語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

語りと筆しごと~書家香玉のうずまき帖

2023年02月06日
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昨年より準備をすすめてまいりました題して【13歳のネームズストーリー大作戦】


少子化の時代にあって、なんとこの中学校の1年生、全7クラス250名近くもいました。

※参加する子供達全員の名前を私が模造紙いっぱいに書いたもの。これを各クラス、まず黒板に貼り出すところから授業をスタートさせました。



これまでの経験上、ひとりひとりと向き合い、アドバイスしながら制作を進めていくには一度に1クラスが限界。意図を説明し、制作意欲をかきたて、筆ならしをし、言葉を考え、デザインを決め、清書し、額入れするまで、トータルで2時間は必要です。


どうにかして、この取り組みをわが校の中1生全員に体験させたいとそれは熱心な先生と、昨年9月より幾度も話し合いを続けた結果、年明けの1月に、1日につき2クラスを二日間連続で、翌2月に同じく2クラス、その翌日に1クラスと、締めに振り返りの学年集会を開催というスケジュールを立てました。
できる、できないより前に、今の私にやれることを精一杯やるだけ。もしもやりきれた時の感動を想像すれば断る理由などひとつもなく、とにかくやってみたいと即決でした。


意識してそうしたわけではなかったのですが、最終日2月3日は節分、まさに立春大吉。本当の意味での新しいステージの幕開けの日でした。

かくして計画は予想以上に順調に進み、最終日はもうこれ以上ないというくらい、感動という言葉だけでは物足りない、最高に喜ばしい1日となりました。一週間たとうという今もなお、まだその余韻の中にいます。



何より子供達の表情が心底輝いていたそうです。
普段の子供たちをよく知る先生だからこそ、余計に、あの子があんな顔するなんて!あんな作品つくるとは!と、意外な発見や感動もひとしおだったようです。

一方の私はといえば、とにかく初めて会う男の子も女の子もみんな昔から知ってる子みたいに思えて、可愛くて愛おしくて仕方なかったです。実際の我が子も現在、中1男子というのも大きかったと思います。地元筑豊ということもあったのか親しみが湧き上がる、素直で賢い子供達ばかりでした。

どのクラスに行っても、誰一人として後ろ向きな子はいなくって、最初は戸惑い手が動かなかった子も声かけすることでどんどん自分が作りたいもののイメージが見えてきたようで、それをよりよい形にするため、積極的にアドバイスを求めてくるように。。あちこちから、先生!先生!とお声がかり、まさに引っ張りだこでした。
そのたびに私も、こうしたらどう?こんな言葉もあるよ、こんな風に書けるよと共に筆をとり、全力で向き合いました。そうして、その後は必ず、みんな笑顔となり「ありがとうございます!」を返してくれる。清々しいことでした。

制限時間内に完成させないといけないからね、駆け足で説明するけど、頑張ってみんなついてきて!と声を張り上げ、時計と進捗みながら、半ば煽るようにハッパをかけます。これが実は最も大事。

希望者には下地にパステルで色を添える作業もしてもらうのですが、これがかなりの人気で、貸し出しパステルの机はいつも試し書きの人だかり。最近の子は手が汚れることに抵抗がある子も少なくないのですが、指先を何色にも染め、心にある色を広げる作業にハマり、その先に進めない子もちらほらと。
さあさあ、こればっかりしてたらこれだけで終わってしまうよー!と(笑)




かと思えば、一切、色には見向きもしないで、ひたすらモノクロ勝負の子も少なくない。筆を振ってわざと墨を散らして模様をつくったり、墨絵を添える子もいたりして、いちいち感嘆の声をあげる私でした。


自分の名前の由来、生まれてきた時のこと、命名に込められた想いをあらかじめ聞いてきてもらった上で、言葉を作る作業をしますが、なんか妙にかっこよくなっちゃって照れるのもわかる。名前負けしてるとか、こんな人間にならねばとか、プレッシャーかけるものじゃなくて、名前の文字って生まれてから最初にもらう贈り物で、あなたの存在感を祝って与えられた言わば御守りの文字、と私は思ってます。
自分の看板でもあるし、コミュニケーションツールでもあるし、応援旗でもあるわけで。

そんな風な話をたくさんしました。

ポストカードという小さな空間の中に描いた自分の名前。
これをアート作品として、落款風の印を赤ペンで書き、きょうの日付などの添え書きをして、額に入れる。
懸命に印のデザインに凝る子もいました。




作品を額に入れるということがまたテンション上がることなので、学校側に無理言って全員分のはがき額を用意してもらいました。



いろんなところにさりげなーく飾っておきたくなります。そして、他の人がどんなのを作ったのか見たくなるし、自分のも誰かに早く見てもらいたくなります。

で、私にこの企画を提案くださった先生のクラス、1年5組をラストに、2月3日の午後は、全員が作品を持って体育館に集まり、各クラスの代表がスライド用いて自分の作品を発表したあと、交流会をしました。



楽しすぎた、最高傑作ができた、友達のを見るのも面白かった、あらためて自分の名前を大切にしたい、などなど、子供たちの素直な言葉に泣きそうになりました。


講評では、そんな子供たちと素晴らしい体験ができたことがただ嬉しく、そんなきっかけを作ってくれた先生にもみんなで拍手をさせていただきました。


そんな1年5組の担任の先生の名前は芳恵さん。実例として皆の前で即興で作ったネームズストーリーをとても喜んでくださいました。  








親から美香という名をもらい、半世紀。
今年のこの美しい春の息吹とその芳香を、大いなる恩恵を一生忘れることはないと思います。



※現存するボタ山としては日本最大級の、別名・筑豊富士は炭都飯塚のシンボル

飯塚市万歳





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最終更新日  2023年02月09日 07時10分42秒
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