ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2003年12月06日
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 看護師から保健師に転職するなど、若いうちであれば方向転換も可能です。やってみて「合わない」と思ったり、「もっと違う分野にチャレンジしてみたい」と思ったとき、すぐ近くに別の道が用意されているわけ。ゼロから勉強し直さなくても、それまでの経験が生きてきます。

 ちなみに看護系大学は少子化が進む中でも続々と新設あるいは学科増設されています。それだけ社会からのニーズが高い。つまり、大卒の看護師・保健師は有望職種と見ることができるのです。2003年現在でその数は全国で107にのぼり、修士課程64、博士課程19となっています。

「堅実」という言葉を使ったワケは、第1に安定性です。主な就職先は公務員、医療機関、教育関係、健康管理室のある大企業や健康保険組合などで、いずれも景気の波に大きな影響を受けない。ただ、公務員は居心地がいいので定年前に辞める人が少なく、新卒者の採用は欠員補充程度にとどまります。これからなりたいと思う人にとっては狭き門になっています。

 第2に専門職としての磐石なステータス。女性の専門職の中では歴史が古く、先輩たちのお陰で社会の中に確固たるステータスを築いています。これを別の視点から見れば、「既にできあがってしまった仕事で新しくつくる余地がなく、つまらない」ということになるかもしれません。

 ただし、人間という移り気な生き物を対象にしているため、時代が変われば仕事の中身も変化してきます。少子高齢化、エイズ、成人病やうつ病の増加、ひきこもり、児童虐待といった現代社会に特有な新しい現象への対応、問題解決が求められているのです。

 そうしたマクロ的な視点とは別に、ミクロの視点つまり看護師や保健師の仕事の対象である1人ひとりの人間に焦点を当てて見ると、これほど変化に富んだものはないかもしれません。人間はそれぞれに異なる独自性を持っています。人権尊重の思想が浸透していなかった大昔とは違い、マニュアル的な対応が一番通用しにくい世界でしょう。病気や死、生きることそれ自体といった、人間の中でもっとも生々しい部分を扱うからです。このように「古くて新しい」という魅力も見逃せません。

 保健師という職種について理解するには、看護師と比較対照してみると分かりやすいでしょう。まず、なりかたの違いを比べてみましょう。

 保健師になるには、大きく分けると2つのコースがあります。看護師の免許を取った後に取るか、あるいはストレートに取るかです。いずれも高卒後4年以上かかる計算になります。

 看護師→保健師のコースは、看護師の免許を取得した後に1年制の保健師養成校で学び、保健師国家試験を受験することになります。3年制の看護学校または3年制の看護短大を卒業して看護師免許を取得した後すぐに進学する人もいれば、看護師として臨床経験を積んでから方向転換する人もいます。

 ストレートに保健師免許を取得するなら、看護系の大学へ進学し、保健師国家試験の受験に必要な科目を選択・修了し、国家試験に合格しなければなりません。

 看護学校は学費が安く、私立校でも奨学金を利用すれば負担が軽くなるので、経済的に余裕がない場合は看護師→臨床経験→保健師のコースがお薦めです。看護学校や看護大学で学ぶ人の中には、OLなどの社会人経験のある20代後半から30歳前半の女性もいます。

 次に仕事の特色について見てみましょう。大ざっぱに言えば、看護師の仕事の対象が既に病気やケガの患者さんであるのに対し、保健師の仕事の対象には健康人も含まれます。つまり、予防医学のジャンルで活躍しているのです。

 私たちはふだん、何気なく「予防」という言葉を使っていますが、医学の世界でいう予防には1次から3次までの3ランクがあります。

1)1次予防(病気にならないための努力):健康教育、衣食住環境、労働環境、遺伝相談、予防接種、災害・事故の防止、禁煙・禁酒など
2)2次予防(病気になっても、その病気で死なないための努力):病気の早期発見、防疫、治療、合併症・後遺症の予防など
3)3次予防(病気で死ぬまで良い人生の質を得る努力):‘終末医療’、機能回復

 この全てが保健師の仕事の範囲になります。

 保健師の「仕事場」はおもに2つあります。それは、地域と産業です。地域で働く場合は、公務員になるか、在宅介護サービスの担い手である訪問看護ステーションに就職するか、いずれかになるでしょう。公務員は都道府県あるいは市町村ごとに採用試験が行われます。採用後の配属先は、市町村の保健センター、都道府県の保健所、あるいは役所で住民の保健を管轄するセクションとなります。

 地域保健の仕事の内容は、その対象によって分けると母子保健、老人保健、精神保健の3つの分野が柱になり、そのほかに成人病、エイズ、難病、感染症の予防と対策といった仕事も入ってきます。地域の健康診断や予防接種、健康教室といった保健関係の住民サービスの企画・運営に当たるのも保健師です。

 保健所などの「オフィス」でじっと待つよりも、地域の中に入り込み、家庭訪問する場面がメインとなります。さまざまな人に会い、相談に応じ、問題の早期発見と解決の支援に尽力するのです。地域社会が崩壊していると言われる中で、人々の健康を脅かす問題がさまざまに起きており、その最前線で戦っているのが保健師であると言うこともできるでしょう。

 母子保健のジャンルでは、児童虐待、育児ノイローゼの予防と対策が求められています。精神保健のジャンルでは、ひきこもり、精神障害者の社会復帰支援などが重要なテーマになっています。また、老人保健のジャンルでは、介護の負担に押しつぶされそうになっている家族の支援や、独居老人の見守りなどが現代社会に特有なテーマと言えるでしょう。

 一方、産業保健とは働く人を対象にした予防医学の仕事です。大企業には健康管理室が設けられており、そこで保健師は産業医と連携をとりながら、健康診断、健康相談、健康教育などの実務に当たります。

 リストラ、成果主義の導入が進む中で、働く人にとってのストレスの種は増える一方で、それに伴って生活習慣病や心の病に罹るリスクが高まっています。

 社会経済生産性本部が企業に対して行った調査によると、最近3年間で心の病が増えたという回答が約半数にのぼりました。最も多いは「うつ病」であると、72.3%の企業が回答し、中でも従業員3,000人以上の企業では84.6%にのぼりました。また、心の病による「一ヶ月以上の休業者」は、58.5%の企業に存在しています。

 休業しなければならないような病気は、働く人にとっても企業にとっても大きな損失をもたらします。そうならないための予防と早期発見・早期治療が産業保健師の使命です。

 カウンセラーの仕事を希望する人が増えていますが、いまの日本では就職先、報酬を得るシステム、国家が保証するライセンスといった職業的な基盤が整っていません。その点、保健師は人々のメンタルヘルスのニーズに最も近い現場にいて、職業的な基盤も完成されていますから、保健師がカウンセリングの専門技術を身に付けて対応するのが、最善策のように思われます。

 保健師が活躍できる場として、もうひとつ忘れてはならないのは、国際協力です。おもに開発途上国へ派遣され、飢餓や感染症に苦しむ人々のための支援活動を行います。

 看護師や保健師は、身に付けた技術と専門知識をつかって世界中の人々に貢献することができるのです。

 保健師の仕事についてさらに詳しく知るには、下記のホームページをご覧ください。

http://homepage2.nifty.com/hokenhu/
保健師さん、明日も天気にしてちょーだい

http://www.shigotokan.ehdo.go.jp/jjw/top.html
厚生労働省>JOB JOB WORLD>保健師
保健師が語る仕事の内容、やりがいを動画で見ることができます。必見!





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最終更新日  2003年12月09日 10時11分17秒


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