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ゾナ

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2006.12.16
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カテゴリ: サイエンス
「ヒトはどうして言葉をしゃべれるようになったのだろう?、

という疑問が子供の頃にたま~に浮かぶことがありました。

そして「どういう過程で言葉を持ち、喋れるようになっていったのだろう?」と不思議に思いながら、あれこれといろんな想像をしていた事がありました。

同じような疑問をもっている人は結構いるらしくて、いろんな分野の研究者がそれぞれ個性的なアプローチのしかたでこの疑問を解いてみようと、今もいろんな研究者が研究を続けています。でもいろんな仮説は作られはするものの「どうやらこういう事らしい」と多くの研究者が同意するほどの仮説までは出てきていない状況のようです。

先月はじめに、 理化学研究所 脳科学総合研究センター 生物言語研究チーム の岡ノ谷さんという研究者の方の講演を聞く機会がありました。



岡ノ谷さん自身は小鳥の歌(特に十姉妹の歌)の研究を皮切りに、動物のコミュニケーションの研究をずっと続けてこられてきて、今ではヒトの言葉がどのように獲得されていったのかというテーマにまで広げて研究を続けているそうです。


今回の講演ではは動物のコミュニケーションと人間との言葉の違い、どうして人間は言葉を獲得するようになったのかについて、岡ノ谷さんの仮説を交えながら現在の研究の現状を紹介してくれましたので少しだけ書いてみます。

講演では、そもそも動物の鳴き声と人間が話す言葉はどこが違うのかというところから説明をしてくれましたが、まず「単語に意味がある」、「単語の組み合わせをしている」というところから違っているそうです。

鳴き声を出す動物の多くは状況に応じた声を出す事がありますが、それ以上のはっきりした意味を持つ事は少ないようです。一方、人間の喋る言葉は単語に分解できて、今現在こうして文字で書いているようなシンボル性と象徴性という「意味」を持っています。

また多くの動物の鳴き声はある出の決まったパターンになっていますが、一部の動物については鳴き声のフレーズ(単語)を組み合わせた文法構造を持っています。この文法構造を持っている動物は人間を含めて限られた種類しかいないそうです。

そして人間が言葉を話せるようになった原因の一つとして「呼吸を意図的に操作できる脳の回路を持つようになった」というイベントを挙げられていました。

私達はごく自然にやっていますが、実は呼吸を意図的に制御できる動物はすごく少ないそうで、これができるのはクジラの一部の種、鳥の一部の種、霊長類ではただ一種類しかいないそうです。

クジラや鳥は水中や空中で性格な呼吸の制御をする必要があったのでそれに適応していくうちに、意図的に呼吸を制御する脳の回路が形成されていったそうです。

じゃあ霊長類はどうなんだろう?、どうしてヒトだけ呼吸を制御できるようになったのだろう?とすごく不思議な気がしてきました。

岡ノ谷さんはこうした疑問について「産声仮説」という仮説を立てて説明をされていました。

生まれたばかりの赤ん坊の脳のいろんな機能部位に配線が繋がっているそうですが、その後の成長していく過程で使わない機能の間の配線はいらないものとしてどんどん整理されていくそうです。


(実際に同じ霊長類で比べてみても人間の乳児はものすごくよく泣くそうです。)

講演の中で、生後三日くらいの赤ん坊の鳴き声と生後一ヶ月くらいの赤ん坊の鳴き声の録音を聞かせてもらったのですが、最初は単調に泣いているだけだったのが、一ヶ月経つと意図的な鳴き方に変わっているのが分かり、なるほど~と思いました。(母さんが赤ちゃんの鳴き声にいろんな反応を示しているうちに、赤ちゃんの方も意図的な鳴き声にだんだんと変わっていくそうです。)

という感じの話しが沢山出てきてすごく面白いと思った講演でした。


ただし岡ノ谷さんの仮説自体はすごく自然なように私には思えましたが、まだ状況証拠しかないので、これが正しいかどうかまでは今のところ証明されてはいません。(というよりも、きっちり証明するのはすごく難しそうという気がします。)

好奇心をお持ちの方は、人がどんな風にして言葉を持つようになったのかいろいろ想像してみるのもいいかもしれません。




言葉を獲得してしまったヒトという動物は、他の種からみればあっと言う間に文明を作り上げ、地球上のあらゆるところに広がって住み着いて、今では宇宙の入り口までたどり着いてしまいました。

どうもこの動物は他の種とは全然違う道を歩んでいるような気がします。このままずっと存続していけるのかどうか、それとも短命に終わるのかが気になってくるところです。

岡ノ谷さんは講演の最後で、「ヒトが言葉を持ってしまった事は、個人としては幸せだったけど、種としては果たして幸せなことだったのだろうか?。ひょっとして短命に終わる種になってしまうのではないだろうか?」という言葉で締めくくられていました。

これから我々はどうなっていくのだろう?と、あれこれと想像してしまった講演会でもありました。





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Last updated  2006.12.17 15:46:53
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