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2006年02月05日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 7.ビビ国
   街の入口でシルトさんの友人達が出迎えてくれた。女の人が泣き濡れていた。

 「いったいどうしたんだい」
 「よくきてくれたよシルト。とんでもないことになってしまった」

 泣いている女の人を支えていた男の人が僕達を降ろしてくれながら説明してくれた。
 「オアシスのほとりで歌を歌っていたうちの娘のチャートを王が気に入ってしまって王宮に連れていくというんだ。乱暴な王でもう幾人もの娘が連れていかれたが手紙ひとつ届かない。もう心配で心配でたまらないよ。何ひとつ大切にしない王なんだからね」

 出迎えてくれたレキさんの家でお茶を御馳走になりながら、これまでのことを聞かせてもらった。
 今の王は前の王の息子で二人で仲良く国を納めていたということだった。けれどもある日、井戸を掘っているときに、大きな箱が出てきてそれに触った王は病気になり今もふせったまま。王になった息子はやりたい放題になってしまった。箱はもうばらばらに壊れて今はもうどこにも見当たらない。ということだった。

 わがままになった王が特にやりはじめたことは星を祭ることだった。まず砂漠中に池を作りたがった。オアシスに豊富に水があるとはいえ、そんなに無駄に使っていいはずはない。池はどんどん蒸発していく、そこに毎日人夫が水を運ばされてへとへとだ。生活の水が足りなくなっても王は止めようとしない。なによりも星を映す池を作ることに専念している。その池の周りで娘たちを夜通し踊らせるなどしているらしいとのことだった。


 王宮に近付くと馬車が沢山出入りしているのが見えた。何か大きな建物でも建てる様子だった。
 「あれはなんでしょう」

 砂埃をたてて走る馬車を避けながら大通りの店の人に聞いた。
 「ああ。なんでも、今度の満月に盛大に星祭りを行うようなんだ。また沢山の娘が集められるとのことだよ。まったく」

  8 星祭り

  レキさんの家に帰るとレキさんがチャートさんと抱き合って泣いていた。王宮から手紙がきて明日チャートさんは連れて行かれるとのことだった。
 「ミルクなんとかならないかな」

   「そうだね。祭りが中止になればいいんだろうけど」
 シルトさんが首を振った。

 「あの様子じゃ王は魔物に取り付かれてるよ、街のものがいくら頼みに行ったって聞き入れてくれそうにない」
 「雨でも降らないかな。雨が降ったら星が見えないでしょ」


 「雨ってなんですか?」

 レキさんが言った。
 「雨を御存じないんですか?空から降ってくる水ですよ」

 「いいえ。全然。水といえばオアシスにあるのが全てだと思っていました」
 「あ」


 「ひょっとして、ひょっとして王も雨を知りませんか?」

 「多分」
 「王の気持ちを変えることができるかもしれません」

 「本当に!」
 「シルトさん。割ると雲が出てくる石を持っておられませんか?それで星をすべて隠してしまうのです。僕が星を盗んだって言うんです。言うことを聞かないと返さないって。そうしたら、少しは王も懲りるんじゃないでしょうか」

 「それはいいかもしれない。沢山の石と割る人手がいるがそれは皆に協力してもらえると思う。君が王と話せるようになにか方法を考えよう」
 「明日、娘さんと一緒に王宮に付いていきます」

 「それじゃ、お守りにこれをあげよう。あんたの役に立ちそうだ」
 シルトさんはリュックのなかからラピスラズリの石を取り出して僕に渡してくれた。本当に夜空の星が詰まっているように美しい石だった。僕は大切にズボンのポケットにしまった。

 「ミルク明日がんばろうね」
 アグをぎゅっと抱きしめて明日のことを想った。

 9 王宮





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最終更新日  2006年02月05日 08時18分43秒
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