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2010.03.18
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カテゴリ: Jリーグ観戦記
 閑話休題。
 50過ぎのオヤジと19歳のJリーガーを比較することに、そもそも無理がある。同じように、リーグでも突出した戦力を擁するレッズと比較されるのも、FC東京には酷な話かもしれない。開幕の横浜F・マリノス戦はなんとか凌ぎきったものの、城福浩監督は知恵を絞るほかなかった。そして、その結果引き出した結論が、ポッカリと空いた中盤の心臓部に徳永悠平と羽生直剛を並べることだった。FC東京といえば、パス回しのサッカーをベースにするという意味でレッズの先輩格にあたる。しかしボールを回そうとするあいだにパスは途切れ、セカンドボールも拾えない。中盤を完全にレッズに支配されていた。
 指揮官が振り返る。
「ずっと勝ててなかった相手だったので強い気持ちで臨みましたが、ボールを前に奪いにいったときに最終ラインが後ろに残ってしまい、そのスペースを相手に使われて苦しめられました」

 レッズは18分、大分から加入したセンターバック森重真人がPKをとられ、キッカーのポンテにインサイドで浮かしたボールを決められた。20分過ぎからのレッズの攻撃は見事だった。中盤からバイタルゾーン、ゴール前にかけてのスペースで、まるで水が流れるようにパスをつないで襲いかかる。
 たとえば27分、平川がポンテをポストに使ってワンツー、ふたりのDFをあっという間に置き去りにし、エジに繋いだ。フィニッシュのポイントで田中達也に合わせることができなかったが、ギリギリの隙間を見切って速いボールを繋ごうとする点で、明らかにFC東京を上回っていた。
 逆にFC東京は、時間の経過とともに自信を失ったのだろうか。安全地帯でばかりパスを回そうとする。推進力を失い、相手にも読まれやすい稚拙な攻撃となっていた。
 そんななか、36分にレッズが得たフリーキックがひとつの山場となる。エジに対する森重のファウルで、ペナルティアーク右側の位置から陽介が蹴る。左ポストにはね返ったボールに達也が食いつくが、これも右ポストに当たり、不運にもGK・権田修一の両腕におさまってしまう。コンマ何秒という瞬時に、2度もポストに当てたシュートを見たのは、いったいいつ以来のことだったろうか。

 ゲームの行方が大きく動いたのは39分、エジを止めようとした森重がまたもやイエローをもらい、退場になったことである。

「2枚のイエローをもらった森重は、もちろん反省すべきです。だけど、あの状況でもらった1枚目のイエローがちょっと……。激しいプレーに対してレフェリーが流しているのはいい傾向だとボクは思ってます。強いコンタクトに対して、しっかりプレーできますから。だけど手を使うことによって、あそこで試合を決めるPKをとられるとは……。ボク自身も勉強する必要があります」
 今シーズンから、手を使った行為に対する判定基準が厳しくなった。昨年まで流されていたものが、今年は許してくれない。しかも、PKである。そこに指揮官の困惑があった。
 だが、なぜ何度もファウルをとられたのか。最も考えなくてはならないのは、実際にピッチに立っていた森重だろう。これが国際トーナメントであれば、試合ごとにレフェリーが替わり、そのたびに判断基準も変わる。人間が判断するのだからいたし方のないことだが、だからこそプレーヤーは、その日のレフェリーの癖や基準を見抜く必要があるのだ。

 しかし数的優位に立ったレッズも、ゲームをコントロールしようという客観性に欠いていた。
 試合後のフィンケの言葉が象徴的だ。
「11人対10人の状況が続いたほうが、いいパフォーマンスを見せられたと思います。数的有利な状況になると、何人かの選手が集中力を失ってしまいがちだからです。追加点を奪うべきゲームだったのに、ゲームをコントロールする能力、ゴールに向う形に欠けていました。まぁ、勝点3を奪うことが大事だったんで、これ以上の不平は言いません」
 結局、レッズはPKによる1点止まりだった。撃ったシュートもクロスバーを叩いたエジのシュートを含めたレッズ9本、FC東京4本と、思った以上の差はない。しかも相手がひとり少なくなった後半のレッズは、前半の半数にあたる3本だけである。
  一呼吸おいて、フィンケが続ける。
「私たちコーチは、選手の頭の中で何が起きてるかという心理学を考えなければなりません。しっかりと準備してきたにもかかわらず、開幕戦では前半5分という時間で失点しまいました。それによって、選手のメンタリティに大きな影響を与えてしまったのです。11人対11人の状況では、山田と坪井がとても素晴らしいパフォーマンスを見せていたんですがね……」
 フィンケは長いスパンでのチーム作りを想定して、急ピッチで世代交代をはかってきた。下部組織の充実ぶりと、地元の強力なサポート、そしてフロントの努力、この3点セットが彼の挑戦を支えている。だが22歳の森重が見せた若さゆえのミスは、そのままレッズにも指摘できるわけだ。

 日本代表も急激な若返りを図ろうとしてきた。しかし監督と選手、選手と選手、それぞれのあいだの意思疎通がバラバラになっているフシも見受けられる。代表の話題に関しては次の機会に譲りたいが、若さゆえのミスと、それによって引き起こされるチーム内の動揺を鎮めるのはベテランたちにほかならない。

 レッズの次節は、モンテディオ山形とのアウェイゲームだ。第2節の清水エスパルス戦は0-3の完敗に終わった山形だが、エースの長谷川悠が負傷したあとも粘り抜き、2つの失点はいずれも息が切れた試合終了間際のことだった。FC東京戦で見せたような素早いボール回しで相手の体力を消耗させ、後半で一気に勝負をかけられるかどうかが鍵となるだろう。
 またレッズ戦13連敗が決定したFC東京は、ホームの味スタにセレッソ大阪を迎える。元FC東京の茂庭照之、尾亦弘友希らとのマッチアップになるというわけだ。セレッソはJ1の闘い方にまだ慣れていないが、3万8000人近くを集めた第2節の大阪ダービーをドローで切り抜けた。いまだ充分な戦力が整わないなか、城福監督は再び知恵を絞らなければならない。

【了】





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最終更新日  2010.03.18 13:53:41
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