なかでもグループ内のサムスン生命は、サムスン電子株の売却を迫られている。これは文在寅大統領の与党民主党が、金融政策として、企業が保有する関連企業の株が自社資産の3%を超えることを禁じる法案を国会に提出する準備を進めているからだ。サムスン生命はサムスンの総帥、李健煕(イゴンヒ)氏一族のグループ支配の中核企業になっている。
サムスン電子のほかにも小企業群の株式保有をくまなく行っている李一族だが、今後はサムスン電子への影響力を弱めることになるだろう。
与党民主党による財閥規制の新法案実現化の動きやサムスン電子のスマホ販売の不振に加え、中国でのチップ不正販売の疑惑調査も響き、株価は下落している。韓国の未来アセット大宇のアナリストは「サムスン生命がサムスン電子株を大量に保有したことが、いまやサムスン生命のアキレス腱(けん)になっている」と指摘する。
李健煕氏はサムスン生命株式の20.8%を保有。サムスンC&T大株主で長男の李在鎔(イジェヨン)氏がサムスン生命の19.3%、サムスン電子の0.65%の株式を保有している。今後、C&Tはサムスン電子株の有力な買い手になると考えられるが、株主への説明と、潜在的なリスク回避を明確に説明する必要があるだろう。
サムスン電子への規制が株式市場で注目されたのは今回が初めてのことではない。最近のケースでは5月30日、財閥規制を回避するため、サムスン生命とサムスン火災海上がサムスン電子株2700万株を売却すると発表した際、サムスン電子の株価は3.5%下落した。
韓国金融委員会は新法案の国会承認を待つまでもなく、規制実施の監督機関だが、現状はサムスングループのなすがままというところだ。(ブルームバーグ Sam Kim)
2018.7.6 05:59
https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180706/mcb1807060500016-n1.htm
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