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2015.09.11
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寺山ワールド 若き演出家の挑戦

 演劇をはじめ、詩や短歌、映画と幅広い分野で才能を見せた寺山修司が今年、生誕80年を迎える。

 節目のイベントが多数開かれる中、藤田俊太郎(35)と藤田貴大たかひろ(30)という寺山を直接知らない若き演出家が、彼の作品に挑む。

藤田俊太郎 「人魚姫」独創的に解釈

 藤田俊太郎は、蜷川幸雄の演出助手を長年務めてきた。持ち前の美的センス、バンド活動で培った音楽性が持ち味だ。昨年、演出家として本格的デビュー作となるミュージカル「ザ・ビューティフル・ゲーム」が絶賛された。

 秋田県出身。寺山作品との出会いは、高校になじめず居場所を探している時期だった。「救いの場のように(寺山の)短歌を読みあさった。寄り添ってくれる言葉がある。東北の少女のような目線で書いた叙情的な作品に引かれた。海を見ながら読んだものです」

 それから十数年。念願の寺山作品の演出を、兵庫県立芸術文化センターと演劇ユニットProject Nyxから依頼された。演目は「人魚姫」。寺山がアンデルセンの童話を原作に、1967年に人形劇団のために書いた。「後のアバンギャルド(前衛)と呼ばれる作品群とは異質のメルヘン劇で、叙情性にあふれています」

 海の上に憧れる人魚姫が、難破船で命を助けた若い船長に恋をして、魔法の薬を飲んで人間になる。陸上で船長と再会できたものの、初恋はかなわず海にも戻れない。「なみだってなあに?/世界でいちばん小さい海のことだよ」といった美しいせりふが満載だ。

 まず「海」を独創的に解釈した。「寺山さんの見ている海。秋田の海の目の前で短歌を読む僕――。そこで東北の海と読み解いた」。また、今を生きる作り手として東日本大震災は避けられない。人魚姫は東北の少女、美しい海中は東北の祝祭、帰る海がない状況を震災の惨禍と解釈した。



 寺山の台本は「読み込んでも毎日発見があります」と話す。出演は青野紗穂、悠未ひろら。9月18~27日、池袋の東京芸術劇場。(電)03・6312・7031。

藤田貴大 時代の質感更新したい

 藤田貴大は、演劇団体「マームとジプシー」を主宰する劇作家・演出家だ。象徴的な場面を様々な角度で見せる「リフレイン」という手法を駆使し、漫画家の今日マチ子、作家の川上未映子ら様々な分野の才能と共同作業を重ねて斬新な作品を作っている。

 北海道出身。寺山作品には高校時代から親しんできた。「どの時代でも文学少年・少女にとっては神。まずはエッセーや短歌、詩集を読みました」

 今、寺山と同い年の蜷川幸雄の半生を描く「蜷になの綿わた―Nina’s Cotton―」も制作している。そのため、学生運動で騒然とする中、彼らが頭角を現した1960年代について考えることが多い。「多分、僕と同い年ぐらい。僕らも演劇を熱くやっているつもりだけど、全然違う熱さがあった。どんな言葉を使って演劇を作ったのか興味がある。焼け野原から何かを始めようとする状態だったのでは」

 今回、初期の代表作「書を捨てよ町へ出よう」を演出する。67年に評論集として発表され、後に内容の異なる演劇版、映画版が作られた。「リアルタイムで隣にいたことのない寺山さんですが、果たしてそれが、その人を知らないことなのか? どういう人か想像することはできます」

 目指すのは2015年東京版の「書を――」だ。「アングラ劇を作られた時代の質感のまま演出する人は他にいる。僕は視覚的に更新したい。衣装や美術もスタイリッシュにする」

 人力飛行機で空を飛ぶ幻想にひたる若者が挫折を繰り返す映画版を軸に構成する。「寺山さんはコラージュの天才と呼ばれた。僕も本、映画、舞台をバラバラにして藤田版コラージュとして作り直したい」

 歌人の穂村弘、芸人で芥川賞作家の又吉直樹らも参加する。「いろんな人と寺山って何かを考えたい。又吉さんとは寺山コントを作ろうかな」

 今、再認識しているのは言葉の魅力だ。「やけにおしゃれでロマンチック。今聞いても新しい言葉がたくさんある。言葉の芸術家です。寺山さんの言葉を扱えるのは興奮する作業です」。出演は村上虹郎、青柳いづみら。12月5~27日、池袋の東京芸術劇場。(電)0570・010・296。                 (祐成秀樹)

生誕80年 記念の舞台や音楽祭 寺山作の舞台や、寺山に関するイベントなどが続いている。



 10月11、12日は「冥土への手紙―寺山修司 生誕80年記念音楽祭」が東京・恵比寿のザ・ガーデンホールで開かれる。音楽監督は「演劇実験室○天井桟敷」の音楽を担当したJ・A・シーザー。カルメン・マキ、大槻ケンヂ、近藤等則、SUGIZO、新高けい子、元ちとせら寺山を敬愛するアーティストやゆかりの人が集う。(電)050・5533・0888。

 12月6~20日は音楽劇「レミング~世界の涯はてまで連れてって~」が池袋の東京芸術劇場で上演される。2013年の上演に続いて「維新派」の松本雄吉が演出。上演台本を改訂し、溝端淳平、柄本時生、霧矢大夢、麿赤児ら新キャストで臨む。(電)03・3477・5858。

 12月16~23日は花組芝居が「毛皮のマリー」を東京・東池袋のあうるすぽっとで上演する。実験浄瑠璃劇として加納幸和が演出する。(電)03・3709・9430。

 昨今の活況について寺山の著作権を管理する「テラヤマ・ワールド」代表取締役の笹目浩之は「私が思う以上に寺山が巨大化している」と話す。「寺山を知る人たちの継続的な上演がある一方、今回の2人の藤田君や松本さんのように新解釈が出てきた。1回やるとまた上演したがる団体が多い。今は詩人で戯曲を書く人が少ない。俳優たちが美しいセリフを言いたいのでは」と分析する。

寺山修司 てらやま・しゅうじ (1935~83年)青森県生まれ。60年に初戯曲「血は立ったまま眠っている」を上演。67年に「演劇実験室○天井桟敷」を結成し、見世物の復権、ドキュメンタリーとドラマの結合、市街劇など斬新な発想でアングラ演劇の一時代を築いた。




寺山修司からの手紙 山田太一・編





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Last updated  2015.09.15 14:45:48
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