日本語教師のヨックン。

日本語教師のヨックン。

2009年02月22日
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テーマ: 中国&台湾(3328)
カテゴリ: 日本語教師の仕事
 明日から後期の授業が始まる。

 後期の開始に当たっていろいろな アイディア を考えた。


 以前、 学生たち自身に授業をさせる 、というアイディアが浮かんだが、
 それは、既に他の(中国人)先生たちが採用していた。
 日本語の教科書の中の一部分を、学生に講義させるというもので、
 つまり、誰でも考えつくようなアイディアだった。


そこで、私はそれをちょっとひねることにした。



 日本語の科目だけでも7つか8つもある。
 その他に英語や音楽、体育、政治(中国ではこれが重要)、そして選択科目など。


私は、学生たちに、その週に受けた授業で、覚えたことを、
 今度は自分で、他の学生たちに授業してもらうことにした。



 例えば、選択科目で「食品栄養学」を学んだ学生は、
 私の授業で、10分間の食品衛生学の授業をする。
 使用言語は勿論、日本語。


 目的は5つある。
 1、他の授業を集中して聞くようになるということ。
 2、耳にした中国語を日本語でどう言うか、たえず考えるようになる。
 3、教師が話した言葉を、自分の言葉に言い換えることができるようになる。
 4、教わったことを、他の学生に教えることで、知識が完全に定着する。



 2年生の段階では、かなり難しいことだが、
 私のクラスの学生なら、やったことがない授業法にはきっと食い付いてくるはずだ。
 そして、 「まず、やってみましょう」 と言うだろう。
 去年からずっと一緒に授業をやってきて、



 そして、作文ではこんなアイディアを考えた。


 名付けて 『悩み相談』


 作文の時間に学生たちに、「悩み」が書いてあるカードを配る。
 その「悩み」は6種類ある。
 「恋愛」「将来の進路」「自分の性格」「勉強」「友人関係」「親子関係」


 それを無作為に、1人に1枚配り、
学生は自分が受け取った「悩み」カードに書いてある悩みに対する解決法を、
 相手に話すように、つまり話し言葉で書く。



学生が話し言葉で書いた作文(悩みの解決法)は、私がすべて書き言葉に直して、
 学生に返却する。
 勿論、単語や文法の間違いはしっかりと添削する。


 そして、次の授業では「悩み相談室」を開き、
 会話形式で、相談者と回答者に、問答をしてもらう。


 ……というもの。


 目的は5つある。
 1、学生たちにとって難関の「話し言葉」と「書き言葉」の違いを覚えてもらう。
 2、友達の悩みを、我がことのように考えて、友情を深めてもらう。
 3、これまで書いたことがないテーマで、作文を書き、作文に親しんでもらう。
 4、いろいろな悩みを自分で解決することを覚えてもらう。
 5、話し言葉で書いた作文を、実際に話す練習をする。



 多くの学生たちは、作文を書くことが嫌いだという。
 理由は、「難しい」より「面白くない」から。
 学生たちの頭の中には、小学校、中学校、高校、そして大学と、
 毎年、いろいろな作文を書いてきて、
「作文はつまらないもの」という固定観念がある。


 だから、私は毎年、まず、学生たちに作文は「つまらなくない」と、
 固定観念をなくすように仕向けるところから始めている。


「作文」の時間だからといって、みんなが黙って作文を書いていればいい、
 という発想は、私にはない。

 学生の側の固定観念が不要なように、
 教師も「作文」の授業とはこういうものだという固定観念は持たない方がいいと思う。


 書いている時は静かでも、それ以外の時は、賑やかであっていいと思うし、
 むしろ、賑やかな話の中から、作文のヒントが生まれることもある。 


 作文を書きながら、会話が上手になってもいいし、
「作文」を書くに当たっては、何か明確な目的を持たせた方がいいとも思う。


 学生たちに作文を返却する際には、私は、
 1、学生たちの単語や文法の間違いを、赤ペンで直す。
 2、それを日本語らしい日本語に直したり、構成を変えたりして、私自身が書き直す。
 3、学生に課した同じテーマで、私自身が作文を書く。


 この3つをセットにして、学生たちに返却している。
 時間はかかる。
 特に、今年は学生が100人近くいるので、
 かなりの手間がかかる。


 でも、これまでそれでやってきたし、
 やってこれた。


 学生たちの能力が向上するなら、教師は自分の手間暇を惜しむべきではないと思っている。
 何故なら、 学生たちの成長こそが、教師にとって、最高の喜び だからだ。


 というわけで、明日から、後期の開幕です。


 蛇足ながら……。
 それぞれの教師には、それぞれのやり方があります。
 私はそれを否定するものではありません。
 プロの先生方、どうぞお怒りのないように……。





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最終更新日  2009年02月22日 11時30分27秒
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