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2005年10月03日
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「ピカイチがロニーに会いたいって言ってるケド、どうする?」

我らがチーフDJジュリーから渡部ピカイチ氏の伝言を受け取った委員長。
早速渡部氏の勤める六本木の日本フォノグラム社へと出かけて行きました。
お金持ちの坊っちゃんってな感じのピカイチ氏は笑顔で委員長を出迎えてくれましたが、何故かそこにはジュリーも同席しておりました。
もちろん顔なじみのピカイチ氏ですが、こうして改まってお話をするのは初めてです。
ジュリーが気安く話を切り出しました。

「例のさあ、新宿ディスコナイト、ピカイチがフォノグラムで出しても良いって言ってるんだけど、ロニー、どうする?」

どうしてもジュリーも一枚噛みたいようです。というよりは、委員長やムラちゃんの思惑通り、出し抜かれた悔しさは想像以上のようでした。(へへ、これで満足ってトコですね)

渡部氏が大人しい口調で尋ねてきました。

「もしよければ単発のシングルだけど俺にやらせてみてくれる?」

「はあ、でもあんなふざけた曲で良いんですか?」

「まあ、どのくらい売れるかわからないけど、このまま終わらせちゃうのも惜しいと思うんだよね」

「ありがとうございます。すべてお任せします」

ムラちゃんには相談無しでしたが、どっちにしてもこれ以上はどうにもならないのだから、せめてメージャーから発売してケジメをつけたいと思った委員長でした。

遂にゴミ達の道楽はここに完結する運びとなりました。
意外とスケールの小さな終わり方ではありましたが、なにはともあれ一般小売店に自分達の作った楽曲が出回るのですから、一応目的は達成されることになります。

早速ムラちゃんにこの顛末を報告すると委員長以上に大喜びしてくれました。
ところが、ここからが人生の落とし穴、貧乏人の足の引っ張り合い、くもの糸、道楽者にとっての修羅場を迎えることになっていくのです。
(頂点を迎えたら後は下り坂ってことですね)


「トゥモローUSAですっかりお馴染みの新宿ディスコナイトが、なんとこの度日本フォノグラムから正式にリリースされることが決定いたしました」

そんな話で騒ぐのは身内ばかりで、一般の方々には大したニュースでも何でもありません。
フィリピン人リト、黒人ジョー、更に照明係のバイトで来ていたギタリスト・ヨンタナなどがちょっと驚いた様子で委員長の元へ確かめにやってきました。
有頂天になった委員長は一気に皆の注目の的となり、全ては自分が中心に回りだしているような錯覚に陥っていきました。

数日後、具体的な話に入るため、委員長はムラちゃんを伴って日本フォノグラムを訪れました。

委員長もまさかオリジナルをそのまんま使うとは思っていませんでしたが、肝心のバンドが無いことを正直に打ち明けると、渡部氏はプロのスタジオミュージシャンを使っても良いかどうか聞いてきました。

「音的に言えばその方が間違いないと思うけど、ロニーはそれで良いの?」
とムラちゃん。

「うーん、せっかくここまでやったんだから、できれば同じメンバー集めてやりたいよね」
と委員長。

「それならロニーたちに任せるよ」
と渡部氏。

実はこの話が持ち上がる前に、メンバーにはそれとなく今後の活動について打診したことがありました。
その際、石○君、T君はバンドとしては行動できないが、今のような参加の仕方でよければ時間の都合のつく限りやっても良いという返事でした。
そしてギターのH君だけが、自分は別のバンドを本命にしているので手伝いはできるが、それ以上の参加はできない、と言ってきました。
そんな経緯もあって、ギターのH君以外の自主制作盤オリジナルメンバーを招集することにしました。

ベースのシゲルは勿論OK。驚いていました。
ドラムの石○君は異存なし快諾。
キーボードT君も快諾。俺で良いのかなぁって感じでした。
さてここでギターですが、ムラちゃんの希望で昔馴染みのヨンタナを起用することにして話を進めました。
更にコーラス部隊としてC子の他、2名を招集。
これにロニーの雄叫びMCとアッちゃんのヴォーカルを加ええ、謎のバンドやまとが勢揃いしました。

というわけで、レコーディングは日本フォノグラムの中にあるスタジオで行われました。
なんとそのスタジオこそ、あの矢沢永吉つぁん率いるR&Rバンド・キャロルがデビュー前に、ミッキー・カーティスさんに連れられてデモ録りした記念すべきスタジオでした。

スタジオには渡部氏、アレンジャー、ミキサーの他、制作部の関係者などが待機していて、バンドのメンバーが揃うと同時にすぐに録音開始でした。
すでにアレンジャーはオリジナルバージョンからスコアを立ち上げており、アレンジ譜が一同に配られ、まずは音合わせが行われました。
(スゲー、みいんな初見でスコアが読めます)
このメンバーの中でスコア読めないのはアッちゃんと委員長くらいでした。

ムラちゃん、アッちゃん、委員長の3人はミキサー室で様子を見守ってるだけでしたが、さすがにプロのレコーディングは驚くことばかりでした。
基本のリズム録りだけでも軽く3~4時間はかかったでしょうか。
十分に腕のあるメンバーでしたが、アレンジャー兼ディレクターは音の噛みかたから、ギターのリズムパートのパターンやカッティングまで事細かに指示を出します。
(うーん、やっぱプロは厳しいんだね)

途中でジュリーが覗きにきましたが、緊張感漂う雰囲気にジョークも空ろで居場所がないことがわかりすぐに退出していきました。
委員長も結構疲れてきて外の喫煙所でタバコ吸ったりコーヒー飲んだり、C子とくだらないおしゃべりしたりしてました。
元々根がいい加減な性格ですから、どうせ俺はミュージシャンじゃないし、出番が来たら呼んでよ、みたいな生意気な態度で辺りをウロついたりしておりました。
結局、夜の10時までかかってその日はリズム録りだけで終了。続きはまた明日の夕方からということになりました。(昼間はもっと偉い人達が使うからね)

その日はとにかく皆クタクタになって帰りましたが、ムラちゃんの顔が今ひとつ冴えません。気になる委員長が声をかけると、シゲルのベースがもたってるだの、ベードラとかみ合っていないだのグチをこぼし始めました。
元はベースマンであったムラちゃんですから、少なからずシゲルとの確執は昔からあったのですが、いくらなんでもこの期に及んでシゲルを外すわけにもいきません。
そんなことは百も承知でぼやいているのでしょうが、やっぱり自分が弾きたかったのだろうなぁ、という気持ちは委員長にも理解できました。

更にギタリスト・ヨンタナからはやる気の無いような話ばかり聞かされるに至っては、さすがに楽天家の委員長も少し不安になりました。
ヨンタナ曰く、今回のレコーディングでムラちゃんに恩着せがましくされることが嫌だということでした。要するに、ムラちゃんが思うほどに自分はこの仕事をありがたく思っていないといったことでした。早い話、お前(ムラちゃん)と一緒にするなってことでした。俺は既にプロのミュージシャンなのに、何故タダでこんな仕事をしなきゃならないんだといったところです。(いよいよ道楽者の絶頂期も崩壊に向かって作動し始めたのでした)





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最終更新日  2005年10月03日 06時50分52秒
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