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テーマ: お勧めの本(7886)
カテゴリ: 書評
見出し:戦火の勇気。

栗林 忠道 著、 吉田 津由子 編集『「玉砕総指揮官」の絵手紙』(小学館)

 戦争体験はないが、戦争追体験のある私は、とかくこうした類いの資料から得られるリアリティに対しては、少々懐疑心を抱いていた。戦争は悲惨、と皆異口同音にいうが、一体全体、何が悲惨で、どこまでが感情論で、どこまでが憐憫なのか、まったくわからないのである。これこそが、時代の経過という“緩慢な悪魔の計画”なのであるが、ふと手にした本書は、確かに戦時下、それも往きて戻らぬ玉砕覚悟の精神状態の中で、父の安否を気遣う家族に宛てた言わば“日めくり遺書”でありながら、どこか達観したユーモアを感じる。家族を安心させるためのやせ我慢ともどこか違う、もうこの世の者でなくなってしまったかのような、ふうわりとした抒情を偲ばせさえするのだ。
 戦争は悲惨だ。こんなステレオティピカルな言葉を、ここで挙げることは愚問だ。しかし、本書には、戦争体験をユーモラスに語ってくれた祖父の飄々とした面影が重なって、素直に対峙してしまう。家族愛は、戦火においても最大の勇気なら、今、この平和時にもさらなる勇気になるものと信じたい。(了)


「玉砕総指揮官」の絵手紙





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Last updated  2008/04/01 09:53:12 PM
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