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2005年09月21日
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カテゴリ: カテゴリ未分類


一般商業流通システムを経ず、自分たちの経費で出版物を制作するという極めつけの道楽ですね。俗に言う自己満足の決定版、道楽の王道を行く道楽です。
私財を投げ打って自分の音楽をレコード(記録)として残す。
しかも一般流通機構に乗る「商品」としての価値をも得ようと言う、道楽者の極めつけのようなどーらくが自費出版であります。

1978年当時はレコード製作自体がさほど簡単なものでもなく、色々な職人的なプロが手順を踏んで仕上げていくという、かなりマニアックなプロセスを通してしか実現できない作業でした。
最近ではコンピュータを使用したデジタル処理や、一人多重録音機材なども一般に市販されており、ちょっとした知識と予算さえあれば誰でもできることですし、出来上がったCDを一般商業システムに配給することも可能ですから、さほどリスクのある遊びとも言えなくもありません。(音楽文化もようやく大衆化したってことですか)

昔は、出来上がったレコード(商品)を配給するシステムなどありませんから、サークル内とか家族親戚身内一同に無理矢理売りつけて、いくらかでも経費の足しにする程度が関の山でした。
そんな時代ですから、自費でレコードを出版するなんてのは金持ち野郎の道楽か、宗教がらみで利益を狙う怪しいヤツくらいしかいなかったわけです。
それを20代の馬鹿者、いや失礼、若者がやろうと言うのですから、生意気と言うか、命知らずというか、まさしく道楽者と言うしかありません。


ということで、当時の一般的なレコーディング・システム及びリリースまでの手順を、ざっと簡単に振り返ってみましょうか。

1.まずは企画会議ですね。デモを聞きながらアルバム・コンセプトを固めます。これがコマーシャル・ベースですと、販売・マーケティングなども加わります。販売戦略の概要も決められます。自費出版の場合、プロフィット面は自力ではどうにもなりませんから、大概は趣味の範囲での制作ということで予算会議ということになります。

2.次にプロデューサーの選定です。大手レコード会社とかですと、お抱えのプロデューサー、ディレクターがいますから大体は自社で賄います。
厳密に言うと、売上の取り分でこれらの内容は随分変わってきますから、一概には言えませんが、アマチュア系アーティストのデビューとかの場合はほぼ自社社員が担当しますね。
資金面で余裕のあるアーティストならば、自分自身のプロデュースで版権を殆ど自身で所有することになります。ということで、自費出版ではそんな偉い人を雇う予算などありませんから、全ては自分たちあるいは友人たちの援助だけが頼りです。

3.さあプロデューサーが決まったら、レコーディング・スタッフの選定に入ります。
まずは音楽ディレクターを選びます。通常プロデューサーは、出来上がった商品を販売して利益を得るところまでの全工程の責任者ですから、商品としての音楽を監督する役割を担う人間の選定は運命の分かれ道です。
勿論制作予算というのもありますから、予算内で期待通りの商品に仕上げるためには、まさに「あ・うん」の関係で成り立つようにしなければなりません。ということで現場の人選は、ほぼディレクターに一任されます。
ここで何よりも重要なポジションがミキシング・エンジニアですね。
ミキシングマンこそ裏方中の裏方さん、キング・オブ・裏方と言えます。
音源をどのように料理するか、すべてはこの人の腕にかかってきます。

腕の悪いエンジニアだと現場のストレスも溜まるし、スタジオ代もどんどん溜まりますので、プロデューサーにとってもディレクターにとっても全てのカギを握るのはミキシング・エンジニアと言っても過言ではありません。
自費制作でも、こればっかりは素人ではどうにもなりませんので、予算に伴ったエンジニアを使わねばなりません。

4.次はアレンジャーです。コンセプトに合致した編曲を、プロデューサー、アーティストの感性で具体化できるアレンジャーを選んでスコアを仕上げてもらいます。
大抵は音楽監督がアレンジもこなしますが、最近の流行(売れ筋)とかの音を作ったりするときにはアレンジャーを指名したりします。

5.いよいよ次はミュージシャンの選定です。メインのアーティストの好み、ディレクター及びアレンジャーの描いたイメージ、プロデューサーが望むサウンドを具体化できるミュージシャンが選ばれます。バンドを持っている場合は、そのままバンド・メンバーでいきますが、ソロパートにゲストを入れたり、コーラスや管弦楽団などの手配も含めて、ギャラ、テク、タイプを見極めて人選を行います。


どうです?ここまでだけでも、ほとんど職人集団の仕事でしょう。
もっと突っ込んで言えば時間=ギャラとの戦いですから、短時間で制作側の意図を呑み込んでくれて、その通り演奏してくれるミュージシャンは引っ張りだこですから、ギャラもスケジュールも調整はかなり困難を極めます。じゃあ、バンドを持っていれば楽かといえば、それはまた別問題です。ライブでどんなに素晴らしい演奏ができても、スタジオで音を創るという作業はまた別で、納得する演奏が上がるまで何日も掛かるなんてこともあります。特に経験の浅いミュージシャンあたりですと、スタジオ代も馬鹿になりませんから、先にプロのスタジオ・ミュージシャンを使って録音しておいて、後からバンド・メンバーがそれをコピーするなんてこともあるわけです。
もちろんその逆もあるわけで、オリジナル・メンバーの演奏じゃどうも物足りない、などという時には「差換え」といって、そのパートだけトラ(エキストラ)が演奏してトラックを入れ変えたりします。かといって、テクにあまりにも差が出てしまうとバレバレですから、バンドのレベルに合わせた差換え演奏ができる職人ミュージシャンがちゃんと存在するわけです。

7.録音が終わると、ここからが本当にプロ中のプロの仕事になります。
プロデューサー、ディレクター、エンジニアそしてアーティストが、録音の済んだ曲をひとつずつミックスダウンしていきます。SE(サウンドエフェクト)や、足りない音をかぶせたりもして、最終的なマスター・テープを作ります。

8.マスターが仕上がったら、これをプレス工場に発注します。(昔は塩化ビニール製のレコードをプレスする工場がありました)

9.イニシャル枚数(初回リリース)前にラッカー盤と呼ばれる試作盤が上がってきます。
早速ターンテーブルで試聴して最後の駄目押しをします。

10.後は納品を待つばかり。発売予定日に間に合うよう納期を確認します。
この後は各社のセールス・ネットワークによって販売戦略が組まれていきます。

ということで、駆け足でしたが、当時のレコーディング・プロセスを簡単にご紹介しました。
もちろんこの他に、これらのスタジオ手配だのスケジュール調整だの、本当の意味での裏方作業があり、こっちの仕事も音源録音以上に大変な作業となります。
こうしてみると、1枚のレコードを作るのにどれだけの人の魂が吹き込まれているかお分かり頂けると思います。
委員長も実際にこの作業に携わってみて初めてレコード産業の内側を知り、それまでミーハーだのジャリタレだのと馬鹿にしていたタレントさんのレコードも、こうした職人さん達がそれぞれの魂を打ち込んで仕上げた作品であることを知って、商業的な面ばかりを見てノーガキをたれていた自分を恥ずかしく思いました。偉そうにノーガキこいてた自分は、結局何も知らない単なる素人であったことをつくづくと思い知らされたのでした。

ということで、これらの作業をレクチャーしてみてようやく、「録音」に携わるディレクターあるいはミキシング・エンジニア以外の部分は、その全てを自分たちでこなさなければならないということに、あらためて気がついたわけです。
更に、仕上がった「商品」レコードをどのように売り込むか、ヒットを作るか、という販売戦略も自分たちで行っていかねばなりません。
ディスコだ、バンドだ、花だ提灯だと、ただ浮かれて騒いでいただけの自分の非力さをこの時ほど思い知らされたことはありませんでした。
結局俺は、バカなこと喋って踊るだけしか能のない人間じゃないか・・と。

「いや待てよ、ディスコという世界でここまで派手に生きてこれたんだから、ひょっとするとまだ自分でも知らない才能があるんじゃないだろうか」

はい、腰の据わった道楽者はどんな逆境にも必ずノーテンキな結論を導き出します。
ホント、しょーがないお調子者ですよね。
「頭が高い、控えおろう!」って感じです。
でも当時はこんなハッタリが通用したんですから、まんざら道楽者の才能がなかったわけでもないってことですよね。(たわけもの!)





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最終更新日  2005年09月21日 07時10分33秒
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