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2006年02月22日
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さて、昨日の続きです。
(今日も青字は私のコメントです。よけいなお世話だって?)

「『農薬』」は「『農毒』」

 うちの鶏の餌は、先週、釧路まで買い付けにいったのだけど、いまならサンマ、港であがったばかりのを乾燥させてね、こいつを400トンほど買ってきた。でも、やすい卵はチリやペルーのミールとか肉骨粉を飼料にしている。何がどう入っているかわからないから、わしは使わない。

 知ってるかい?日本の農業ってのは毎年、農薬何十万トンも使ってる。これを日本中に毎年ばらまいてるの。それが土にしみこみ、川に流れ海に入るのさ。あんた、ちょっと舐めたら人が死ぬような毒もいっぱいあるんだよ。それを「農薬」なんて言ってさ、ありゃ「農毒」ですよ。中国の「残留農薬」なんて騒いでいるけど、それどころじゃないよ。日本の農薬使用量の方がよっぽど上さね。

そんな土壌、環境で採れるモノを「自然だ」って言ってありがたがってちゃいけませんね。
くどいようですが、もう後戻りは出来ないんですから、「自然」という意味も時代に合わせてしっかりと理解しなければいけませんよね。


メダカもドジョウもいなくなるよ、そりゃ。うちの農場は農薬いっさい使わないからほら、みてごらん、蜘蛛の巣だらけ(笑)ちゃんと虫がいっぱいいるからね。

わし信じらんねんだけどね、消費者って馬鹿だよ。安ければそれでいいと思ってるんだな。車や映画になら金だす、ベンツだオペラだなんて言ってるけど、卵にお金出すのは嫌なんだなあ。自分の体になるものなのに、クスリや農薬いっぱい入った食い物食ってる。わし考えられないよぉ。

 うん、卵が中心だけど畑もやってる。これからは野菜もしっかり作らないといけないと思って、今年からは前より本気でやることにした。九州の佐賀に友達がいてそこに昨日まで行ってたのだけど、赤峰勝人っていってね、「ニンジンから宇宙へ」って本書いて、10万部売れたって。農業の本で10万部売れるなんてないよ。



耳の痛い話ですね。私も若い頃は福神漬けライスで金節約してディスコ通ってました。(笑)
カップヌードル啜って一生懸命金貯めて、ブランド品買って、ヴィトン抱えたまま貧血で倒れて昇天なんてね(笑)
野菜売り場だけじゃなくて、人間の世界も似たようなもんですね。
良い器(人間)がいても、皆一緒くたにして同じような中に混ぜちゃうから、結局目立たずに並んじゃうんだろうね。
個性を大切に、とか言ってるわりには、子供の頃から画一化した育て方して、見栄え良く平均的な人間を作ろうとしてるよね。


うちの野菜は全部自分のところの鶏の鶏糞を使ってる。だから農薬も、クスリも無縁だよ。作る側だってコンビニ弁当食って「無農薬野菜」作って売りまくろうったってそりゃヘンだよ。農薬使わない作物を作るってことはその人まるごと人間の生き方の問題だからね。でも、赤峰さんのマネなんかその近所に住んでいる人だって誰もしないよ。この近所でもねえ、わしが無農薬やクスリの入らない飼料で鶏卵やってみせても誰も真似しないよ。

私の言いたかったことも実はこういうことなんですね。
いくら自然食品だ無農薬だと騒いでも、身の回りにはまったく正反対のモノばかり出回っているし、そんなもの喰って育ってきてる体なんだから、自然を無理に詰め込んだら逆に壊れちゃうじゃないかって。それは時代の流れに逆行する行為だと思うんですよね。
人工的な世界で自然のものを手に入れようとすること自体が、えらいわがままで迷惑な行為になっちゃう。大勢の中の少数だと特にね。これは人間の生き方の問題なんだから、そう思って信じるのだったら静かに自然の地へ行って暮らせば良いことで、ことさら自己顕示する必要はないんだよね。「環境が危ない」とか「自然は素晴らしい」とか、「だから私はこうして自然を取り込んでいる」って、「だからあなたもそうしなさい」って、それは大きなお世話だと思うんだよね。結局はそれぞれ本人が選ぶことなんだから。警鐘を発することは必要だと思うけど、やっぱりそれが全て素晴らしいってのもどうだかね。


無農薬だと隣の畑から虫が寄ってきて困らないかって?そんなことないんだよ。健康な植物ってのは元気でね。虫は未消化窒素、硝酸体窒素が多いと寄ってくるんだけど、健康で自然な野菜ならそんなことないからね。そりゃちょっとぐらい葉っぱの端を喰うやつも中にはいるけど、それぐらいは人間さまがサービスしたっていいじゃない。虫喰うったってこの程度さ(と、はっぱの写真をみせてくれた。ほんの数ミリの穴がいくつかあいていた)

 だいたい「害虫」なんて言葉も間違ってるよ、虫は神様が作物同様に下さったものだ。ばい菌なんていうけど、人間のからだのなかに何兆も細菌がいるから生きてられるんだぜ。「神虫」であり「神菌」と呼んだ方がいい。

 一方で「農毒」を「農薬」なんていうから、うちの隣の、金持ちの農家なんか「よそが4度かけるなら、うちは5度、農薬かけてるから上等だ」なんて思ってる。わし考えられないよぉ。でも、本気で日本の百姓はそう思ってるさ。こりゃ一種の洗脳だよなあ。

 むろん自分らではそんなの食わないよ。「東京の人は丈夫だなあ」なんて感心しながら一週間に一回農薬かけて自分はいい百姓だと思ってる。おれの友達だけど「大松、おまえがなんといってもおれはかける。農薬は畑のドリンク剤だ」なんて言ってるねえ。そんなの食べて健康でいられるはずないよ。脳細胞が破壊されちゃうよ。大学の先生の言うこと信じてちゃだめだよ。

評論家とか先生とか呼ばれる人たちに実体験を持つ人はほとんどいませんね。
せいぜい試験管の中とか顕微鏡の中の実体験でしょう。
どんなものでも本気で実体験をすれば評論なんて書いてられないはずですから。
もし本気で関わりを持つようになったら、第三者の立場でモノを言う前に自分がその中に入っていくものですよね。


「何が医学の進歩なのか」

だって考えてごらん。医学が進歩した進歩したって、毎年医療費が上がってる。なにが進歩なもんか。医療が進歩してるっていうなら、患者が減って医療費が減らなきゃおかしいだろうよ。それが毎年増えているのに、進歩だ進歩だなんて言ってる。わし信じらんねえよぉ。

まったくその通り!単純明快な理屈ですね。
単に寿命が延びたってだけで、根本的なものは昔から何も変わっちゃいませんね。下手したら悪くなってる。病院だって患者が居なけりゃ成り立たないしね。やっぱり生産活動の一環ですから、利幅の高い薬売るのは当たり前です。(笑)


隣の爺さまは98歳まで、うちに自転車にのって遊びに来ていた。99歳ちょっとで亡くなったがね。死ぬまで元気だったさ。うちのおばあちゃんも元気だったけど、最後は「家で死にたい」というのを、看護婦がきて「このまま家で死んだら警察沙汰になるから入院させなさい」って無理矢理入院させちまった。ばあちゃん病院で最後まで「家にけえせ、喰いつくぞ」って点滴嫌がってたなあ。おれ孫だからね、なんもできんかった。見ていてつらかったで。

農薬使わないって、大変なんだよ。何がって、農協からにらまれるんさ。百姓はみな借金してるの。それが「無農薬・無肥料でやる」なんていったらたちまちにらまれてつぶされるのさ。だって、農薬数十万トン誰が売ってると思うのよ?農協ですよ。おれもさんざんやられたさ。だから、なにくそっと思ってやってきた。

一番の問題はここらへんですね。今現在こうした構造のシワ寄せが一気に噴出し始めてますね。
まあ、人間の作った構造とか組織なんてものは結局こうなる宿命なんでしょう。
人が集まって金のために生産活動を繰り広げると必ずこうなります。
あとはこの反骨精神というか、皆が目覚めて意識を変えて行くしかありません。




世の中の偉い人って、全然えらくない。うちの農場も近年、いろいろな人がくるようになったけど、大学の農学部出たなんてのはどうもねえ。大学出るとダメになるような気がする。ブツブツ文句言ってタネ蒔いてもダメだっての。よく育たないよ。鶏も植物もけっこう人間の心がわかっちゃうんだな。偉い先生ってのもなあ、現場知らないよ。役所も昔は、市より県、県より国、って正しい情報も持ってるのかと思っていたら、とんでもない、上にいけばいくほど正しい情報は少なくて、たくさん持ってるのが予算。だからばらまくしかないんだろうなあ。

確か養老孟子先生も同じようなこと言ってましたね。
「大学なんか行っちゃダメだよあんた、大学行くと馬鹿になるよ」ってばあちゃんに言われたって。


人間だったら、自分の子や孫の世代、いや1000年先2000年先考えて当然なんでないのよ。それが、いま世の中で偉いってのは、子供だましのファストフード売って大儲けした社長だとか、健康でない野菜や卵うって日本一の売り上げあげたスーパーの社長とか、そいう人が偉いっていうのおかしいよな。

マネーゲームの解説書みたいなもんですね。
こういった人たちが巷でチヤホヤされてますが、たぶん実体はかなりくだらねーものだと思います。算数はカシコイだろうけどね。人の道ってことで言うと、「金と地位」がゴールというセオリーでしかないからね。


せめて、これから10年かけて、日本の農家の農薬使用量を10分の1にしたい。
おれはホンキでそう思ってる。同志もいるよ。フランスやドイツはそれをやったんだな。わしは行って見てきたよ。でもこれは消費者がカシコクならないと無理だね。どうしたらいいって?まず自分のアパートでもなんでもいいからプランターでタネと土買ってきて無農薬・無肥料でちゃんと野菜が育つって体験するのがいいと思うよ。
そして食べ比べてみるこった。わしもこれから生産者の同志をつのっていまの不自然な農業流通体制と闘うつもりだよ。



2002年10月14日 千葉県旭市 大松農場で


良いですねぇ、おっちゃん。
自ずと頭が下がります。
ちなみに私にも富士の裾野で農業器機の販売に携わっている友人がいますが、彼も近年の排ガスとか環境問題について一番遅れているのが日本だって言ってます。何が遅れてるのかって、それは意識の遅れですね。
この農場のおっちゃんが指摘するように、消費者、いわゆる一般民衆の意識が低いということですね。これだけふんだんに情報が溢れているにも関わらず、クズのような情報ばかりに振り回されて、しかも自分自身で何も判断しようとしない私たちこそ、改善が必要ですね。

たぶんね、こんな話をするとまた「自然回帰」とか叫び出すヤツが出てくるんでしょうが、一番簡単な答えがアンチテーゼという幼稚な対極理論ですね。
今の環境の中で「自然」な生活をしようとしたら、フツーの生活の3倍以上の経費も精神力も必要となります。その方がよっぽど体に悪いじゃん。(笑)


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最終更新日  2006年02月22日 07時17分24秒
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