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以前、『 人を作る教育 国を作る教育
』 の記事の中で触れましたように、小室氏のことを日本一頭が良いと、竹村健一氏が評していました。確かに ウィキペディア でその経歴を読むと、なるほど勉強好きなんだなぁと感心します。
⇒ 小室直樹(Wikipedia)
本書では “なぜ数学を学ばなければならないのか” ということなどを説明しています。
日本語は曖昧な言語だと言われますし、日本人には数学嫌いが多いとも聞いたことがありますが、数学ができない国民がこれほど科学技術を発展させられるとも思えません。“ 和算
” という伝統もあり、偉大な数学者を輩出していますし、学力低下が言われる現在でも、数学オリンピックで、日本人の生徒たちは活躍していますよね。
小室氏は、数学のパワーがどれほどすごいものなのかを理解していないために日本人は中国人や韓国人と論争できないと語っています。日本人が理論を使うのがヘタだということです。
私は日本人が理論を理解していても、それを説得に使うとか、直接ぶつけるというディベートのような習慣が欠如しているのではないかと思っていますが、どうでしょう。氏は、ゆとり教育の名のもとにさらに数学的論理を学ぶ機会が減少することを嘆いてもいますが、その通りですね。
そもそも数学は神との対話、論争のために生まれた学問であり、ユダヤ教を持つイスラエルの頑民が生んだのだそうです。ご存知でしたか、こんな数学史。
“神は存在するのか” その一点から論争は始まったというのです。その時、“もし神が存在しないのなら” という仮定を用いて現実の矛盾などを指摘。結局、神が存在することを民衆に納得させた。つまり 背理法
です。こんなことから本書は始まります。
以下が目次です
1 数学の論理の源泉―古代宗教から生まれた数学の論理
2 数学は何のために学ぶのか―論理とは神への論争の技術なり
3 数学と近代資本主義―数学の論理から資本主義は育った
4 証明の技術―背理法・帰納法・必要十分条件・対偶の徹底解明
5 数学と経済学―経済理論を貫く数学の論理
このあとは アリストテレス
の論理学から日韓関係のとらえ方、ケインズの経済学に至るまで、数学の応用範囲を広げて語っています。数式はほとんど出てきませんので、数学の専門知識は必要ありませんが、易しいというわけではありません。
世の中のしくみやできごとを数学的(論理的)にとらえるという習慣の有用性を語っているのですが、本書の作り方自体、論理的というより、エッセイ風でもあり、会話が突然入ったりしています。繰り返しもあったり、別に読みにくくはないのですが、体系的ではなく、非論理的だなぁ~と思った次第です(笑)。
本書とはおもむきは異なるのですが、以前ご紹介した 『 数学ができる人はこう考える(シャーマンスタイン)
』 も数学の有用性や不思議さを魅力的に取り上げていました。また、野矢茂樹氏の 『 論理トレーニング101題
』 も論理学をわかりやすく教えてくれる大変貴重な一冊です。
『 フェルマーの最終定理(サイモンシン)
』 や 『 博士の愛した数式(小川洋子)
』も数学に対するロマンにあふれた名作でしょうね。
逆にいくら論理的に考えても、株は儲からないよ、理不尽だよということを 『 天才数学者、株にハマる(ジョン・アレン・パウロス)
』 は示してくれました(笑)。
また直接、数学云々ということではなくても、日本人全体に “論理的思考” が欠けていると指摘する本として、『 なぜ勉強するのか(鈴木光司)
』
『 プロ弁護士の思考術(矢部正秋)
』 『 人生と投資のパズル(角田康夫)
』 などを取り上げましたが、いずれも私には忘れられない一冊です。
本書は、これらの本のどれとも異なり、世の中は数学が支配しているとでも語っている印象です。我々が日々直面する問題は、数学のようにはすっきり答えの出ないものがほとんどですが、見方を広げるとそこには数学的論理が存在しているというような感想を持ちます。
本書は今上に挙げたいくつかの本同様、数学嫌いな人どころか、算数・数学の先生などにもぜひお読みいただき、授業の中でネタに使っていただければ、生徒をぐっとひきつけられると思わせる一冊でした。
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