【台北時事】台湾が福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食品を禁輸している問題で、最大野党・国民党は24日、禁輸継続の賛否を問う公民投票の手続きを正式に開始した。国民党は輸入再開に反対する立場で、11月の統一地方選挙をにらみ、公民投票をきっかけに党勢回復を図るのが狙い。日本側は科学的な根拠に基づき、輸入の早期再開を求めているが、政争の具にされる格好で再開が遠のいている。
「(与党)民進党は日本にこびを売るため、原発事故の周辺地域の食品を輸入しようとしている。公民投票で『核食』の輸入に反対しよう」。国民党の※龍斌(※赤にオオザト)副主席は24日、5県産食品を「核食」と呼び、輸入反対を同党支持者に訴えた。
国民党は同日、公民投票の実施に向けた署名活動を本格的に開始。実施には少なくとも有権者数の1.5%に当たる約28万人の署名が必要となる。署名が順調に集まれば、公民投票は11月24日の統一地方選と同日実施される見通しだ。
輸入再開は、日台関係にとって最優先課題の一つ。公民投票が「禁輸賛成」で成立すれば、規定により2年以内の解禁が不可能になる。支持率低迷にあえぐ民進党の蔡英文政権は、統一地方選を前になすすべがない状態だ。
日本台湾交流協会台北事務所の沼田幹男代表(大使に相当)は同日、失望を表明した上で「科学的な根拠が示されないまま、輸入規制措置が継続されることは、日本と台湾の友好関係にひびを入れるものになると思う。台湾の良識ある皆さまの冷静な判断を希望する」との異例のメッセージを出した。 (2018/07/24-18:00)
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