銀の裏地

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絵本の紹介と読み聞かせのヒント満載(?)育児録
幼児から高校生の4児の母、内職編集者でブックトーカー。子どもと本をつなぐ活動を市内各所で展開中。
他にバレエ・演劇・コミック・短歌etc.書籍全般取扱中



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2010.04.03
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 昨日の記事で『ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち』が売ってない!と文句を言っておりましたが、評論社さんごめんなさい。うさぎ、をウサギ表記に変更して、新しい装丁で売ってるのをすっかり失念しておりました。『ウォーターシップ・ダウンのウサギたち』です。
 それから念のため。映画版はナカグロ(・)が入りません。「ウォーターシップダウンのうさぎたち」です。


ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(上)


ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(下)

 ↑ちょっと装丁、きれいすぎるかなあ。ファンタスティック。女性向き?

 というわけで、昨日予告の『シャーディック』。同じくリチャード・アダムズ作、神宮輝夫訳、評論社。

シャーディック(上)

シャーディック(下)

 こっちはほんとに品切れ中。『うさぎ』が大評判になった頃、一緒に購入した図書館は多かったようだが、人間が主人公の異世界ファンタジー、更に『うさぎ』より読みにくいごつごつした話であるため、それ以降新たに買ったところはほとんど無いのではなかろうか。あと第1章の山火事は無駄に長いので、いっそ読み飛ばして主人公が出て来るところから読み始めるのをおすすめする。
 山火事で森から野にさまよい出てきた巨大な熊、たまたま命を救われることとなった狩人ケルデレクはそれを伝説の熊神シャーディックと信じ、巫女団の示唆のもと、熊につき従って長い旅に出る。他の男と違い子どもに親切、という以外平凡で、政治的なことなど何もわからないケルデレクは、都で一部の貴族たちに利用され、祭王として国のトップにまつり上げられてしまう。
 後半、心ならずも軍備増強、奴隷売買の復活などを許可したりと王として臣下に使われていたケルデレクは、しかし大熊脱走の責を負わされ贖いとして追放される(祭王が祭りの終わりに追放されるのは世界各地に実際に見られる風習ではある)。更には奴隷として捕縛・虐待され、一緒に捕えられていた子どもの奴隷たちの境遇の悲惨さに胸がつぶれる思いをすることになる。子どもたちが殺されそうになった時、瀕死のシャーディックと邂逅することで、彼の運命は再び急転する。

 『うさぎ』と共通するのは寓話的ファンタジーであるということ。こちらのほうが、より叙事詩的。知られたものの中では『ゲド戦記』に幾らか近いか。「大いなるものに打ち壊され、よみがえる」ことを予言されている主人公はしかしオリジナルというよりは文化人類学のほうから出てきたような感もあり。その予言が果たされるのが男と女であるあたりはちょっと『罪と罰』の主人公2人(殺人者ラスコリニコフと娼婦ソーニャ)を思い起こさせもする。
 主人公を特異化している性格づけ=子ども好き、がその後の彼の人生の原動力となっていくところが男性作家による男性主人公の物語としては珍しいだろう。ハッピーエンドだし。出会いの場面でケルデレクを「救った」ように、最期において子どもたちを「守った」シャーディックの神話を語り継ぐものとして、また熊神の精神を引き継ぐものとして、ケルデレクは児童福祉に生涯を捧げるのである。



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最終更新日  2010.04.05 16:37:39
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