


果実を取る桃・林檎・梨などは、その花が美しく目立つ。ところが同じ実を採る柑橘類の花は、むしろ香りで花が咲いているのを認識することが多い。
♪みかんの花が 咲いている
思い出の道 丘の道
はるかに見える 青い海
お船がとおく かすんでる
唱歌「みかんの花咲く丘」は、 1946 年 8 月 25 日に発表された。
「みかん花咲く丘」の題で作られたが、発表までの間に「みかんの花咲く丘」に変更されたものである。
みかんは 5 月初旬頃からの、 2 ~ 3 週間ほどが開花時期である。ジャスミンにも似た清烈な香りは、心を落ち着かせてリラックスさせる。
種類や品種にもよるが、植え付け後 3 ~ 6 年で実がなり 10 ~ 12 月頃が収穫期となる。
みかんは、みかん科みかん属の果樹の総称である。花・葉・果皮に、半透明の油点があるのが特徴である。
皮のオレンジ色は「フラベド」と呼ばれる外果皮が、果実の成熟と共に緑色から黄色→オレンジ色へと変化するものである。
皮の下の白い繊維は「アルベド」と呼ばれ、実と外皮の間にあるため外果皮に対して中果皮と呼ばれる。
アルベドは根や葉から吸収した水や養分を、果実全体に配分する役割を果たしている。
花は直径 3cm くらいの白い 5 弁花で、 5 月の中旬ころ開花する。
「冬みかん」または単に「みかん」と言う場合、通常は温州みかんを指している。
中国浙江省の温州が柑橘の名産地であったことから温州と名付けたのだが、 鹿児島県原産で 日本で 最も多く栽培されている。
酸味が少なく、多汁で糖度が高いのが特徴である。
甘い柑橘ということから漢字では「蜜柑」と表記され「みっかん」と読まれたが、やがてつまってみかんとなった。
みかんは皮が薄くむき易く種がない品種が多く、オレンジにはない「シネフィリン」という風邪予防に効果的な栄養素を含むとされる。
みかんに含有される栄養素として、ビタミン A ・ C 、ペクチン、ヘスペリジン、葉酸、カリウムなどが知られている。
ヘスペリジンは「ビタミン P 」とも呼ばれるフラボノイドの一種で、ビタミン C の働きや吸収を助け毛細血管を丈夫にして血流を改善する働きがあるとされる。
ペクチンは血糖値の急な上昇を防ぎ、コレステロールの吸収を抑える成分として知られている。
消化管の壁に貼り着いて胃の消化を遅くするので糖尿病や肥満、高血圧といった生活習慣病の予防効果が期待されている。
これらの成分はみかんの果皮の部分に多く、果肉の部分と比べるとペクチンが約 4 倍、ヘスペリジンでは約 10 倍含有されている。
温州みかん系の柑橘類にだけに含まれる成分ノシネフィリンは、気管支を広げる作用があり喉風邪の予防に役立つと考えられる。
日本で最初に広まった中国原産のみかんは、紀州みかんである。
黄赤色の果実は温州ミカンより小ぶりで香り・甘みが強く、種が多いのが特徴である。
温州みかんが普及以前は、和歌山の紀州有田が一大産地であった。
柑橘の芳香は、何か寂しさを誘う香りなのであろうか。
別れの宴に漂ってきた柑橘の花の香りを「王昌齢」は、次のように詠んでいる。
江樓上醉飲話別橘柚正飄香,江風吹灑細雨帶給小船淒涼。
想象你獨自遠在瀟湘明月下,滿懷愁緒夢裏靜聽猿啼悠長。
[
送別魏三
王昌齢
]
( 河辺の高殿で酒宴を開き、酔いの中であなたを送別しようとする時、柑橘の香りがする。
川風で雨が船に吹き込んできて、涼しく感じられる。
別れて後あなたのことを思い起こせば、あなたは遥かな 湘山に掛る 月の下にあって、
猿の長く尾を引く澄んだ鳴き声が、夢うつつの中に哀れに聞こえる。 )
20
㎏のリンゴを入れる段ボールに一杯の収穫があった。
最初の年は年を越して一月半ばに漸く色付いて、収穫した。昨年は 11 末には色付き、 12 月始めに収穫して、歳の暮れまで約二週間追熟してから食した。
酸味と甘みが調和した、スーパーでは売っていない美味であった。
花言葉 純潔・清純・親愛・花嫁の喜び
「純潔」「清純」は白い花の純粋なイメージを表し、「親愛」「花嫁の喜び」はオレンジの花がヨーロッパで「花嫁の守り神」とされていることに由来している。
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