地中熱利用と、放射冷暖房の相性が良いことは、前回書きました。このことを別の視点から考えてみます。
暖房時には、一般的なエアコンの場合、室外機で約50℃程度の温度を作ります。この50℃の温度を配管を通して室内のエアコン機器に運び、配管に接続する薄いアルミのフィンに熱を伝えます。その温まったアルミのフィンに風を吹き付け、風に熱を乗せて室内に伝えるわけです。ですから、冬の外気温が約0℃だとすると、50℃も暖めなければならないのです。
一方、放射冷暖房は、まず室外機で作る温度が36℃程度と、エアコンに比べ14℃も低い温度です。ですから、地中熱と放射冷暖房の組み合わせでは、東京での地中の温度が年間を通して18℃であることから、18℃暖めれば良いだけです。
1.一般的なエアコン:0℃→50℃(50℃の差)
2.地中熱と放射冷暖房:18℃→36℃(18℃の差)
いづれも、ヒートポンプという技術を使っていますから、熱を低いところから高いところへ汲み上げるということを考えると、汲み上げる温度差が小さいほうがエネルギー消費が小さいのがわかると思います。水を50mの高さまで汲み上げるエネルギーと18mまで汲み上げるエネルギーの違いのようなものなのです。得られる熱が同じならエネルギー消費が少ない方が良いですよね。これが、地中熱と放射冷暖房が省エネである理由なのです。
下記に、一般的なエアコンと、地中熱を利用した冷暖房システムの消費電力の比較を示します。
東京都心のオフィスビル(笹田、2010) 地中熱利用促進協会ホームページ より
東京都心のオフィスビルで、空調システムを空気熱ヒートポンプ(通常のエアコン)から地中熱ヒートポンプに更新したケースを示しています。空気熱と地中熱の電力消費量の実績を比較すると、年間で49%の節電・省エネとなっており、とくに夏季の節電・省エネ効果が大きいことがわかります。( 地中熱利用促進協会 より抜粋)
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