最新情報 前立腺がんの診断と治療

最新情報 前立腺がんの診断と治療

2013年02月28日
XML
カテゴリ: 前立腺がん
『PSAって何でしょう? 』でも説明しましたが、前立腺肥大症つまり、前立腺が大きい人はPSAの値が高くなる傾向があります。とくに超音波検査で体積が50cc以上あるような前立腺肥大症のある方では、PSAは4.0を超えることはよくあります。正常値を超えて10前後まで上がることもありますし、PSAが20~30ぐらいに上がることも稀ですがあります。このように前立腺肥大症がある方で、PSA高値だった場合の解釈はかなり難しいのが実情です。PSAが軽度上昇したのは、前立腺肥大症のせいかもしれません。お話しているように、前立腺肥大症と前立腺がんは併存することも多いので、この見極めが難しいのです。しかし、結局、前立腺針生検まで行わないとわからないということになります。


前立腺肥大症とPSA検査で、注意が必要なのは、ある種の前立腺肥大症の治療薬により、PSAの値が影響を受けることです。『前立腺肥大症と前立腺がんは違うの?』でも説明しましたが、ある種の前立腺肥大症の薬やほかの疾患で使う薬を長期に服用すると、PSAの値が下がることが分かっています。アボルブ、パーセリン、プロスタール、プロペシア(増毛剤)などです(安い後発品だと名前が違うかもしれません)。これらの薬には、男性ホルモンの作用を下げる作用があります。最近日本で前立腺肥大症の方でよく使われる、アボルブという薬剤は、長期に使うと前立腺は小さくなり、排尿症状にとても効果があります。この薬を続けると、PSAも下がってきます。6~12ヶ月使うと、大部分の方は使う前の40~50%にまでPSAは下がります。つまり、PSAが仮に8.0だとすると、薬を続けると、半分以下の正常値4.0以下となってしまって、PSA検査でひっかからなくなってしまうのです。下がっている事が、薬のせいだと患者さんも医者もわかっていればいいのですが、問題なのは、PSAが下がって、落ち着いていればいいのですが、十分下がりきったあとから(たぶん半年以上薬を服用してからだと思います)、上昇傾向が出てきた時です。これは、悪性度の高いこの手の薬が効きにくい前立腺がんが出てきた可能性があると最近言われています。


逆にこんな話もあります。

『前立腺肥大症があって、症状が強く、泌尿器科を受診しました。アボルブを服用する前に調べると、PSAが高いので、生検を行いましたが、がんは見つかりませんでした。アボルブを服用すると、前立腺肥大症の症状は薄らいで、おしっこの勢いもずいぶん良くなりました。
悪性度の低い前立腺がんや前立腺肥大症の部分は、アボルブの効果で縮小し前立腺も小さくなります。アボルブが効かない悪性度の高い前立腺がんは大きさがあまり変わらずに残るので、悪性度の高い前立腺がんは前立腺内において相対的に大きくなります。アボルブ内服前後で前立腺の大きさに関わらず、同じ本数前立腺生検するなら、この時に生検を行うと、効率よく、命を脅かす前立腺がんを検出できるのではないか?悪性度の高い前立腺がんの部位に当たる確率が上がるというわけです。逆に言うと、PSAの高い人は、アボルブを使ってから生検を行った方が、悪性度の低い前立腺がんは抑えてしまい、見落としてはいけない前立腺がんを見つける確率があがるかも?』
このことが正しいかどうかはまだまだ推論の域を出ていませんが・・・

ともあれ、これらの前立腺肥大症の薬(アボルブ、パーセリン、プロスタール、プロペシア)は、PSAの値を下げますので要注意です。処方している医者は、わかっていると思いますが、念のため、前立腺肥大症の患者さんにもお知らせします。

 つまり、この手の薬の服用を続けて、PSAが十分に下がるのはいいのですが、薬の服用を続けているにもかかわらず、PSAが上昇してくるのは、悪性度の高い前立腺がんの存在、進行を心配をしないといけません。



人気ブログランキングへ

にほんブログ村

  ↑ ここまで読んでいただいた方,応援お願いします。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年05月11日 18時42分09秒
コメント(0) | コメントを書く
[前立腺がん] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: