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2013年2月、まろめが急性腎不全に倒れました。
ある朝、まろめはジャンプから着陸して急によろめき、そのまま座り込んで動けなくなりました。異変に驚いて病院に駆け込むと先生から「手遅れかもしれない」と言われ、生まれて初めて「腰を抜かす」ことを経験しました。本当に悪夢を見ているようでした。
晩年、腎臓を悪くする猫はとても多いです。
先生は、「ダメかもしれないけど」と、すぐに静脈点滴を始めました。本当は入院させて昼夜連続して受けることが良いようですが、以前入院させた時に、すっかり落ち込んで食欲が無くなり生死の境をさまようほどだったので、先生が、毎日通いで日中だけ静脈点滴を受けるよう提案してくださいました。その際、もし家で痙攣が起きてもどうする事もできないから落ち着いて触らずにひたすら見守るよう教わりました。開院時間の朝9時半にまろめを病院へ預けて、約8時間の静脈点滴を受けて、夜7時に迎えに行く毎日。家に連れ帰ると、その都度に安堵するのか日に日にごはんを沢山食べてくれるようになり、私たちも勇気づけられました。痙攣は一度も起きませんでした。このやり方が功を奏したのか、病院へ連れて行く度に快復するのがわかりました。まろめも必ず家に帰れる事が理解できたのか、朝、病院へ連れて行かれる時にあまり抵抗しなくなりました。一週間程度で症状が安定したので、今度は2日に1回の注射と皮下点滴をさらに約一週間。そして、先生から皮下輸液の仕方を教わって、その後は私と主人でまろめに輸液を行う自宅療養となりました。3.2キロあった体重が発病後2.4キロまで減ってしまいましたが、体力が食欲と共に快復し、4カ月経った頃には3キロ超えるぐらいまで回復しました。この頃、慢性腎不全のまろめは一見すると普通の健康な猫に見えました。
皮下輸液は、人間用のリンゲル液パックをレンジで人肌に暖めて使用します。ほぼ毎日約100ccづつ、所要時間は約2分くらいとあっという間で、慣れれば負担ではありません。輸液の量は多すぎると顎の毛が禿げるようになったので(関係ないかもしれません)、2日に1回にしたり、食欲や吐いたりする様子を見て量やペースを変えました。針を刺す部位は母猫が子猫を運ぶ為に噛む首の部分なので、まろめが痛くない事は分かっていても、はじめは針を刺す事に抵抗があり、夢でうなされる程イヤでしたがすぐに慣れました。まろめもさほど嫌がりません。むしろ、温めた輸液が心地よいのか、朝、時間になると自分からやってくることもありました。輸液の後は気分が良くなるのか 、必ず食欲が増します。その後病院へは月に1回、すっかり安定し徐々に2ヶ月に1回、輸液を貰いに通うだけで健康が維持できていました。輸液の他にもネフガードやレンジアレンなど、リン吸着のサプリメントも摂取していましたが、飲ませた後に必ず吐くようになったので辞めました。吐き気がひどくあまり食べてくれないときには吐き気止めのプリンペランのかけらを飲ませましたが、とてもよく効きました。
8月下旬、歩行がおぼつかなくなるとみるみる二日程で寝たきりになりました。歩いてトイレに行く事が出来ないけれど上半身だけ起きてアピールするので、猫砂まで連れて行って身体を支えながら用を足させていましたが、そのうち寝たままペットシートで済ますようになりました。それでも食欲は多少あり、お皿を鼻先に出すとゆっくり食べます。病院でロイヤルカナンの腎臓サポートリキッドを勧められ、お皿に入れてなめさしたりシリンジで与えたりしました。寝たまま動かすのは首だけとなり、床ずれにならないように、羽布団とペットシートでふかふかのベッドを作り、時間を見て体制を変えさせたり寝返りを打たせ、トイレの度に温かいタオルで身体を拭いてマッサージをしました。時々激しい痙攣を起こすようになりました。黒眼がちの目が更に黒眼がちとなり、どこを見ているのかわからなくなりましたが、それても撫でれば小さくゴロゴロ言って答えてくれました。
8月末日金曜日夕刻、私が仕事を早く切り上げ帰ってくると、ベッドに横たわるまろめは私に向かって低く弱く鳴いたので静かに起こしてトイレをさせました。嘔吐く仕草をしたので、気持悪いのを緩和するため、シリンジの水で口を濡らし、プリンペランを飲ませ、リキッドを鼻先に差し出しますが全く興味を示しません。ごはんを食べないのだからカリナールもセミントラも無理に与えなくてよいだろうと思いながら、シートを替えて、とても迷いましたが輸液をしました。しばらくして少し鳴き、全身にぐっと力を入れたかと思うと、いつの間に旅支度をしていたのか、まろめはカバンをくわえてさっと出て行ってしまいました。
14歳と8ヶ月でした。