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2015.12.05
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東京芸術劇場「書を捨てよ町へ出よう」 澄んだ叙情と絶望、大胆に現代化 (2015年12月24日朝日新聞)


 寺山修司の作品は、光のあて方で現代が浮かぶ。藤田貴大が、寺山の原色の映画「書を捨てよ町へ出よう」を基に上演台本を書き、演出した同名の舞台はクリスタルな今の輝きを放つ。映画の製作された1971年も今も、下流社会でもがく若者は同じ。しかし、うらみと反抗が黒く渦巻く71年と比べ、藤田の演出する現代若者像には、澄んだ叙情と明るい絶望感が漂う。

 時代認識もさることながら、大胆な手法による効果が大きい。寺山のコラージュ作品を、更にコラージュする。映画は自分探しをする70年代の若者を描いた崩壊家族の物語。幻想を挟み込み、新しいイメージを作る実験色が濃い。主筋は同じだが、藤田は更に加工する。

 冒頭、視覚の仕組みを説明する眼球の解剖場面には、意表を突かれた。ミナ ペルホネンの衣装を着たファッションショーの、臆面のなさ。又吉直樹と歌人の穂村弘が映像でユーモラスに出演する。現代風俗をまとった素材が、唐突に衝突し、芸能的でおしゃれな都会感覚を醸す。

 藤田演出の特徴だが、俳優は、せりふを繰り返し、時に棒読みのように感情表現を漂白する。スピードも速く、体の動きがリズミカル。主人公(村上虹郎)の妹(青柳いづみ)が集団に乱暴される場面など、マット体操のよう。音楽も反抗のロックでなく、山本達久のドラムが舞台を軽やかに律動させる。人物の存在感というより、若者と時代への批評意識が露(あら)わだ。

 コラージュと演技の異化。演出は迂回(うかい)しながら、現代と若者の新しい姿を見せた。

 他に川崎ゆり子、斎藤章子、召田実子、吉田聡子、石井亮介、尾野島慎太朗らが出演。皆、感性と演技がしなやかだ。

 (山本健一・演劇評論家)



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Last updated  2016.01.04 00:12:25
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