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2006年02月06日
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9 王宮
 朝食が済んだころ、王宮からの迎えがきた。身支度をしますからと少し迎えを待たせているあいだに僕は支度をした。シルトさんとの連絡も決めた。僕は真っ白の布を頭からすっぽりと被ってアグを抱いた。そっとズボンのポケットのラピスラズリを確かめた。これからは少し楽しくないことが起こる。荷物として僕達は運ばれることになる。王に魔法使いだと思って欲しいからだ。

 「ミルク、英雄って大変なんだね」
 アグをぎゅっと抱きしめた。

 チャートさんと荷物となった僕達を積んだラクダが王宮へ向かった。
 王宮につくとチャートさんは迎えの人達と中に入っていった。僕はまずアグを外に出して様子を窺った。幸い誰も見てないようだったので素早く飛び出した。身体中が痛かったがとにかく隠れられる場所に急いだ。

 「ミルク、あそこに樽があるよ。あそこの奥に入れないかな」
 アグが見つけてくれた荷物置き場はちょっとした隠れ家に具合よさそうだった。僕は自分を包んでいた白い布ををひっくり返して黒にして着た。そこに足音が聞こえてきた。

 「今晩は大変なことになりそうだな」


 「可哀相なのは娘達だよ。親から引き離されて難しい踊りを覚えさせられて一晩中踊らされてへとへとにさせられて。王は何を考えているんだか」
 「とんと分らないね。それより、ちゃんと油だとか松明だとかの用意をしておかないと俺達が怒られるってことだけは確実なんだから、仕事しようぜ」

 樽だの箱だのが擦れあう音がして、僕は身を縮めた。兵士達は僕に気付かずに立ち去っていった。もう誰もいないだろうか。注意深く耳を澄ませているとどこからか啜り泣く声が聞こえてきた。
 「ねぇ、アグ聞こえる?」

 「うん。女の子だね。僕ちょっと行ってくるよ」
 アグは扉の向こうに駈けていった。戻ってくると僕を案内してくれた。似たような物陰に女の子がしょんぼりと座っていた。

 「さっき泣いてたんだね」
 「うん。泣いてるところ見つかると怖いから隠れて泣いてたの。でももう行かなきゃ。怒られちゃう。私は下手だからみんなよりうんと練習しないとだめなの」

 女の子はそう言って涙を拭いて立ち上がった。
 「もうちょっとの辛抱だからね今夜僕達がみんなを助けにいくから」

 「でも、、。王はとても怖い人よ。それに王のいる場所には沢山の兵士がいるわ。私はもうお母さんのところには戻れないの。きっと」


 「本当に!ねぇそれなら私達も協力するわ。なにかできることかあったら教えて」
 「魔法使いのように突然王の前に現れたいんだ。何か方法があるかな?」

 「分らない。だけど、、。相談してみる。兵士達には見つからないように。それじゃ後で、またここに来るから。じゃぁ」







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最終更新日  2006年02月06日 06時45分53秒
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