中学2年で人を陥れる不憫な話


クラスメイト数人で
トランプゲームをしていて
なんだか
ハメられた記憶
その時
右手の指をけがしていた私は
少しの痛みを感じながらも
遊ぶことが楽しくて

純粋に
本当に純粋に
ゲームを楽しんでいたのに

順番にカードを回して
数字をそろえて上がりになるもので
面白いように
自分のところに
カードが集まってきた
不自然にスムーズに
数字がそろって上がりの合図を出そうとしたら

先に誰かが
待ってましたとばかり
上がりの札を奪った
そして
上がりの札を取られた私が
唖然としていると

ひとりの女子が
「カードそろったんでしょ?」と
得意げに言い放ったのだった

私は冗談が通じなかった
半笑いのその女史を見ながら
何も答えず
ショックで目の前がかすんでいた

最初から
示し合わせてカードを回し
私に勝たせないように先に札を奪う
そんなふうにされるとは微塵も思わない

単純に 楽しんでいただけなのに
そのゲームを始めたしょっぱなに
そんなふうに
私をハメて陥れて

そんなことして嬉しかったか?

普通に遊べばいいじゃんか
素直に楽しめばいいじゃんか

人の心を踏みにじるような
ゲームを楽しむのではなくて
人を陥れて
思い通りにすることにしか
楽しむことのできない中学生って

いったいどんな育ち方してきたんだい?

純粋な中学2年の私は
そのことがショックで
そこから数時間 そいつらと一緒にいたが
何ひとつ楽しくなかった

電話帳を開いて
いたずら電話しているやつら
近くのダイエーで万引きした文具を
得意げに見せびらかすやつら

愛のない毎日なんだろう

ごく普通の生徒たちだ
つっぱってるとかそんな外見でもなく
普通も普通
ださいくらい普通
その後も
外面だけはよく陰では
標的を見つけていじめていたらしい

純粋な心を
すでに持ち合わせることのない
気の毒な女子だった

その時以来
そいつらとはつるむことはなく
また別の女子たちと
話をするくらいだった

そのままつるんでいたら
いじめのターゲットにされたかもしれない

とっくに
ツケは廻っていることだろう

与えたものが受け取るものだ

人を陥れても
胸糞悪いだけなのに
そんなことしかできない不憫な女子だった









posted by 彩沙 at 00:25 | 小説

2023年07月22日

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