楽しみにしていた土曜日はすぐにやってきた。
朝から妙にうきうきするしのぶだった。
何を着ていこうかしら?運転させてもらうんだから
やっぱりジーンズよね。
顔を洗って歯を磨いて・・・。
リップクリームだけでしゃれっ気のなし。
うきうきしながらもなんの努力もしてない。
竹本は青いスポーツタイプの車に乗っていた。
もちろんミッション車。
時間通りやってきて、どこで練習するか考えていたらしく
神野埠頭に車を走らせる。
人も車もいない。時々釣竿をもったおじさんが歩く程度。
広さは十分。海に落ちる危険もなさそう。
「じゃ エンジンのかけかたから教えようか・・・。運転席に座って」
『は~い、たぶんそのくらいわかると思うけど・・・。』
「じゃ、やって、エンジンかけたらクラッチをふんでミッションをここに入れて」
『え?こう?』
「そうそう、でくらっちをそ~っとゆるめながらアクセル踏んで」
『私運動音痴なんですよ、できるかしら?』
「エンストしてもいいよ」(笑)
という会話を交わしながら延々と練習。
時間的には30分もやってなかったかな?
『そろそろなんとなくわかりました。』
「そう?じゃ、どこか喫茶店にでも行く?」
『え、いいんですか?』
「このあたりは喫茶店が多いんだよね。」
『へ~そうなんですか、こっちにはぜんぜん来たことがなくて・・・。』
「いつも休みは何してるの?」
『休みはたいてい、毎日たまっていることの片付けや、洗濯や勉強
たまに家に帰ります。』
「家は近いの?」
『K市です、バスと電車で1時間30分くらい。』
「ふ~ん 近いね、どうして寮に入ってるの?」
『一人暮らしがしたかったから・・・。』
「満喫してる?」
『いえ、そうでもないかも、結局自分でやることはたくさんあって。』
「そうだよね~、案外家から通ったほうが楽だったりするね。」
『家はどこなんです?』
「広島」
『どうしてこっちに出てきたんです?』
「この大学が受かったから・・・(笑)」
『私だってそうだけど・・・』
結局、車の運転はそれほどきちんと教えてもらうわけもなく
この日からしのぶと竹本はちょくちょく遊びに出かけるようになった。
つづく
遠距離恋愛(学生編)15 2012.10.13 コメント(1)
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