July 28, 2007
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カテゴリ: そのほか
バスの車窓から一匹の大きな雄牛が見えた。

家人と思われる大人と子供が三、四人で暴れる牛を綱で引っ張っていた。
牛は鳴き続けながらあごを上げ目をむいて失禁し小便を凄い勢いで放出している。
ああ、これから捌かれるんだな、、そう思うしか無い光景だった。
僕は初めて見るその光景を見逃すまい、と更に見つめ続けた。

バスは水たまりの多い赤い泥土の道ばたの停留所でまだ停まっている。
民族衣装の物売りたちもまだバスの周りに群がっている。
牛の家の家人が僕の視線が目に留まった様だ。

牛を杭につないだままそれまでの作業を止めたようだった。
そして、繋がれた牛を残し彼らはその場を離れて行った。

僕の視線が彼らにしてみれば異様だったのかもしれない。
殺生を責められている様に感じたのだろうか?
でも、僕はどうしてもその牛が捌かれる瞬間を見ておきたかった。
体中から体の底からどうしてもその瞬間を見ておきたい、、。
そういうエネルギーの様なものが湧き上がって来ていた。

彼らにとっては文字通り日常茶飯事の事であっても、
僕は都会の文明の中でしか生きて来ていないから知らない。

今まで何を口にして自分の体の中に取り込んで、
自分の命の糧にして来たのかを、、。


姿、必死の抵抗、失禁、そして目
これらを見ずして、知らずして、、
僕は今まで何十年もの間言って来た、、
「いただきます。」
「ごちそうさま。」


血を噴き出すかもしれない、
血が流れ、声が止み、動きを止め、
そして息絶える。
その瞬間まで見なければならない。
僕は頭が考える前に、
決して頭ではなく今思い起こせば確かに
その時は僕の魂がそう欲していた。

その瞬間まで見るべきだ。
人として見たい。
そうとしか言いようが無い。
でもその僕の視線のせいで家人は作業を止めた。
僕は最後まで見る事は叶わなかった、、

自分の中の何かが枯渇している、、
正に命が食料に変わろうとするその姿を少しだけ垣間みて感じた。
その餓えた僕の目はその家の人たちの目にはどう映ったのだろう。
きっと奇異に映った事だろう。そう思う。

人任せにして出来上がった
「食料という商品」を買って食べて、、、
それで僕は本当に生きている。
そういえるんだろうか?

先日、検査を受けたら中性脂肪が数値を遥かに上回り、
CT検査でも腹と肝臓の油がしっかり確認された。

もうすぐお盆だ、終戦記念日も近いな、、
何故かその時期にこんな事を思い出す事が
何か繋がっている様に感じてならない、、。

そう、今年は父の初盆。

段取りは妹任せにしてしまっている。
悪い。ありがとう、、
ごめんなさい。
いつも愛想無しつっけんどんで申し訳ない。





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Last updated  July 29, 2007 01:37:25 AM
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