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2012.12.23
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 本芝居のネタ元である劇団天井桟敷の公演『地球空洞説』は1973年の8月杉並区高円寺南に所在する小公園にて街頭劇として上演されていた物らしい。この公演の事は高橋咲の『15歳 天井桟敷物語』にもチラッと登場する。高橋咲は名前そのまんまの「サキ」役を演じ、スポンサーの安倍譲二にノルマのチケット全部買いあげてってもらったんだっけ?)

 それから40年近くもたった21世紀の晩秋。俺は池袋の公園で芝居を観に来た観客と単なる野次馬の群れにまみれ、公衆便所の屋根に上った空洞学者コンビの「地球の中心は何もない 空っぽなんだ」というアジテーションを聞いていた。一人は劇団主催者である流山児祥である事は直ぐに知れたが、もう一人は誰かなと思っていたら、寺山とは「アングラ演劇」界の好ライバルであり同志でもあった唐十郎の『状況劇場』の名優であった大久保鷹(劇中に状況劇場の名場面再現コーナーがあったけど、一体どれ程の観客がそれと分かったのかな?)だった。公園の前にそびえる築60年はたっているという豊島公会堂(現・みらい座いけぶくろ)の佇まいと共に過ぎ去りし時代の残像が垣間見えた…と思ったのは、俺だけではなかったはずだ。

その二人組の導きで屋内に移った芝居は舞台下手にバンドが待機しJ・Aシーザー作曲の劇中曲などを生演奏する仕掛け、事ある事に総勢60人弱はいそうな出演者が歌い踊る。小劇場の小屋としては大き目なキャパと舞台をいっぱいに使った趣向は正に演出者の面目躍如と言えそうだが、天井桟敷に疎い俺なんかには馴染みが薄い曲ばかりだし音響もイマイチ良くなかったりして、ついて行きずらかった部分もある。ただ「見世物ミュージカル」としては役者は良く訓練されているし、見た目としてはこれで十分なのではないか。

 元の台本と照らし合わせてみてはっきり分かる事は、かつての天井桟敷の演劇にあったであろうおどろおどろしさ、街頭劇ならではの観客、もしくは小市民的社会に対する挑発みたいな物は薄まり、その分「銭湯から帰ってきた人間が自分の存在が消滅している事にショックを受ける」という本作のメインテーマが、地球の空洞化に掛け合わせた「世界の終わり」にまで繋がりかけない(それには勿論東日本大震災、それに連なる原発問題が深く関わっている訳だが)危険性を暗示していると感じる。

 飛翔のイメージはかの人力飛行機からも連なる寺山特有の表現だと思うが、ラスト豊島公会堂の上空に浮かんでいた気球はぼんやりと薄ら暗く、まるで何年か先の地球の姿みたいに思えた。それは舞台の何処か空々しい明るさとは対照的であったが。
 地球が空洞だとすれば俺たちの肉体だって血が通っているなんて嘘で、実は空っぽなのかもしれない。そんな風にすら感じさせる最近の世の中、本当に俺たちの体の中で「血は立ったまま眠っているのだろうか? 


 ぼくの心をあなたは奪い去った 
 俺は空洞 でかい空洞 
 全て残らずあなたは奪い去った 

 バカな子供たちが ふざけて駆け抜ける 
 俺は空洞 でかい空洞
 いいよ くぐり抜けてみな 穴の中 
 どうぞ 空洞…(ゆらゆら帝国『空洞です』)



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 寺山修司の作品についても書かれています。↑





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Last updated  2012.12.24 00:55:26
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