HANNAのファンタジー気分

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January 3, 2007
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テーマ: 本日の1冊(3716)
 昨年末にケストナーの傑作 『飛ぶ教室』 けど、ネット検索していたら、これに影響された少女漫画とか結構あるんですね(“ギムナジウムもの”――読んだことはあんまりないんですけど)。

 私は、長野まゆみなんかもこの本に影響を受けた一人じゃないかしらと思います。 『天体議会 プラネット・ブルー』 は彼女の初期作品の典型ですが、少年たちが建物の高い危険なところを渡って歩く遊びをしたり、塔のてっぺんから飛び降りたりする場面で、ふっと『飛ぶ教室』を思い出させます。

 といっても、『天体議会』に出てくる男子校には寄宿舎はないし、先生も登場せず、舞台となるのも港町で、雰囲気は全然ちがいます。ただ、学校生活を送る少年たちの秋から冬への日常や行事がノスタルジーをこめて描かれているところは、時代や設定はちがいますが、少し共通する感じがします。

 長野まゆみ作品(と、どれも似かよっているのでまとめてしまいますが)のテーマの一つは、家族のあり方、です。
 『飛ぶ教室』でも、父親にだまされ捨てられたヨーニーと、両親に愛されているが貧しいマルチンとが仲の良い同級生として出てき、少年たちにとって家や両親とはどういうものかを考えさせられます。家族環境が違うがゆえに、マルチンは自分の悲しみをヨーニーに説明することができません。家族について世の中について、二人の考えはそれぞれです。

 『天体議会』では、近未来の家族設定について説明されています。

  ・・・実の母以外の呼称であるタミー、またはバービィという通称を口にする生徒は多い。どちらも実の母に代わってその子供を産んだ人のことだ。タミーは生まれた子供と血の繋がりのある型、バービィはまったくない型である。 ――長野まゆみ『天体議会』


 家族のような他人のような人間関係。家族としては限りなく希薄だけれど、でも友だちとは違う種類の関係。
 クールな兄に翻弄されて親友の水蓮とぎくしゃくしてしまう銅貨のことを、兄は当の水蓮に、

  「ほうっておけよ、友人よりも兄の云うことを真に受けるような奴は」 ――『天体議会』

などと言っています。友人関係は濃いようでいて希薄。そのせいか、わりあい簡単に仲直りします。

 『天体議会』に出てくる家族や友人の、そんな微妙な人間関係を、『飛ぶ教室』の近未来版、などと思って読んでみるのも一興かも知れません。





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Last updated  January 3, 2007 11:03:28 PM
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