とある町の小さなお店
ぼくの住んでいる町の、とある国道沿いのビルの最上階には、小さな飲食店がある。
そこには店主の女性が1人で店を切り盛りしていて、いつも…とても忙しそうに…趣味に勤しんでいる…
それが咲さん、ぼくの憧れの人だ。
僕は咲さんに救われている。
これは僕が嘘に疲れている時の話。
僕には好きな人がいた、その人は
「」だった。
ある週末の夜に、いつものように咲さんのお店で話していた。
「けんけんは好きな人いないの?♪」
「いますよ!すごく好きで、一緒に旅行に行ったり誕生日を祝ってもらったりしています。
咲さんのお店にも来たことがあるみたいでしたので、もしかしたら知ってる子かもしれません」
「・・・・。神山君、私の店に来た人は、全員覚えている。名前や身分、出身地もみんな覚えている。もちろんそれは本人達が言ってるだけかもしれない。でもね・・・うちの店に来た若い女は、全員男連れだったよ。例外なく。」
この時、咲さんの表情が変わっていた。
そう・・・咲さんは、ほんとはすごく頭が良い。いつもの天真爛漫な彼女は、僕を楽しませるためもあって演じてくれているみたいなものなのだ。
・・・嫌な予感はしてたんだ、そう・・・いつだって彼女は・・・
「・・・分かってはいたんです、でも認めたくなかったんです。だって・・・」
「他人との距離感というのは測るのが難しいですからね…。
人によって小さな親切なんとやらとやらだったり、もっと気を利かせてよ!ってなることもありますし。
こればっかりは相性ですとか、ご縁としか言いようがないのです。
今まで生きてきた中での価値観が大きいかと思われますので、けんけんのせいではないのです。 ٩( •̀ω•́ )ﻭ 」
いつもの咲さんに戻っていた。
「・・・すみません、咲さんにはとても感謝しています。一歩踏み出す勇気をくれましたから。咲さんに出会えなかったら、今もずっと変わってませんでした」
その後の話は、想像の通りです。
僕の最大のトラウマだ。ずっと・・・僕は僕のことが嫌いな人の為に頑張って、より嫌われる努力をしていたらしい。
「幸せになりたいのなら現実を見た方がいいのですよ………_:(´ω`」 ∠):_」
「そのうち、時間が癒してくれます٩( •̀ω•́ )ﻭ」
そう言ってくれる咲さんに感謝しつつ
「今日は帰りますね、ありがとうございました」
僕は帰宅した。
とても、とてもつらい現実を自覚する夜になってしまったなと考え、寝床にたどり着いた時、咲さんからlineが入った。
「さっき、お巡りさん案件勃発しました(;´Д`A」
・・・毎度毎度、僕の予想の斜め上を行ってくれる人だ
「大丈夫なんですか!?」
事情を聞く僕の心に、もう沈んだ気持ちは飛んで行ってしまっていた。
「それよりリゼロ2期後期を見始めて寝れずにいて大変なのです…。(;´Д`A」
・・・もう寝よう、うん
僕はこの空間が、この時間が、この会話が大好きだ。