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2005年12月31日
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それはジョーのDJタイムに、私達ダンサーズがフロアに出て行って、DJと掛け合いをしながらお客と踊れというようなことでした。
もちろん私たちは踊りを踊ってお金を貰う仕事ですから、なんの抵抗もなかったし、ショータイム自体が完成していないこともあったので好都合でした。
ところがここでジョーがクレームをあげました。

自分のDJタイムに他のエンターティメントを混ぜてもらっては困る、というような内容の苦情で、さすがに江川店長も彼のこの言動には困ってしまいました。
そこですかさず要領の良い私は、「それなら掛け合いはやめて、サクラとして客と踊るというのはどうでしょうか」と生意気な提案をしました。
ジョーも、それならば仕方ないだろうってなことで渋々承諾をしましたが、実際に私たちがフロアでお客と一緒になって踊ってみると、これがまた妙にウケてしまいジョーのDJの影が薄くなってしまいました。
そりゃそうですよね。客にしてみれば店のショーダンサーが手取り足取り踊りの相手をしてくれるのですから、楽しいに決まっています。
さあそうなるとジョーのショーマン根性はメラメラと燃え上がり、ツアーバンドで培ってきたショーアップ技術を屈指してフロアの客を自分に向かせようとあの手この手で攻めてきます。


ジョーはマイクを握って何か喋っていますが音が出ません。
私たちも一瞬青くなってブースに注目。
ひょっとすると機材の故障かと、ハラハラしながらブースのアシスタントや照明スタッフに目をやります。
さあフロアの客全員の視線がジョーに釘付けになったところでいきなり「ゲットレディ」のイントロが始まります。
ジョーが大きく笑って「Here we go!」と叫ぶとフロアのお客は全員拍手喝采でお馴染みの踊りが始まります。
いやー、こーゆーことってのはバンドで鍛えた演出ですから、その間合いとか、客との駆け引きみたいなものはいわゆるフツーのDJには思いつくはずがありません。
もちろん私たちダンサーだってすっかり騙されたくらいですから、この彼の憎い演出は大変な刺激にもなりました。
更にDJの交代、最後には自分のお気に入りのブラスコンストラクションのチェンジをかけて、本人自らもフロアに出てきて皆と一緒に踊ります。
踊りは上手いも下手もないのですが、とにかくそのリズムのノリが凄くて、単調な動きながらそのダイナミックなビートの取り方は、たぶんステージでショーアップをはかるためのきちんとした裏付けのある踊りでもありました。

私たちダンサーとこじんまり踊りを楽しんでいたお客さんも、このジョーのダイナミックな踊りを目の前で見せられては興奮せぬわけがなく、手拍子打ってワンツービートでフロアを跳ね回るように踊りだしました。
彼の踊りはとにかく迫力がありましたね。

私たちも仕事抜きで結構本気で盛り上がって踊ってしまいました。

「ソウルブラザー・ジョーとバッドチルドレンの素晴らしいDJタイムの後は私マチャアキのDJタイムでおつきあい下さい」

マチャアキのMCが入ってジョーとダンサーズのDJタイムは終了です。
なんだかジョー&ギャングっていうような感じでもありました。
興奮冷めやらぬままジョー共々楽屋に引っ込んだバッドチルドレン、そこでジョーから思いがけない挨拶を受けました。



そう叫ぶと、ジョーは右手を上げて黒人独自のシェイクハンドを求めてきたのでした。
なんだよ、こいつだってやるんじゃんかダッチ!
そうです、彼が私のことを仲間と認めてくれた瞬間でした。
まさに音楽と踊りのつながりこそがSOUL BROTHERの絆ということを体感した初めての経験でした。

この後彼からは本当に沢山のことを学びました。
ショーアップの方法や衣装の選び方、リズム・アンサンブルなどはバンドとしての理論をダンスに取り入れるアドバイスを受けたり、客との間合いの取り方等など、とにかく彼はショーとしてのエンターティメントのプロでした。

やはりディスコの人気者とプロの違いというものをまざまざと見せつけられたようなもので、彼のショーマンシップは当時の業界には未だなかったコンセプトでもありました。
結局彼との付き合いも3年越しでプライベートも含め長続きしました。
彼とのエピソードは数々ありますが、特別印象に残っているのはソウルブラザーNo.1ジェームス・ブラウンの話でしょう。
彼が私に語ってくれたJBは非常に生の感触があり、憧れのスーパースターの実像のような手触りがありました。
といっても彼から伝え聞いた話ですから実際に自分の目で見たわけではないので、事実かどうかはわかりません。

なんでもJBは地元ジョージアに自分のラジオ局を所有していて、年がら年中SOULが流れていて、時々協会の説教のようなスポットがあり、「白人に騙されてはいけない」とか「黒人の人権向上」などをアピールするプロパガンダに利用している、というような話でした。そういった意味でもやはりJBはソウルブラザー・ナンバーワンで、黒人社会のスーパースターであることは間違いのないようでした。
さらに突っ込んだJBを崇拝するネオブラック・スピリチュア・グループなどもいて、彼等はジーザス(キリストですね)は実は黒人だったとか、ブラックモーゼことアイザック・ヘイズは事実モーゼの生まれ変わりだとか、結構危ない連中もいるそうで、そんなことを笑いながら話してくれました。

また彼が目標としていたグループがアイズレー・ブラザースで、暇さえあれば楽屋で彼等の歌を歌っていました。
ジョー曰く、ファルセットとギターの音色が見事に絡み合って絶妙の黒人音楽だと絶賛していました。ファルセットといっても色々なタイプがありますが、私のお気に入りだったEW&Fのフィリップ・ベイリーのような透き通るような声色は黒人的ではないそうで、アイズレーのハスキーな裏声と地声の間の絶妙な枯れ方が黒人のフィーリングにマッチするのだそうです。なんやよーわかりませんが、日本で言う演歌のコブシとか節回しみたいなものかななどと理解しておりました。
日本人なら根本的に演歌の良し悪しはパターンがあるし、ルーツを辿ると民謡の潜在的感性ってのが日本人の心に息づいているように、黒人にも彼等の血に流れる脈々とした黒人独自の感性があるといった感じでしょうか。
だから同じファルセットでもビージーズは「気持ち悪い」と言っていましたね(笑)

また、当時私たちが思っていたほどに白人音楽とか黒人音楽とかの垣根はありませんでした。
「青い影」や「素顔のままに」なんかも唄ってたし、自分達のベースにあるものは黒人音楽でしたが、実際には殆どがフィーリングのままという感じでした。
文字通り感じるままにですね。

ジョーとはよくショッピングなどにも行きましたが、お店で流れている曲がFUNKYだったりするとその場で首振って踊り出したりしちゃうんですから驚きましたね。
こいつ一服決めてんじゃないか、とか疑ったりしましたが、まあそれだけ音に対する感覚がずば抜けて敏感だったのでしょうね。
さすがの目立ちたがり屋の私でさえ真似の出来ないACTIONでした。
まさしくこれが「FUNKY」ってやつだったのではないでしょうか。

ということで一年の締めくくりにしてはまとまりのない日記になってしまいましたが、最近は日に日に開き直りが激しくなってきた私のFUNKY人生も、新しい年を迎えるに当たり特別思い入れるほどのこともないのですが、なんとか健康にFUNKYな人生を続けて生きたいと思います。
どうぞ皆様も良いお年をお迎え下さい。
遠い南の島より皆様のご健康をお祈り申し上げて一年の締め括りとさせて頂きます。





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最終更新日  2005年12月31日 07時41分34秒
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