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2006年10月07日
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人と人とを繋ぐものって何なんでしょうね?

そんな漠然とした想いを抱きながらタイトルに惹かれて選んだ本がこれでした。

血族~アジア・マフィアの義と絆  宮崎学 著
http://item.rakuten.co.jp/book/1073220/




これはアウトロー達の目から見た20世紀のアジア史(世界史)です。
一般に正史と呼ばれる、強者が勝つという当然の力学を説明するために描かれた、勝者が正しいとする歴史へのすり替え、その権力総体の存在を補完する史書は、敵対する勢力を殺戮し抹殺した記録でもあります。
本書はそんな正史の対極にある、正史及び権力総体が「良」としたものを粉砕することを目的とした叛史であり、いうなれば「不良」(良に非ず)の本です。

小説としてはかなり荒削りですが、かなりフィクションに近い不良の歴史書としては充分に楽しめる作品です。特に最近のアジア情勢を重ねながら読みすすめると、外交戦略の裏側なども楽しく推理して遊ぶことができます。

私はどうも、根がちょっとへそ曲がりなもんで、こういう書が大好きです。
そして、ここ数日の北朝鮮を取り巻くアジア情勢と、文中で語られるセリフが妙にリンクして興味深かったです。

(以下原文より抜粋)
「私達のキリスト教では、神は全知全能です。それに次ぐ賢さを持っているのは誰でしょうか。悪魔です。そして、神とは切断された領域において、神への親交とは切断された『幸福』を追い求める限り、最後に頼れるのは悪魔の叡智です。現世的な幸福を実現しようとしたら、悪魔と結ぶほかありません」
(以上原文より抜粋)

そして極めつけのセリフが飛び出します。

「絶望した悪魔ほど、この世で間抜けなものはありません」

ファウストからの引用ですが、アジアをまたにかけて暴れるアウトローの冒険活劇である本書のテーマがこの一言に凝縮されています。

馳星周氏のあとがきからもひとつ引用させてもらいます。
「アジア各地は-隔離区は、甘っちょろい若者の理想が通用するような場所ではない。戦前も戦後も、そこは各国の情報機関が大手を振って歩いている。力を持たない一般市民は抑圧され、虐げられる。民主主義の仮面をかぶった帝国主義者たちがこの世の春を謳歌する。悪党どもが、帝国主義者たちの上前をはねようと暗躍する」

以前にもこのブログで「正義を叫ぶものこそ疑え」も取り上げましたが、単なる「情報」だけで判断する安易な「正義」や「平和」ほど危険なものはないわけで、特に最近の「世間」の傾向を見ていると、まるで愚民化政策に乗せられた烏合の衆そのもので危機感を抱かずにはいられません。

更に宮崎親分の表現を借りるならば「大衆迎合的人道主義」みたいなメディアの流れにも、もう少し皆できちんと目を向けていくべきではないかと思います。
「酷い」とか「許せない」とかを叫びながら報道するメディアの姿勢、そこにはメディアの持つ「常識論」が介在しているわけで、果たしてこのメディアの掲げる常識が、報道としての公共性にどこまで諄諄できるのか興味深い点です。

まあ、小難しい屁理屈はこのくらいにして、中国の懐の深さを知る意味においても、チャイニーズ・マフィアなどを知るためにも、面白い本なので機会がありましたら是非お読みになってみて下さい。






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最終更新日  2006年10月07日 13時09分01秒
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