トトざジャイアントの愛のない暮らし

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Apr 13, 2004

よく映る鏡　－麦太との場合－

(4)

テーマ：自分を見つめる(4)

カテゴリ：麦太との場合

麦太が珍しくメールをよこした。

昔の彼女と話をしたと書いてあった。
でも、パソコンから携帯に送ってるから、こっちは文字数が足りなくて、お話がここぞってところでちょん切れてた。

で、おいら、麦太に後半を送ってもいたいってメールする。
すぐに返事はこなかったから、またおいらのことなんて、どうでもいいって考えてるんだろうな、って思ってた。

もういいや、寝ちゃえ、と思ったところで、メールが入る。

麦太は、彼女が元気だったってこと、
今の彼女の行き方に自分も元気をもらったってこと、

それから、

書いてあった。

そう、麦太は、ただ思ったことを書いただけなんだ。
麦太は自分のなかに確信したことを、ただ書いただけ。
今思えばね。

でも、おいらは、
しょうもないおいらは、彼女と自分を比べてた。

はっきり言うよ。
嫉妬してた、昔の彼女に。
勝手に悲しんでた。麦太のなにものにもなれない、おいらって存在に。

でもって、おいら、やっぱばかだ。
ただ、麦太には、こころに隠し持たないでつきあっていこうって決めたから、そのままつき進んじまった。

そう、彼女を盲信するなって、おいらのこころは叫んでたんだ。

「麦太は、いいとなれば妄信的に信じる。
でも、つまらないものと決め付けた時には、心無いほどにすっぱり切り捨てる。

麦太は決め付けすぎる。

でも、人間関係には、つまらないものにも譲歩することが必要じゃないか？」

「つまらないことには、良いも悪いもコメントする気にもならないね。

俺が決め付けすぎる？
何いってるかさっぱりわからない。

では」

いつもなら『ではでは』で終わる文末。
なのに、ひとっつしかない『では』。

いつだっておいらは、麦太にこころを開いてもらいたいだけなんだ。
で、からまわり。
ただ怒らせただけだ。

麦太は決め付けすぎる？

でも、「決め付けすぎる」ことを恐れてたのは、おいら自身。
おいらこそ、麦太を「決め付け」てたのかもしれない。

麦太は、おいらの手にはおえない人間なんだ、きっと。

おいら、麦太のなかに醜い自分をみた。
麦太が醜いんじゃない。おいらが醜いんだ。

よく映る鏡は、こわい。

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