売り場に学ぼう by 太田伸之

売り場に学ぼう by 太田伸之

PR

Profile

Nobuyuki Ota

Nobuyuki Ota

Calendar

2025.09.11
XML
​今日9月11日は2026年春夏ニューヨークコレクション開幕日。2001年もこの日がコレクション開幕日、私とっても生涯忘れることができない1日でした。

午前中、私たち6人は12日に予定していた自社のニューヨーク大型店舗オープニングに向かうため成田空港のラウンジにいました。在米時代から何度も利用してきた日本航空6便ケネディ空港行き、確か出発時間は正午頃​だったと思います。

あと2時間ほどでケネディ空港到着だったシカゴ上空で突然機長のアナウンス、「ケネディ空港で事故があった模様でシカゴ・オヘア空港に着陸します」、と。そして予定外の緊急着陸、空港の様子がちょっと変でした。オヘア空港滑走路から飛び立つ飛行機はなく、たくさんの飛行機がターミナルに駐機あるいは滑走路手前で待機、ケネディ空港の事故回避にしてはちょっとおかしな光景でした。

ターミナルに駐機すること約1時間、飛行機のドアが開いたら背中に大きくFBIの文字が入った防弾ベストを着て手に機関銃を持ったガタイの大きな男性たちが入ってきたのでびっくり。テロ検査を全ての飛行機にしていたことはのちほどわかりました。一緒に入ってきた日本航空シカゴ支店のターミナル係員から携帯電話を借り、私は現地法人の代表者に電話、ここで同時多発テロ発生と知りました。


2機が激突して崩落寸前のWTCツインタワー

長い時間機内に滞在したあと日本航空の指示でチャーターバスに乗りDAYS INNに移動することに。空港の目の前に建つDAYS INNにチェックインするものと思いきや、空港前ホテルを素通りしてバスは高速道路を1時間ほど走り、両側には牛や馬の牧場が広がってなんとものどかな田園風景でした。

イリノイ州を過ぎウィスコンシン州で高速道路を降りたらWELCOME TO WOODSTOCK(ロックコンサートで有名なWOODSTOCKはニューヨーク州)​
​​​田舎のDAYS INNに到着。アメリカ映画でよく見かける田舎町の小さなモーテルに現地時間午後4時頃チェックイン。ロビーのテレビで凄惨な光景を観てやっと何が起こっているのかを知りました。

こんな田舎にいたら詳しい情報は取れません。米国中の飛行機が運行停止ならばシカゴ中心部の大きなホテルはきっとキャンセルだらけのはず、ネット検索してミシガン湖畔のヒルトンホテルを予約、我々6人はすぐチェックアウトしてシカゴに移動することに。とんでもない田舎なのにピックアップに来た地元リムジンサービスの車の1台はダックスフンド型のどデカいリムジン、これには笑いました。

到着したシカゴヒルトンホテル、古いロビーの階段は映画「アンタッチャブル」でロバート・デニーロ扮するアルカポネが降りてきたロケ場所だったと思います。同時多発テロで全米が大騒ぎしているのに、部屋の前のミシガン湖には帆をあげたヨットでセーリングを楽しむ人々、まるで避暑地のような平和な光景に「ここはテロと関係ないんだ」と安心ました。

先発隊の宿泊ホテルは崩落したWTCワールドトレードセンターから徒歩数分、社員の一人は子供のお土産を買おうとWTC地下ショッピングモールにいたようです。周囲の人が血相変えて走って退却するのを見て彼も脱出、ビルの下敷きにならずにすみました。朝早かったので最上階の展望台はまだ営業していなかったことも幸運でした。

ショップオープン準備のために早めにホテルを出発した先発隊社員たちは歩く途中で惨事を目撃、そのあと帰国するまでホテルに戻れませんでした。彼らはトランク一式をホテルの部屋に置いたまま帰国、怪我人はひとりもなく全員無事だったのは不幸中の幸いでした。


犠牲者や消防殉死者全員の名前を刻印した記念碑プール

しかし、残念ながら現地法人が日頃お世話になっていたWTCにオフィスがある日本の銀行スタッフが多数犠牲者に。WTCの上層階に銀行オフィスがあり、避難することができなかったとのちにNHKドキュメントで知りました。エリート社員としてニューヨーク駐在員になったはずの方々、ご遺族は本当に辛いですね。

WTCに近いホテルには戻れないので、先発隊はミッドタウンにある日系キタノホテルにチェックイン。ところが、行方不明のご家族の宿泊が同じホテル、連日ロビーは重苦しい空気だったと社員から聞きました。

翌日オープニングを迎えるはずだった大型店はテロ現場の至近距離、崩落による粉塵は大量に飛んでくる、延焼の匂いはする、周辺部は軍によって立ち入り禁止、とてもオープンする状況ではありません。結局2ヶ月遅れてやっとオープンすることができ、以来24年経った現在も営業しています。


翌年に訪問したときのグランドゼロ

毎年9月11日が来るたびにあの日のことを思い出します。事件後「ユナイテッド93」(ポール・グリーングラス)、「華氏911」(マイケル・ムーア監督)、「ワールド・トレード・センター」(オリバー・ストーン監督)など同時多発テロ絡みの映画を観ましたが、どうしてこんなに酷いことをイスラム原理主義者は計画したのか、またどうしてCIAやFBIは危険分子の精査していなかったのか疑問は残ったままです。

 WTCは日系アメリカ人建築家ミノル・ヤマサキ氏の設計。その長男タロウ・ヤマサキ氏はニカラグア内戦、ボスニア紛争、ルワンダ虐殺、パレスチナ問題など戦火の弱者を長年取材してきた報道カメラマン、その活動が認められてピューリッツア賞を受賞している人道派ジャーナリスト。こういう家族とご縁のある高層ビルに突撃するなんてあまりに酷い。

WTC高層ツインタワーはミノル氏が発案したチューブ構造(外壁部分に縦の柱を多数並べることによってオフィス空間の柱を減らして有効面積を広く取る工法)で建てられたとか。しかし、突撃機の火災高熱によって外壁が溶解し、床が抜けてビルが崩落したとも言われています。ミノル氏は1986年に逝去していますからテロ事件を目撃していませんが、ご長男タロウ氏はさぞ複雑な思いだったでしょうね。

​​
グランドゼロは再開発された


新WTCのOne World Trade Center


現在のWTC地下鉄コンコース

同時多発テロのあとグランドゼロは完全に復興、たくさんの高層ビルや事件の記念碑などが完成、テロ事件の面影はほとんどありません。ブッシュ政権は首謀者討伐のためアフガン侵攻、次いでイラクのサダム・フセイン政権を転覆させ、オバマ政権はテロ首謀者オサーマ・ビン・ラディンを暗殺、その後イスラム原理主義者と米国との間では血生臭い争いはありません。このまま平和が維持され、二度と凄惨なテロ事件が起こらず、一般市民の犠牲者が出ないニューヨークであって欲しいです。​





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025.09.11 23:26:44
[ファッションビジネス] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: