは84発が使われたとのことである。イランのこのような積極的な協力により、北朝鮮は1990年6月に「スカット-B」(射距離280~300Km、弾頭重量985Kg)の弾頭重量を減らして、推進機関を確張して(推進燃料の量を25%増加)、最大射程距離を確張した「スカット-PIP」(Product Improvement Program)を開発するのに成功する。「スカット-PIP」は「スカット-C」(最大射距離500Km、弾頭重量770Kg)とも呼ばれる。

北朝鮮が「スカット-C」の量産を開始すると、イランはこのミサイルを導入して、1991年5月にイラン北部の試験場で試験発射した。シリアも1994年に北朝鮮の「スカット-C」を輸入して試験発射したが、この事実が西側の情報機関に捕捉された。これを受けて、イスラエル情報機関である「モサド」が中東国家に対する北朝鮮のミサイル輸出を阻止し始めた。

◎化学戦

北朝鮮は「フロッグ-5」と「フロッグ-7A」に使える化学弾頭を開発し、「スカット-B」に化学及び細菌弾頭を開発して、ミサイルに装着する計画を推進しているが、正確度が大きく落ち、軍事施設を正確に攻撃するには限界がある。北朝鮮の「ファソン」シリーズのミサイルが危険視されているのは、化学武器のためである。アメリカの情報機関の分析によれば、「ファソン」ミサイルの場合、50~60%が化学弾とのことである。

◎配置

北朝鮮は黄海北道シンゲ郡に移動式「スカット-B」の発射台を隠しているとのことである。北朝鮮がシンゲ郡から「スカット-B」を発射した場合、500Km程度の距離は6分55秒で到達することができると分析される。現在、北朝鮮はシンゲ郡以外に、北朝鮮全域に「スカット-B/C」 約500基を作戦配置したとされている。北朝鮮は現在、「スカット-B/C」を運用する「ミサイル旅団」を人民武力省の直属に運営して、総計27個のスカット発射台を配置している。北朝鮮の「フォソン・シリーズ」はCEPが大きく精密度は非常に落ちるが、移動式車体による発射機によって運用されるので、簡単には探知されないという面がある。北朝鮮のミサイル基地の位置は、資料によって全て違う。限定された情報から把握しなければならないという、現実の難しさがあるからである。

◎生産施設

北朝鮮には最低で4カ所以上のミサイル製造工場があると確認されている。

▲関連部品を作る26号工場(慈江道カンゲ市)

▲発射体のエンジンを生産する118号工場(平南道ケチョン郡カガム里)

▲ミサイルを組立てる125号工場(平壌市ヒョンジェ山区域チュンゲ洞)



これ以外にも、南浦市カンソ区域にもミサイル工場があるという脱北者の証言がある。北朝鮮の特急、1級企業所が殆ど同様な規模の軍需施設を運営しているが、ミサイル工場はこれよりずっと多い可能性が高い。実際、ミサイル工場が8カ所以上あるという推測も提起されている。北朝鮮の「スカット-B」生産能力は、1カ月に8~12基(年間100基)で、保有量は約500基と推定される。「スカット-C」の月間生産能力は4~8基程度で、60基をイランとシリアに販売した。北朝鮮がこれまで中東地域に販売したミサイルは、イラン202基、シリア150基、イラク100基など、総計490基とされている。








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最終更新日  2011年04月15日 14時56分08秒
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