「働くって、そんなに偉いことなんでしょうか」
「働いているからといって、偉そうにしている女性を見ると腹が立つ」
そんな発言を聞くことが時々あります。働いていない専業主婦の皆さんから。
偉いか、偉くないかは、個人の価値観の問題であるし、偉いことと幸せなことは、人によってイコールである場合もあるかもしれないけど、イコールじゃない人だっています。怒ったり、憎んだり、ひがんだりすることは全然、ないと思う。
自分らしく生きて、その生き方を認めてくれる人がいて、ときどき自分を見失っても、励ましてくれたり助けてくれる人がいれば、それでいいんじゃないか。
自分らしさを自分で肯定できないと、他人との違いが必要以上に気になる。その「違い」によって、自分の価値を貶められているような感じがして、心にさざ波が立つのではないかな。
また、こういう発言もあります。
「働きたいけれども、夫が賛成してくれないので、働けない」
「週1日ならいいけれど、それ以上は嫌だと子どもたちが言う。私は家事を完璧にやらないと気がすまないタイプ。たとえば料理は、残留農薬のことを考えると、安心できる素材を厳選して自分で手作りせずにはいられない。そうすると外で働く時間がない」
夫や子どもには、あなたを家庭に縛り付ける権利はない。あなたは自由だ。自由を勝ち取るために闘え!……とは申しませんけどね。
外で働きたいと思うのもエゴ、母親や妻に働いてほしくないと思うのもエゴ。どちらかを通せば、どちらかは引っ込む。それで、母なり妻なりが「犠牲」になることを選ぶケースが多いようです。
でも、それを「犠牲」であると思うことは、本人にも家族にもいずれ不幸をもたらします。「献身」ならギリギリセーフかな。
「犠牲」という行為は本人を消耗させ、下手をすると死んでしまう。命がなくならないにしても、「自分らしさ」が死んでしまう。自由が死んでしまう。それを幸せな死と呼べるのか?愛する人の命が、魂が失われてしまったら、だれだって悲しむのではないかな。
自分のエゴと、夫や子どもたちのエゴを対立させることなく、お互いに引くべきところは引き、変わるべきところは変わって、歩み寄り、妥協し、譲歩し、協調し共生していけばいいのではないかな。
働くには準備が必要で、機が熟し、潮時が来ないと、うまくいかないでしょう。
「いまは働かないけれど、時機が到来したら働きたい。そのときのために、いまから少しずつ準備しておく」という決断だって、アリです。
働くにしても、働かないにしても、自分で決断することが大切で、「夫のせいで働けなかった」「子どもたちのせいで働けなかった」と、他者に責任転嫁すると「思い」が残り、悔やまれます。それが、年月を経て、後悔、恨み、ひがみ、劣等感といった劣情になって積もり積もっていく。
では、どんな準備から始めればいいか。焦らず、ショートステップで行きましょう。
まずは自分ひとりになって、自分のためだけに創造的に使う時間を1週間のうち1時間でもいいし、できれば4~5時間まとめて確保したい。確保しますよと家族に宣言しちゃいましょう。私だって、私が私らしく生きるための時間が必要よと。
資格を取るための勉強をする、読書をする、人に会う、勉強会に参加する、地域活動に参加する、ボランティアをするといった、無報酬あるいは逆にお金のかかることでもできるならそれでいいし、せっかく時間を使うならお金を稼ぎたいというなら、短時間のパートでも始めてみればいい。
ただ、1日1時間とか、1週間に1回などという仕事はあまりないので、ありさえすればめっけもん。内容にこだわらず、社会復帰のリハビリのつもりで始めてみればいい。そういう仕事は、求人広告には載らないでしょう。口コミで見つけるか、店や事務所の前の「張り紙」で見つけるかですね。つまり地域にチャンスがある。
合わないと思って始めた仕事でも、続けてみるうちに面白くなってくる場合もあります。面白くなってきたら、それは、あなたに実力がついた証拠ですね。実力がついてくれば、評価も上がってくる。「もっとたくさん働いてくれ」と言われるかもしれないし、他のもっと条件のいい仕事へステップアップできるかもしれませんね。
キャリアそのものには、「いいキャリア」も「悪いキャリア」もありません。キャリアは人生そのものであり、仕事の中で与えられる役割以外に、母、妻、娘、嫁、地域の婦人会の役員、PTAの役員、趣味の会での役割、勉強会での役割、友人関係のなかでの役割といった役割経験もキャリアのうちですね。
したがってキャリアの空隙というものもない。病気療養中の患者としての経験だってキャリアのうちです。過去は消せないし、代替できない。
キャリアの内実をどれだけ豊かで、満足度の高いものにするか。それは、人生の節目、節目での決断と将来のビジョンしだいでしょうね。
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