一期一会(ぼくの読書日記)

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2010年11月01日
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昭和13年春、岡山県内のある村を鮮血に染めた「津山事件」。
入念な取材と豊富な捜査資料をもとに再現される、戦慄の惨劇。
筑波昭氏による不朽のノンフィクションです。

通っていた小学校始まって以来の秀才と目された青年が、自身が結核患者だという絶望感と、病気の自分を馬鹿にしていた部落民への憎悪、さらに本人の強烈な自己顕示欲により起こした日本史上空前の惨劇です。

映画「八つ墓村」のモデルにもなった事件だということを、ご存知でしたか??

黒の学生服を着て、地下足袋にゲートル。
頭には二本の小型懐柔電灯を手ぬぐいで巻き付け、頭の両側から前方を目玉のように照射する。
自転車用の箱形前照燈を紐で首から胸に吊り下げ、日本刀を左腰にさして紐でくくり、9連発に改造したブローニング猟銃を持って暗黒の中を向かってくる姿を想像してみて下さい。


「二つ目の怪物に見えた」という被害者もいたくらいですから・・・

被害者全ての家屋内の間取りや殺害場所などもの見取り図も付記され、犯行状況も詳細に記述されているのが生々しいです。

その部落内で行われていた「夜這い」のために、真夜中にもかかわらず各々の家が戸締まりをしていなかったということも犯行を容易にさせた要因ではないかと思います。

この事件は、最後に犯人が自殺してしまうため、まさに「死人に口なし」となってしまったので、生存関係者が犯人を悪く言うこともあり得るし、ましてや生存者が自分に不利な事を口にするはずもないので、部落の人々はこの事件に触れることを危惧するというタブーな事件と言われているようですが、その事実は、昭和50年に刊行された1,000頁を優に超える「加茂町史」の中においても、この事件について書かれた記事が僅かな記述しかないということでもわかりますね。

余りにこの事件に関する情報が少ないため未解明のまま残された部分が多く、その真相は謎に包まれているそうですが、そんな現実を目の当たりにした事が、元新聞記者である著者が本書を書き上げることを決意した一因だったそうです。

犯人が生まれた1歳から、事件を起こした22歳までの22年間の生い立ちをその歳毎に整理しているという手法もなかなか他の著書には無いまとめ方なので読み応えもあり、純情だった少年が、段々と憎悪に満ちた青年に変化していく様子も不気味ながらもよく表わされていると思います。

オススメ度:★★★★☆(前半は昔言葉の羅列でかなり読みづらいですが、少しオススメ)ウィンク


津山三十人殺し





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最終更新日  2010年11月01日 08時28分31秒
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