2016年の「周年企業」に見る長寿の必要条件2016(平成28)年に「100周年」「70周年」など節目の年を迎える企業が、全国で13万5,292社にのぼるそうです。企業の寿命が短期化する経済環境の中、これだけの長寿企業が存在していることは驚くべき事実です。日本は世界の中で、群を抜いて長寿企業が多い国です。200年以上続いている企業が日本には3,000社以上ありますが、2井のドイツは800社ほど。今回はその理由を考えてみたいと思います。
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長寿企業が継続してきた理由
長寿の理由を考える有力な視点は、「長寿企業のほとんどが同族企業だということ」「事業内容が時代の流れで大きく変わっていること」の2つです。企業が継続するためには、当然ながら経営をしっかりと後継していくことが必要ですが、日本の場合はほとんどが同族によって後継されています。同族企業には、「オーナーによるワンマン経営になる」「外部の人間のモチベーションが高まらない」「閉鎖的な企業経営に陥りやすい」などの否定的な見解も存在しますが、実際には、同族企業が長寿になっています。これには、理由があります。
私はさまざまな企業の「後継」を見てきましたが、事業承継において最も受け継がなければならないものは「創業の精神」です。どんな商品・サービスを提供するのかなどの事業内容に関しては、時代の変化によって変革していかなければなりません。しかし、いくら経営環境が変わっても、企業には変えてはならないものがあります。それが「創業の精神」です。なぜなら、創業の精神が希薄になってくると、企業が危機に立たされたときに「踏ん張り」が効きません。
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創業者の志は同族の方が受け継ぎやすい
長寿企業の歴史を振り返ると、危機的状況に陥りながらも、それを乗り越えて大変革を遂げている時期が必ず存在します。八方塞がりの状況で、それでもあきらめずに努力し続けるためには、理論理屈を超えた意志の力が必要です。その意志の力を生み出すのが、創業者が事業を始めた志を受け継いでいるかという点です。
そして、創業者の志は、やはり同族の方が受け継ぎやすいのです。自分の親が心血を注いで事業に奮闘している姿を子どもの頃から近くで見ることで、事業への志や使命感を自然と受け継いでいきます。その営みを代々積み重ねることが、「先人が築いた企業を絶対に自分の代でつぶせない」という覚悟に表れます。この覚悟が、環境変化によって危機が訪れた際、それを乗り越えるエンジンになっていくのです。つまりは、長寿企業には創業の精神を守り続ける覚悟と、時代に合わせて事業を変革していく柔軟性の2つが、同時に存在してきたといえるでしょう。
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