「こんにちは」も「さようなら」も厳密には意味を持っていないのはご存じでしょうか?
出会いに使う「こんにちは」は「今日は」の意味で、そのうしろに「ご機嫌いかがですか?」など、相手を気づかうことばがついて完成形。
「さようなら」も同様に「それでは」の意味しかないので別れの意味にはなりません。いろいろな局面で使われる「どうも」は「まさに」と意味を強めるだけで、
英語に訳せばveryのような単語。短縮され過ぎて意味をなさないことばが「あいさつ」に使われているのです。
■さよならは別れの言葉じゃなくて
日中の出会いに使われる「こんにちは」は、こんにち=今日の意味。夜になるとこんばん=今晩に変わるように、たんに日付や時間の意味しかありません。
ビジネスシーンのあいさつでももちろん正式なことばですが、語源を考えるとかなり不自然。だいじな部分が省略されてしまい、あいさつとしての役割を果たさないことばになってしまったのです。
本来の「こんにちは」は、そのうしろに、
・ご機嫌いかがですか?
・お加減はいかがですか?
など、相手の様子や健康状態を気づかうことばがあってこそ意味を持ちます。「今日」「今晩」と言われても、そうですね、としか答えられないのですが、
長らく使われているうちに、本当のあいさつ部分がなくなってしまったのです。とはいえ、この時代に「今日はご機嫌うるわしゅうございますか?」なんて言ったら、
間違いなくドン引きされてしまうでしょうが、こんにち「わ」はマチガエなのでご注意ください。
同様に「さようなら」も短縮され過ぎ。「さよう」は武士ことばといわれる「左様」、つまり「そのとおり」「その状態」と言っているだけで、別れを意味することばではありません。
左様でござる、はその通りです、と訳されるように、さようならを直訳するなら「それ」「なら」と言ったところでしょうか、なおさら意味が分かりませんね。これは、
・もう用事は済みましたか? 「それ」「なら」 お別れしましょう
的に使われていたのが、やはり長すぎて現在の「さようなら」になったのです。
女子高生が機関銃を撃ちまくる映画の主題歌では、「さよなら」は別れの言葉じゃないと歌われていたのも一理ありますね。
■なにも意味していない「どうも」
正式なあいさつでもなく、意味もはっきりしないことばがあります。あらゆる状況で使える「どうも」です。
普通の「ありがとう」に対し、「どうも」をつけると非常に感謝している気持ちが生まれ、またほかにも、
・どうもよくわからない = あれこれ考えたが
・どうもカゼをひいたようだ = はっきりとした根拠はないが
と、程度を表す副詞で、基本的には「良くない」「わからない」などNoの意味とセットで使われます。
これが短縮され、「どうも〜」なんてあいさつも耳にしますが、これも「程度」を意味するだけ。英語ならvery! だけ状態ですから、すごく何? か不明です。
漫才のオープニングでは「どうも〜」が定番になっていますが、これは親近感をわかせるための工夫でしょう。
かなりくだけた表現ですので、上司や取引先には不可、友達や身内限定で使うのが良いでしょう。
■まとめ
・「こんにちは」は「今日は元気?」の意味で、後半こそが「あいさつ」
・「さようなら」を直訳すると「そうなら」
・「どうもね〜」はフランク過ぎて身内限定。ビジネスシーンでは控えるべき
(関口 寿/ガリレオワークス)
https://gakumado.mynavi.jp/gmd/articles/32382
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