2002.12.12
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叔父さんの四十九日の法要が、22日に行われる事になりました。
うちの母は瀬戸田の人間です。

しかし祖父が広島銀行に勤めていた為、広島と瀬戸田を行ったり来たりの生活だったようです。
この辺あまり良く知らないのですが、小学校は広島市内に通っていて被爆した・・・そうなので、広島に住んでいた方が長かったのではと思います。

今回は近くといえば近くなのですが、昼の12時までに着かないといけないと言われると、一体朝の何時に家を出発すればよいのやら(涙)

東京の従姉妹達は来るのか不明ですが、多分来ないだろう・・・。

叔父さんのお通夜の日に、従姉妹達と色々話しをしました。

横浜や東京の従姉妹達は叔父にしょっちゅう会っていたので、思い出もたくさんあります。

しんみりと御供養の食事を頂きながら、横浜の従姉妹、ようちゃんが言いました。

「ねー、私さあ、ひで叔父(英夫という名前でした)にお年玉貰った事あるんだけどさあ・・・。」

「えっ。私たち、そんなの一度も貰った事ないよっ。」


ようちゃんは、「いやあ・・・。」とつぶやき、

「確か、小学校4年生だったんだけどねえ・・・。あの時もらったのが最初で最後かな・・・。 450円 くれたんだよね。」

よ・・・よんひゃくごじゅうえん・・・。

シーンとなりました。
そしてふと、ようちゃんの妹、くにちゃんが言いました。

「ああ、私も貰った事あるよ。なんか・・・。タバコ買いに行けとか言われて、『駄賃だ!』って言うから素直に喜んだんだけどさ。 30円。 あたしゃ中学生だっつーの。」

さんじゅうえん・・・。

東京の従姉妹が言いました。

「私もしょっちゅう色んな事やれって命令されたけどさあ、最高2000円しか貰った事ないよ。」

まったく叔父さんという奴は、4人兄妹の末っ子だけあってタイヘンわがままで、いばりんぼだったのです。
言う事を聞かないと、本気で怒鳴り出すのでみんな、

「あー、もう、はいはい。分かりました。分かりましたよ。もう。」

と言う事を聞かざるを得ないのです。

「なんかもう、命令しないといられないんだよね。」

「そうそう。ちょっとぼーっとしてると、やれコーヒー入れろだなんだってさあ。」

なんか評判悪いです。

それに・・・・と、東京の従姉妹が呟きました。

「私さあ、危篤だって聞いて急いでイタリアから帰ったじゃん。」

東京の従姉妹は仕事の関係で、東京とイタリアを行ったり来たりしています。

「慌てて帰って、家に荷物置いて急いで病院に行ったらさあ、ひで叔父、酸素マスクとかつけられてて息とかぜえぜえ言ってるのよ。そんで『大丈夫?帰ってきたよ?』って言ったら、『イタリア土産はどうしたー。』って言うんだよ。」

これ、本当に息を引き取る数時間前です。

「それでさあ、『ええ?急いでたから家においてきたよ。ちゃんと買ったよ。』って言ってんのにさあ、『なんだ、まったくつまんねえ。』とか、ぶっつぶつモンク言うんだよー。」

なんとも叔父らしい発言です。


お通夜が済んで、私たちはまた叔父のマンションに戻りました。

叔父さんの棺に、なにか叔父さんの好きな物を入れてあげようと言う話しになり、従姉妹達と部屋の中をあれこれ物色しました。

取りあえず、ジャケットと気に入ってよく着ていたというシャツを選びました。

叔父さんは競馬が好きで、倒れる前日くらいまで競馬にいそしんでいました。
部屋には自作の「競馬ノート」なる物があり、何冊にも渡って自分の戦跡と傾向と対策が書かれてあったので、そのノートも数冊入れる事になりました。

広島カープ の大ファンでした。
数年前まで広島カープのファンクラブ<関東支部>の副会長だかなんだかをやっていたそうです。

「どこかにハッピとか、帽子とかあったはず。」

従姉妹に言われ、私たちは部屋中を探し回りました。

しかし出て来るのはエロビデオばかり。

カープの応援歌のレコードもあったというので、それも探しましたが結局見つかりませんでした。

「分かってたら、はっぴくらい買ってきたのになあ・・・。」

姉が残念そうに言いながら、部屋に転がっていたスライリー(カープのマスコットの怪しげなイキモノ)のイラストの入ったうちわを 『ひつぎに入れる物袋』 に入れました。

私もなにか・・・と部屋をきょろきょろし、伯母さんが競馬新聞を入れると言っていたので、部屋に大量にあった 馬券申し込み用のマークシート用紙 をひとつかみと、 赤ペン を『ひつぎに入れる物袋』に入れました。

このマークシート用紙、本当に大量にありました。
小さなダンボール一箱分はあったと思います。

時計やメガネを集めるのも趣味だったらしく、入れてあげようか・・・という話しになりましたが、それは最終的にお骨を納める時にしようということになりました。

翌日、お坊さんのお経も読み終わり、「最後のお別れ」の時間がやってきました。

葬儀場の人が、

「お棺に入れる物がありましたら、どうぞ。」

と指示し、私たちは袋から持ってきた物を出して入れました。

仲の良かった叔父さんのお友達は、やせ細って変わり果てた姿になった叔父さんを見て泣きながら、手紙を手元に滑り込ませました。

伯父と伯母も泣いています。
これで本当にお別れです。
みんな泣いていました。

ふと、誰かが笑いました。

「だ、誰?赤ペン入れたの?」

わたしです。こっそりジャケットのポケットにはさみました。

すべて入れるべき物を入れ、お別れをし、とうとう棺を運び出す時間になりました。

霊柩車が来ています。

ふと、不思議に思いました。

確かこの葬儀場、焼き場がすぐ隣りにあったのです。

霊柩車は叔父さんを乗せ、写真や位牌を持った母達を従えながら 敷地内を30メートル移動して すぐ隣りの建物で止まりました。

これ(霊柩車代)が3万円だそうです。

なんだか無意味ですが、一応そういう儀式って言うのが必要らしいです。
ちなみに霊柩車ではなく、台車で運ぶ事も出来るそうで、それだともう少し安いんだそうです。

お棺が火葬される間、私たちはまた食事を取る為に建物の別室に移動しました。

昨日と同じように座り、横浜の従姉妹達に夕べの「叔父さんの部屋物色」の事を話しました。

「やっぱりさ・・・。見られてイヤな物は置いとくべきじゃないねえ・・・。」

私が言うと、横浜の従姉妹、ようちゃんがふと思い出したように妹に語り掛けました。

「ちょっと、あんた、姉ちゃんが今まで描いた原稿がどこにあるか知ってる?」

横浜の従姉妹達は二人共マンガ描きです。
お姉ちゃんの方は同人誌オンリーですが、妹の方はもうデビューして時々雑誌にも載っています。

「えー?知らない。なんで?自分の時はそれを入れて欲しいの?」

「違う。すぐに燃やして。」

ようちゃんは真剣です。
私もヤバい物がたくさんあるので、人の事は言えません。

「じゃあさあ、私が死ぬ時はいまわの際に『積み荷・・・積み荷を燃やして・・・。』って言うから、燃やしてくれる?」 ナウシカ

と言ってみました。するとようちゃんはぶるぶると首を振り、

「積み荷を燃やしてなんて、悠長な事言ってる余裕ないんだよ私の場合。私は バルスって言うから。 一気に全部お願い。」 天空の城ラピュタの破滅の呪文

「じゃあ、くにちゃんが死んだら、私棺に原稿用紙とペンとスクリーントーン入れてあげるね。」

東京の従姉妹が言うと、横浜の従姉妹は悲しそうな顔をして、

「ええ、私死んでも仕事すんの?」

と言いました。 どうやらツライらしい。

そんなカンジでお葬式が終わりました。

母の兄妹で、一番インパクトの強かった叔父の死は私たちにもかなり堪えました。

今現在、叔父さんがどのあたりにいるのか分かりませんが、確か四十九日までは地上にいるんでしたよね?

多分マンションのあの部屋で、父がタバコの灰で汚したコタツ布団を見てぶつぶつ言ってるんだと思います。

22日、今度こそカープグッズを買って行ってお見送りしてあげようと思います。





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最終更新日  2002.12.12 21:38:20
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