
昨年 10 月に信州伊那谷在住の義妹から名前も草姿も分からない花の種子を貰って植木鉢に播種し、 12 月になって 10 ㎝ほどに育った苗を山荘の入り口に定植した。
5月になるとどんどん草丈が伸びて、茎の先端に頭を垂れた麦の出穂前のような形の蕾が多数着いた。
後で知ったのだがこの草花は一般的に、ムギナデシコまたはムギセンノウと呼ばれているナデシコ科 センノウ属の 一年草 である ことが分かった。
ムギは麦で、センノウはキク科の仙翁である。
センノウという名前の語源由来は 京都 嵯峨 の仙翁寺が由来で、この寺にセンノウがあったことによるという。
ムギセンノウは麦に似た草姿と、センノウに似た花の姿から名付けられたものだという。
開花前の蕾は イネ科植物の実の外殻にある針のような毛の禾に似て一見麦を思わせ、直ちにナデシコ科とは判断できない。
しかし開花したその花姿は、まさにキク科のセンノウを彷彿とさせる。
原産はヨーロッパで現地 では麦畑の雑草であり厄介者として扱われているが、 日本では アグロステンマの名で販売され 観賞用として栽培されている。
名称のアグロステンマは、ラテン語のアグロス(野原・畑)とステンマ(王冠)の合体語で畑に咲く花を意味している。
1877 年に渡来したと伝わるが以来 150 年にもなるのに、瞬く間に道路沿いや河川敷を席巻してしまった特定外来生物のオオキンケイギクなどのように野外で増殖しているのを見ることは無い。
茎は直立して、高さ 60 ~ 80cm に達する。細く長い線形または線状披針形の葉を対生する。
蕾を付ける前の草姿は、むしろキク科のヤグルマギクを想起させる。
全草に長い毛が目立ち、 5 月中旬頃枝先の 葉腋 から長い花柄を出し桃赤色の花を 1 個ずつつける。
ナデシコ科の特徴である 萼 片 5 枚が、下部で癒着して 筒状 になる。
花弁も 5 枚で、萼片より短い。
園芸的に育てられているのはアグロステンマ・ギタゴで、秋播種すると翌春には 1m ほどに伸びた茎先にピンクの花を咲かせる。
秋に播種して、 日当り と水はけ のよい場所で育てる。 土質 は、特に選ばない。
草丈 が伸びると倒伏することがあるので、早めに支柱を立てる。こぼれ種からも、よく繁殖する。
冬季の最低気温 -10 ℃には耐えるが、これ以下になる場合はフレームで越冬させて春に定植する。
ヨーロッパのフラワーガーデン等で、「ワイルドフラワー・ミックス」の名称で土産用に売られている花の種の袋に入っていることもある。
主に花壇や、切り花として利用される。
別名のムギナデシコ (麦撫子)は、キク科の バラモンニンジンの別名としても使用されている。
バラモン 「婆羅門」は インド で司祭を意味する サンスクリット語 で、ジンは 漢語 の「參」で根を薬用にする オタネニンジン 朝鮮人蔘)に由来するとの説がある。
日本でもバラモンニンジンの根を、煮たり味噌漬けにして食べる。
方やキク科であり一方はナデシコ科で属する科が全く異なるのに、同じ名前が付けられていることが面白い。
アグロステンマは一月には全く開花しないのに、なぜか-月 -日の誕生花とされている。
花言葉 小国の王
種子にはサポニン配糖体を含み、有毒である。
PR
フリーページ
キーワードサーチ
カレンダー
コメント新着