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「ブルー・ヘブン」(C・J・ボックス/ハヤカワ文庫) 夏に購入して、即日読んでしまったという本。 ここ数年、読書スピードが落ちまくっている私にしては快挙。 まず帯のコピーがにくい。「男が惚れる小説 徒手空拳で悪に立ち向かう、老牧場主の不器用な行き方」 このコピーを見た瞬間、買うしかないと思い、買ってパラパラ見たら止まらなくなりました。 実はカウボーイものは苦手だという私なんですが、この小説は舞台は現代。既に時代遅れの感のある牧場経営は赤字。妻に去られ、息子は病院。たった一人で矜持をを持ち、誇りを失わない牧場主。(六十代だったら「老」はいらない?!) そんな彼が偶然に出会ったのは、殺人を目撃してしまった幼い姉弟だった。 殺人犯たちは町の有力者とつながる元警官たち。 四面楚歌の中、牧場主は子供たちを命がけで守る決意をする。 ざっと書くとこんな話。 それに子供達それぞれの性格とか、男にだらしのない母親とか、殺人犯の警官たち一人一人の個性とか、小さな町の人々とか。別れた妻とか病んだ息子とか。 さまざまな人間が絡んでくる。 いやー、面白かったです。 シンプルではあるけれど、重厚な味わい。 孤立無援であっても、冷静さを失わず、内に秘めた孤独を噛みしめながら、命をかけて(なんの関係もない)子供たちを守る男!!!! かっこいいです。マッチョでもないし、武器が豊富というわけでもない。 ただ、肉体労働で鍛えた身体(それも老いつつある)、と鋼の精神のみ。 なんちゅーかほれぼれ。 帯の言葉を変えなくてはいけませんね、早川書房さん! 「女でも惚れる小説」 ですよ、これは。 こういうの、好きだなあ。「漢」と書いて「おとこ」と読む、みたいな。
2008年10月19日
「老人と宇宙」(ジョン・スコルジー/ハヤカワ文庫) 原題は「Old Man's War」。 コピー通り、21世紀版『宇宙の戦士』。です。 未来において、老人たちは希望すると特別措置を受けられる軍務につくことができる。新しい強靱な肉体、若々しい容貌を得ることが出来るのだ。 しかしそれと引き替えに厳しい軍務につかねばなららない。宇宙のさまざまな脅威に対抗するために、彼には訓練を経て、生まれ変わった肉体で(人間とは異なる、遺伝子操作を受けた兵士の肉体)戦いに出る。 だが、その死亡率はきわめて高かった。 というお話で、何か新鮮かというと、若い肉体であっても、精神的にはみんにお年寄りで、それまでの人生経験もあって、既にひとかどの人格を有しているということでしょうか。 主人公と同期たちの友情がなんとも微笑ましい。けれど、所属がバラバラになり、一人一人の消息が伝わると…うううう。 亡き妻の遺伝子を元に誕生した特殊部隊の女兵士との、なんとも言えないロマンス?(ロマンスというほどではないかも)が、一服の清涼剤。 とはいえ決して重苦しいわけでもないし、なんとなくライトノベル的な印象もあったり。 面白かったので、二巻も購入。 ただ、別のブログでも話していたのですが、個人的にはひねりのある『タフの方舟』のほうが好みだなー、と。(などと言っていたら、二巻がべらぼうに面白かったっす。うわー)
2008年10月18日
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