ソウル中心部から南東、
やや郊外といってもいいエリアに可楽洞市場(カラッドン・シジャン)はある。
ここは韓国各地からあらゆる青果が集まる場所、
街なかにある「市民の台所」といった規模ではなく、
「ソウルの胃袋」といってもいい巨大な市場だ。
地下鉄の駅から地上に這い上がるとムッとした熱気が襲ってくる。
駅出口から5分も歩かずに巨大な市場の巨大なゲートが見えた。
中に歩みを進めると広大なスペースが広がっている。
市内の市場とは打って変わって、
「青果市場」そのものの空間が目の前に広がった。
深夜から早朝に繁忙期を迎えるこの市場は、
昼に近いこの時間となると「もぬけの殻」に近い状態。
広いスペースでは残った人たち後片づけ、
ワンブロック隣の小売店のオバチャンたちは、
せわしそうに店先の売り物を整えていた。
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キュウリ、ナス、スイカ、玉ネギ・・・見慣れた野菜が並ぶ。
エリンギやシイタケ、自然薯、見ているだけでも楽しい。
皮をむいたニンニク(マヌル)や唐辛子(コチュ)、
サンチュなど韓国らしい食材がやっぱり多く売られている。
市場の出店のアジュマ(オバチャン)は
野菜の皮をむいたり、芽を取ったりと忙しい。
それ以上に口先はもっと忙しくて、
隣あった店同士で声を渡らせ、アレヤコレヤとくっちゃべっている。
手先は休まず、口先はもっと休まず、です。
カメラを向けるとあからさまにイヤな顔をする人もいるので、
ここでもデカイ声で
「サジン(写真)ジュセヨ〜」(正確には「写真撮って」になってます)
と先手を打つ。
仕事の最中に無断で写真撮られれば、いい顔する人は少ないですよね。
こちらは日常に割り込む土足の観光客。
礼を尽くして許してもらえれば、うれしい次第。
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なかには茶目っ気たっぷりで、
ポーズまでつけてくれるオババもいたりするが、
「仕事してよ〜」「手動かしてよ」と日本語で促すと
恥ずかしがって、手元を動かしてくれる。
他のオババが「モデルだよ、アンタ〜」なんてヒヤカシて。
そうなると照れ笑いが止まらない。
「なんか買っていきなよ〜」
「ニホンジンデスヨ」
「それじゃあ、しかたないね」
なんてヤリトリも繰り返される。
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山のようにある野菜の下作り、
退屈な作業を黙々とこなすより、楽しく明るく、ニギヤカに。
市場で働くオバチャンたちはどこの国でも威勢よく元気がいい。
写真を撮りながら、こちらがエネルギーをいただいているのかも。
というわけで、カメラを指差しながら「ジュセヨ〜」とオネダリオネダリ。
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